問3 適格請求書発行事業者の登録は、どのような方法で通知されますか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

 

先生、お疲れ様です。クライアントから「適格請求書発行事業者の登録申請をしたんですが、登録の通知はどうやって来るんですか?」と質問されたんですが、詳しく教えていただけますか?

 

 

お疲れ様。それは重要な質問ですね。適格請求書発行事業者の登録通知は、主に2つの方法があるんです。まず、申請方法によって通知方法が変わることを理解しておきましょう。

 

 

申請方法によって変わるんですか?

 

 

そうです。まず一つ目が「e-Taxでの電子通知」です。e-Taxで登録申請書を提出して、その際に電子での通知を希望した場合は、登録番号などが記載された登録通知書がデータとして「通知書等一覧」に格納されるんです。

 

 

「通知書等一覧」というのは、e-Taxの中にある機能なんですか?

 

 

その通りです。e-Taxにログインすると確認できる場所ですね。この電子通知のメリットは大きくて、税務署での処理後、速やかに電子通知が行われるため、書面より早期に登録通知書を受領できるんです。

 

 

なるほど、スピードが違うんですね。他にもメリットはありますか?

 

 

はい。データが「通知書等一覧」内に保管されるため、登録通知書の紛失の心配がありません。また、保管されたデータは書面での出力やPDF形式での保存も可能なので、必要に応じて印刷もできます。

 

 

それは便利ですね!でも、電子通知が来たことはどうやって分かるんですか?

 

 

良い質問ですね。e-Taxで電子通知を希望する場合、事前にメールアドレスを登録しておくと、通知書が「通知書等一覧」に格納されたことを知らせるメールが送信されるんです。だから、すぐに確認できますよ。

 

 

それなら見逃す心配もありませんね。では、二つ目の方法は何ですか?

 

 

二つ目は「書面での郵送通知」です。e-Taxでの電子通知を希望しなかった場合や、郵送で申請書を提出した場合などは、登録番号などが記載された登録通知書が書面で送付されます。

 

 

書面の場合は、普通の郵便で届くんですか?

 

 

はい、基本的には普通郵便で届きます。ただし、書面の場合は紛失のリスクがあるので注意が必要ですね。実は、登録通知書は原則として再発行されないんです。

 

 

えっ、再発行されないんですか?それは困りますね…

 

 

そうなんです。だから大切に保管する必要があります。ただし、もし自身の登録番号が分からなくなった場合は、各国税局(所)インボイス登録センターに問い合わせることで確認はできますよ。

 

 

それは安心しました。ところで、法人の場合は登録番号がどうなるんでしょうか?

 

 

法人番号を持つ法人の登録番号は「T+13桁の法人番号」となります。法人番号は「国税庁法人番号公表サイト」で検索可能なので、そこでも確認できますね。

 

 

なるほど。では、登録申請してから通知が来るまでの期間はどのくらいなんですか?

 

 

登録申請書を提出してから登録通知を受け取るまでの期間は、提出状況によって異なります。現時点の目安は、国税庁ホームページの「インボイス制度特設サイト」に掲載されているので、最新情報はそこで確認するのが良いでしょう。

 

 

先生、ちょっと気になったのですが、登録の効力はいつから始まるんですか?通知が来た日からですか?

 

 

それは重要なポイントですね。登録の効力は、通知の日に関わらず、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日、つまり「登録日」から生じるんです。

 

 

ということは、通知が遅れても、実際の登録日から効力があるということですね?

 

 

その通りです。だから、登録日以降の取引については、相手方(課税事業者に限る)の求めに応じて適格請求書を交付する義務があります。たとえば、令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合でも、登録の効力は登録日である令和5年10月1日から生じるんです。

 

 

具体的な例で教えていただけますか?

 

 

はい。例えば、A商事株式会社が令和5年8月に登録申請をして、9月に登録通知を受け取ったとします。でも、登録の効力は令和5年10月1日から始まるので、10月1日以降の売上について適格請求書を発行する義務が生じるということです。

 

 

なるほど、分かりやすいです。免税事業者の場合は何か特別な手続きがあるんですか?

 

 

良い質問ですね。免税事業者が登録を受ける場合、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間中であれば、通常必要となる「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要なんです。登録希望日を記載した登録申請書を提出することで、その登録希望日から課税事業者となる経過措置が設けられています。

 

 

それは便利な制度ですね。課税期間の途中でも登録できるんですか?

 

 

はい、できます。課税事業者は、課税期間の途中であっても登録申請書を提出し、登録を受けることができます。その効力は登録日から生じます。

 

 

新しく設立された法人の場合はどうなりますか?

 

 

新たに設立された法人等の場合は、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けたい旨を記載した登録申請書を、当該課税期間の末日までに提出する必要があります。そして、登録簿に登載された場合は、その課税期間の初日に登録を受けたものとみなされるんです。

 

 

最後に、登録された事業者の情報は公表されるんですか?

 

 

はい、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で公表されます。公表される事項には、事業者の氏名または名称、法人番号、本店または主たる事務所の所在地(法人の場合)、登録番号、登録年月日などがあります。

 

 

個人事業者の場合はどうなるんですか?

 

 

個人事業者の場合、「主たる屋号」や「主たる事務所の所在地等」など、本人の申し出に基づき追加で公表できる事項もあります。ただし、これらは任意ですね。

 

 

田中先生、ありがとうございました。とても勉強になりました!クライアントにも分かりやすく説明できそうです。

 

 

よかったです。登録通知は事業者にとって重要な書類なので、特に書面で受け取る場合は紛失しないよう注意するよう伝えてくださいね。何か他に質問があれば、いつでも聞いてください。

 

 

はい、ありがとうございます!

【答】

適格請求書発行事業者の登録の通知については、登録申請書をe-Tax により提出して、登録通知について電子での通知を希望した場合は、通知書等一覧に登録番号等が記載された登録通
知書がデータで格納され、その他の場合は、書面にて登録番号等が記載された登録通知書が送付されます。

 

電子データで登録通知を希望していただくことで、

  • 税務署での処理後、速やかに電子通知が行われるため、書面より早期に登録通知書を受領することができる
  • 通知書等一覧内にデータ保管されるため、登録通知書の紛失のおそれがない(保管されたデータは、書面により出力することやPDFデータでの保存をすることが可能)

などのメリットがありますので、ぜひご利用ください。

 

なお、登録通知書は、原則として再発行を行いませんので大切に保管してください。

 

出所:国税庁