
先生、お疲れ様です。クライアントの山田商店の社長さんから「適格請求書等保存方式について詳しく教えてほしい」と言われたんですが、私もまだ理解が曖昧で...概要から教えていただけませんか?
お疲れ様。いい質問ですね。山田商店さんは小売業でしたっけ?この制度は令和5年10月1日から始まった重要な制度で、通称「インボイス制度」とも呼ばれています。まず、なぜこの制度が必要になったか分かりますか?
えーっと、軽減税率制度と関係があるんでしょうか?
その通りです!令和元年10月に軽減税率制度が導入されて、標準税率10%と軽減税率8%が混在するようになりました。そこで、どの取引にどの税率が適用されているかを明確にし、適正な消費税の計算を行うために、この制度が導入されたんです。簡単に言うと、課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、「適格請求書」という特別な請求書を保存する必要があるということです。
従来の請求書とは何が違うんですか?
良い質問ですね。適格請求書には、従来の請求書には必要なかった「登録番号」の記載が義務付けられました。具体的に見てみましょう。例えば、従来の請求書だと...
どんな感じでしょうか?
従来は「商品A 110,000円(税込)」という記載でも良かったんですが、適格請求書では「商品A 100,000円、消費税(10%)10,000円、登録番号:T1234567890123」のように、登録番号と税率ごとの消費税額を明記する必要があります。さらに、軽減税率対象商品がある場合は、それも明確に区分しなければなりません。
なるほど!登録番号というのは、どうやって取得するんですか?
適格請求書を発行するためには「適格請求書発行事業者」として登録を受ける必要があります。ただし、この登録を受けることができるのは課税事業者に限られているんです。
免税事業者はどうなるんですか?
これが重要なポイントです。免税事業者には基本的に2つの選択肢があります。一つは課税事業者になって登録を受ける方法、もう一つは免税事業者のままでいる方法です。ただし、免税事業者のままだと適格請求書を発行できないため、取引先が仕入税額控除を受けられなくなってしまいます。
それは取引に大きな影響が出そうですね...
その通りです。実際の事例で説明しましょう。例えば、年間売上500万円の個人事業主Aさんがいたとします。本来なら基準期間の課税売上高が1,000万円以下なので免税事業者ですが、取引先のB社(課税事業者)から「適格請求書を発行してほしい」と依頼されました。
Aさんはどう判断すべきでしょうか?
まず、Aさんが適格請求書を発行する場合を考えてみましょう。課税事業者となり登録を受けることになりますから、消費税の申告・納税義務が発生します。売上500万円なら年間約25万円の消費税を納める必要があります。一方、免税事業者のままでいる場合、B社は仕入税額控除ができないため、B社の年間税負担が約5万円増加することになります。
B社としては、取引条件の見直しを求めてくる可能性がありますね。
そうです。「消費税分を値引きしてほしい」とか、場合によっては「他の適格請求書発行事業者と取引を始める」という選択をするかもしれません。Aさんにとっては非常に難しい経営判断になります。
登録の手続きはどのように行うんですか?
登録申請書を税務署に提出します。登録の効力は登録を受けた日から発生し、課税期間の途中であっても登録を受けることが可能です。免税事業者が登録を受けると、登録日以後は課税事業者となります。登録通知書は書面で送付されるか、e-Taxを利用することで電子データとして受け取ることもできます。電子データの方が早く受領できて、紛失の心配もないのでお勧めしています。
登録が取り消されることもあるんですか?
はい、あります。所在不明が1年以上続いている場合、事業を廃止したと認められる場合、合併により消滅した場合、納税管理人の届出をしていない場合、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた場合、虚偽の記載をした申請書を提出して登録を受けた場合などは、登録が拒否されたり取り消されたりすることがあります。
登録情報は公開されるんですか?
そうです。「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で、登録番号を基に事業者の氏名・名称や登録年月日などを確認できます。個人事業者の場合、屋号や事務所所在地なども本人の申出に基づいて公表可能です。取引先がその事業者が本当に適格請求書発行事業者かどうかを確認するために使われています。
適格請求書にはどんなことを記載すればいいんですか?
適格請求書には6つの事項の記載が必要です。1つ目は適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号、2つ目は課税資産の譲渡等を行った年月日、3つ目は課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容(軽減対象課税資産の譲渡等である場合はその旨も)、4つ目は税率ごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額の合計額および適用税率、5つ目は税率ごとに区分した消費税額等、6つ目は書類の交付を受ける事業者の氏名または名称です。
結構詳細な記載が必要なんですね。山田商店さんのような小売業の場合はどうなりますか?
小売業の場合は「適格簡易請求書」を交付することができます。これは小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場業など、不特定かつ多数の者に対して資産の譲渡等を行う事業者が交付できる簡易版です。
適格請求書と何が違うんですか?
適格簡易請求書は、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称の記載が不要です。また、消費税額等の代わりに適用税率の記載でも構いません。例えば、コンビニのレシートを想像してください。「おにぎり 150円 ※軽減税率対象、お茶 100円、合計 250円、消費税 18円」のような記載で十分なんです。
それなら店側の負担も少なそうですね。
そうです。ただし、消費税の端数処理については注意が必要です。「一の適格請求書につき、税率ごとに1回」とされています。商品ごとに端数処理をするのではなく、税率ごとに合計してから端数処理を行います。
なるほど。ところで、必ずしも1枚の書類で全ての記載事項を満たす必要はないんですよね?
その通りです!適格請求書の記載事項は、複数の書類や、書類と電磁的記録の全体で満たすことも可能です。例えば、領収書にホームページのURLを表示し、そのURLに適格請求書発行事業者の名称や登録番号などを表示することで、記載事項を満たすことができます。
電子請求書についても教えてください。
適格請求書の交付に代えて、電磁的記録を提供することも可能です。提供する電磁的記録は、適格請求書の記載事項と同じ内容である必要があります。PDFファイル、XMLデータ、専用システムでの提供など、様々な形式が考えられます。ただし、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があるので注意が必要です。
電子帳簿保存法の要件というのは?
データの真実性を確保すること、つまり改ざんされていないことを証明できることと、必要な時に速やかに出力できることが主な要件です。例えば、高速道路利用料金のETC利用照会サービスや金融機関のインターネットバンキングのように、随時確認可能な状態であれば、必ずしもダウンロードして保存する必要がない場合もあります。
でも、全ての取引で適格請求書を保存するのは大変そうです...
そこで特例措置が設けられています。仕入税額控除の適用を受けるためには原則として適格請求書等の保存が必要ですが、一定の場合は帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
どんな特例があるんですか?
まず、公共交通機関特例です。3万円未満の公共交通機関(船舶、バス、鉄道)による旅客の運送については、適格請求書の保存は不要で、帳簿に「令和6年6月5日 交通費(新宿-渋谷) 200円、摘要:公共交通機関特例により適格請求書の保存省略」のように記載すれば十分です。
それは助かりますね。他にはどんな特例がありますか?
自動販売機特例があります。3万円未満の自動販売機・自動サービス機からの商品の購入等も帳簿のみの保存でOKです。また、郵便切手類のみを対価とする郵便ポストへの投函による郵便・貨物サービスも対象です。
出張が多い会社では出張旅費の処理が大変そうですが...
出張旅費等特例もあります。従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当については、適格請求書の保存は不要です。ただし「通常必要と認められる」範囲内である必要があります。
古物商の方からも質問を受けたことがあるんですが...
古物商等特例がありますね。適格請求書発行事業者ではない者からの古物、質物、建物、再生資源・再生部品の購入で、特定の事業を営む者の棚卸資産に該当する場合に限り、帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能です。最近話題のフリマアプリ等を通じた仕入れもこれに該当する可能性があります。
回収される入場券というのもありますよね?
はい。適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)が記載されている入場券等が使用時に回収される取引も、帳簿のみの保存で構いません。映画館やコンサートの入場券などが該当します。
特に注目すべき特例はありますか?
少額特例ですね。これは時限措置ですが、基準期間における課税売上高が1億円以下または特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者については、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間、1万円未満の課税仕入れについて帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能です。
それは中小企業にとって大きな負担軽減になりますね。
そうです。この特例があることで、文房具や消耗品など、少額の取引について一々適格請求書を保存する必要がなくなります。ただし、令和11年9月30日で終了する時限措置なので注意が必要です。
委託販売を行っている会社から質問を受けたことがあるんですが...
媒介者交付特例のことですね。委託販売などにおいて、受託者(媒介者)が委託者に代わって、自己の名称・登録番号を記載した適格請求書を交付できる制度です。ただし、委託者と受託者の双方が適格請求書発行事業者であることなどの要件があります。
仕入明細書による対応というのも聞いたことがあります。
はい。買手が作成した仕入明細書で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものも、仕入税額控除のための請求書等に該当します。継続的な取引がある場合などに活用されることがあります。
従業員の立替払いの処理についても教えてください。
従業員が事業のために立替払をした場合、従業員名簿等と宛名に従業員名が記載された適格簡易請求書、または立替金精算書を保存することで、仕入税額控除が認められます。例えば、営業担当者がお客様との会食費を立て替えた場合、レシートの宛名が従業員名になっていても、適切な書類があれば会社の経費として仕入税額控除を受けることができます。
よくある間違いや注意点はありますか?
登録番号の記載ミスが最も多いトラブルです。1文字でも間違えると、受け取った側は仕入税額控除ができません。国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで必ず番号を確認してください。また、消費税額等の計算ミスも注意が必要です。端数処理は「一の適格請求書につき、税率ごとに1回」というルールを守らないと、適格請求書として認められません。
免税事業者との取引で気をつけることはありますか?
免税事業者から仕入れた場合、原則として仕入税額控除はできません。ただし、経過措置があります。令和5年10月1日から令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは50%の控除が可能です。この経過措置があることで、免税事業者との取引を直ちに停止する必要までは無いと思います。
電子取引データの保存についても注意点がありますか?
電子取引で適格請求書に相当するデータを受け取った場合、電子帳簿保存法に従って保存する必要があります。改ざん防止のための措置、検索機能の確保などが求められます。ただし、令和5年12月31日までに保存要件への対応が困難な場合は、税務調査等において、データの出力書面の提示・提出ができれば、電子データ保存要件への対応は不要とする宥恕措置がありました。
この制度の影響はどの程度大きいんでしょうか?
非常に大きいです。単なる事務手続きの変更ではなく、事業者間の取引関係や経営判断に直結する制度だからです。免税事業者約500万者のうち、どのくらいが課税事業者になるかは経済全体にも影響します。また、適格請求書の発行・保存に伴う事務負担の増加は、特に中小企業にとって大きな課題です。
システム対応も大変そうですね。
その通りです。請求書発行システム、会計システム、受発注システムなど、様々なシステムの改修が必要になります。また、取引先との間で適格請求書の授受方法について合意を取る必要もあります。電子データでやり取りするのか、紙でやり取りするのか、フォーマットはどうするのかなど、調整すべき事項がたくさんあります。
今後、制度の見直しはあるんでしょうか?
制度の運用状況を見ながら、必要に応じて見直しが検討される可能性があります。特に少額特例の延長や拡充、経過措置の取り扱いなどについては、事業者の負担軽減の観点から議論される可能性があります。ただし、基本的な制度の枠組みは変わらないと考えられます。
クライアントへのアドバイスで気をつけることはありますか?
まず、その事業者が適格請求書発行事業者として登録すべきかどうかの判断が重要です。売上先の構成、取引条件、税負担の増加額などを総合的に検討する必要があります。また、システム対応や事務フローの見直しについても早めの準備が必要です。特に、取引先との調整は時間がかかるので、余裕を持って対応することをお勧めしています。
分からないことがあった場合はどこに相談すればいいでしょうか?
まずは税務署のインボイス相談窓口に相談することをお勧めします。国税庁のホームページにも詳細な情報が掲載されていますし、よくある質問とその回答も充実しています。また、税理士会や商工会議所でも相談窓口を設けているところが多いです。
今日は本当に詳しく教えていただき、ありがとうございました。この制度は事業者の経営に大きな影響を与える制度なんですね。
そうです。税制改正というより、商慣行の変更に近い側面があります。佐藤さんも、クライアントには制度の内容だけでなく、経営への影響も含めて説明してあげてください。何か分からないことがあったら、いつでも聞いてくださいね。
はい!山田商店の社長さんにも、小売業としての対応方法を具体的にアドバイスできそうです。適格簡易請求書の活用や、少額特例の利用について、しっかりと説明してきます。
それは良いですね。山田商店さんのような小売業の場合、消費者相手の取引が多いでしょうから、適格簡易請求書で十分対応できるはずです。ただし、事業者向けの売上がある場合は、相手方から適格請求書の交付を求められる可能性があるので、その準備もしておいた方がいいでしょう。
承知いたしました。継続的に勉強して、クライアントの皆様により良いサービスを提供できるよう頑張ります!
複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、令和5年10月1日から「適格請求書等保存方式」(「インボイス制度」)が開始されました(消法30、57の2、57の4)。
1 適格請求書発行事業者の登録制度
適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除の要件として、原則、適格請求書発行事業者から交付を受けた適格請求書の保存が必要になります。
適格請求書を交付しようとする事業者は、納税地を所轄する税務署長に適格請求書発行事業者の登録申請書(以下「登録申請書」といいます。)を提出し、適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があり(登録を受けることができるのは、課税事業者に限られます。)、税務署長は、氏名又は名称及び登録番号等を適格請求書発行事業者登録簿に登載し、登録を行います(消法57 の2@AC)。登録申請書は、e-Tax を利用して提出できますので、ぜひご利用ください(個人事業者はスマートフォンでも手続が可能となります。)。
なお、郵送により提出する場合の送付先は、各国税局(沖縄国税事務所を含みます。以下同じです。)のインボイス登録センターとなります。
また、相手方から交付を受けた請求書等が適格請求書に該当することを客観的に確認できるよう、適格請求書発行事業者の情報については、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイ
ト」において公表されます。
(注) 適格請求書とは、次の事項が記載された書類(請求書、納品書、領収書、レシート等)をいいます(消法57 の4@)。 | |
@ | 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号 |
A | 課税資産の譲渡等を行った年月日 |
B | 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨) |
C | 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率 |
D | 税率ごとに区分した消費税額等(消費税額及び地方消費税額に相当する金額の合計額をいいます。以下同じです。) |
E | 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 |
2 適格請求書の交付義務等
適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から適格請求書の交付を求められたときは適格請求書の交付義務が課されています(消法57 の4@)。
ただし、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難な次の取引については、適格請求書の交付義務が免除されます(消法57 の4@、消令70 の9
A、消規26 の6)。
@ | 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送 |
A | 出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。) |
B | 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。) |
C | 3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等 |
D | 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。) |
なお、小売業、飲食店業、タクシー業等の不特定多数の者に対して資産の譲渡等を行う事業については、適格請求書の記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができます(消法57 の4A、消令70 の11)。
また、適格請求書や適格簡易請求書の交付に代えて、これらに係る電磁的記録を提供することもできます(消法57 の4D)。
3 仕入税額控除の要件
適格請求書等保存方式の下では、一定の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります(新消法30FGH)。 保存すべき請求書等には、適格請求書のほか、次の書類等も含まれます。
イ 適格簡易請求書
ロ 適格請求書又は適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録
ハ 適格請求書の記載事項が記載された仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類(相手方の確認を受けたものに限ります。)(書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を含 みます。)
ニ 次の取引について、媒介又は取次ぎに係る業務を行う者が作成する一定の書類(書類に 記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)
なお、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、 一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(新消30F、新消令49@、新消規15の4)。
(注) 一定規模以下の事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により、当該課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置が設けられています(28年改正法附則53の2、改正令附則24の2@)。
詳細については、問111《一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置》をご参照ください。
(参考)
令和元年9月30日までの請求書等保存方式においては、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされていました。
令和元年10月1日の軽減税率制度の実施から令和5年9月30日までは、区分記載請求書等保存方式となり、帳簿及び区分記載請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされています(28年改正法附則34A)。
出所:国税庁
新消費税法30
(仕入れに係る消費税額の控除)
第三十条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、国内において行う課税仕入れ(特定課税仕入れに該当するものを除く。以下この条及び第三十二条から第三十六条までにおいて同じ。)若しくは特定課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の第四十五条第一項第二号に掲げる課税標準額に対する消費税額(以下この章において「課税標準額に対する消費税額」という。)から、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れに係る消費税額(当該課税仕入れに係る支払対価の額に百十分の七・八を乗じて算出した金額をいう。以下この章において同じ。)、当該課税期間中に国内において行つた特定課税仕入れに係る消費税額(当該特定課税仕入れに係る支払対価の額に百分の七・八を乗じて算出した金額をいう。以下この章において同じ。)及び当該課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物(他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この章において同じ。)につき課された又は課されるべき消費税額(附帯税の額に相当する額を除く。次項において同じ。)の合計額を控除する。
一 国内において課税仕入れを行つた場合 当該課税仕入れを行つた日
二 国内において特定課税仕入れを行つた場合 当該特定課税仕入れを行つた日
三 保税地域から引き取る課税貨物につき第四十七条第一項の規定による申告書(同条第三項の場合を除く。)又は同条第二項の規定による申告書を提出した場合 当該申告に係る課税貨物(第六項において「一般申告課税貨物」という。)を引き取つた日
四 保税地域から引き取る課税貨物につき特例申告書を提出した場合(当該特例申告書に記載すべき第四十七条第一項第一号又は第二号に掲げる金額につき決定(国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。以下この号において同じ。)があつた場合を含む。以下同じ。) 当該特例申告書を提出した日又は当該申告に係る決定(以下「特例申告に関する決定」という。)の通知を受けた日
2 前項の場合において、同項に規定する課税期間における課税売上高が五億円を超えるとき、又は当該課税期間における課税売上割合が百分の九十五に満たないときは、同項の規定により控除する課税仕入れに係る消費税額、特定課税仕入れに係る消費税額及び同項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物につき課された又は課されるべき消費税額(以下この章において「課税仕入れ等の税額」という。)の合計額は、同項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める方法により計算した金額とする。
一 当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れ及び特定課税仕入れ並びに当該課税期間における前項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物につき、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等(以下この号において「その他の資産の譲渡等」という。)にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものにその区分が明らかにされている場合 イに掲げる金額にロに掲げる金額を加算する方法
イ 課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ、特定課税仕入れ及び課税貨物に係る課税仕入れ等の税額の合計額
ロ 課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ、特定課税仕入れ及び課税貨物に係る課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額
二 前号に掲げる場合以外の場合 当該課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算する方法
3 前項第一号に掲げる場合において、同号ロに掲げる金額の計算の基礎となる同号ロに規定する課税売上割合に準ずる割合(当該割合が当該事業者の営む事業の種類の異なるごと又は当該事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類の異なるごとに区分して算出したものである場合には、当該区分して算出したそれぞれの割合。以下この項において同じ。)で次に掲げる要件の全てに該当するものがあるときは、当該事業者の第二号に規定する承認を受けた日の属する課税期間以後の課税期間については、前項第一号の規定にかかわらず、同号ロに掲げる金額は、当該課税売上割合に代えて、当該割合を用いて計算した金額とする。ただし、当該割合を用いて計算することをやめようとする旨を記載した届出書を提出した日の属する課税期間以後の課税期間については、この限りでない。
一 当該割合が当該事業者の営む事業の種類又は当該事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類に応じ合理的に算定されるものであること。
二 当該割合を用いて前項第一号ロに掲げる金額を計算することにつき、その納税地を所轄する税務署長の承認を受けたものであること。
4 第二項第一号に掲げる場合に該当する事業者は、同項の規定にかかわらず、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れ及び特定課税仕入れ並びに当該課税期間における第一項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物につき、同号に定める方法に代え、第二項第二号に定める方法により第一項の規定により控除される課税仕入れ等の税額の合計額を計算することができる。
5 第二項又は前項の場合において、第二項第二号に定める方法により計算することとした事業者は、当該方法により計算することとした課税期間の初日から同日以後二年を経過する日までの間に開始する各課税期間において当該方法を継続して適用した後の課税期間でなければ、同項第一号に定める方法により計算することは、できないものとする。
6 第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額とは、課税仕入れの対価の額(対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、当該課税仕入れに係る資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該課税仕入れに係る役務を提供する事業者に課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額(これらの税額に係る附帯税の額に相当する額を除く。第九項第一号において同じ。)に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)をいい、第一項に規定する特定課税仕入れに係る支払対価の額とは、特定課税仕入れの対価の額(対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額をいう。)をいい、同項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物とは、保税地域から引き取つた一般申告課税貨物又は特例申告書の提出若しくは特例申告に関する決定に係る課税貨物をいい、第二項に規定する課税期間における課税売上高とは、当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額(第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項及び第九項第一号において同じ。)の合計額から当該課税期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額(当該課税期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額から同項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に七十八分の百を乗じて算出した金額を控除した金額をいう。)の合計額を控除した残額(当該課税期間が一年に満たない場合には、当該残額を当該課税期間の月数(当該月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。)で除し、これに十二を乗じて計算した金額)をいい、第二項に規定する課税売上割合とは、当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。)の対価の額の合計額のうちに当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額の占める割合として政令で定めるところにより計算した割合をいう。
7 第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(同項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が少額である場合、特定課税仕入れに係るものである場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。
8 前項に規定する帳簿とは、次に掲げる帳簿をいう。
一 課税仕入れ等の税額が課税仕入れに係るものである場合には、次に掲げる事項が記載されているもの
イ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ロ 課税仕入れを行つた年月日
ハ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ニ 第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額
二 課税仕入れ等の税額が特定課税仕入れに係るものである場合には、次に掲げる事項が記載されているもの
イ 特定課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ロ 特定課税仕入れを行つた年月日
ハ 特定課税仕入れの内容
ニ 第一項に規定する特定課税仕入れに係る支払対価の額
ホ 特定課税仕入れに係るものである旨
三 課税仕入れ等の税額が第一項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物に係るものである場合には、次に掲げる事項が記載されているもの
イ 課税貨物を保税地域から引き取つた年月日(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取つた年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日)
ロ 課税貨物の内容
ハ 課税貨物の引取りに係る消費税額及び地方消費税額(これらの税額に係る附帯税の額に相当する額を除く。次項第三号において同じ。)又はその合計額
9 第七項に規定する請求書等とは、次に掲げる書類をいう。
一 事業者に対し課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この号において同じ。)を行う他の事業者(当該課税資産の譲渡等が卸売市場においてせり売又は入札の方法により行われるものその他の媒介又は取次ぎに係る業務を行う者を介して行われるものである場合には、当該媒介又は取次ぎに係る業務を行う者)が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次に掲げる事項(当該課税資産の譲渡等が小売業その他の政令で定める事業に係るものである場合には、イからニまでに掲げる事項)が記載されているもの
イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税資産の譲渡等を行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
ニ 課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)
ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
二 事業者がその行つた課税仕入れにつき作成する仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類で次に掲げる事項が記載されているもの(当該書類に記載されている事項につき、当該課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限る。)
イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ハ 課税仕入れを行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税仕入れにつきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
ニ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ホ 第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額
三 課税貨物を保税地域から引き取る事業者が税関長から交付を受ける当該課税貨物の輸入の許可(関税法第六十七条(輸出又は輸入の許可)に規定する輸入の許可をいう。)があつたことを証する書類その他の政令で定める書類で次に掲げる事項が記載されているもの
イ 納税地を所轄する税関長
ロ 課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなつた年月日(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取ることができることとなつた年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日)
ハ 課税貨物の内容
ニ 課税貨物に係る消費税の課税標準である金額並びに引取りに係る消費税額及び地方消費税額
ホ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
10 第七項に規定する帳簿の記載事項の特例、当該帳簿及び同項に規定する請求書等の保存に関する事項その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
新消費税法57の2
(適格請求書発行事業者の登録等)
第五十七条の二 国内において課税資産の譲渡等を行い、又は行おうとする事業者であつて、第五十七条の四第一項に規定する適格請求書の交付をしようとする事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、税務署長の登録を受けることができる。
2 前項の登録を受けようとする事業者は、財務省令で定める事項を記載した申請書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。この場合において、第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者が、同項本文の規定の適用を受けないこととなる課税期間の初日から前項の登録を受けようとするときは、政令で定める日までに、当該申請書を当該税務署長に提出しなければならない。
3 税務署長は、前項の申請書の提出を受けた場合には、遅滞なく、これを審査し、第五項の規定により登録を拒否する場合を除き、第一項の登録をしなければならない。
4 第一項の登録は、適格請求書発行事業者登録簿に氏名又は名称、登録番号その他の政令で定める事項を登載してするものとする。この場合において、税務署長は、政令で定めるところにより、当該適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項を速やかに公表しなければならない。
5 税務署長は、第一項の登録を受けようとする事業者が、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める事実に該当すると認めるときは、当該登録を拒否することができる。
一 当該事業者が特定国外事業者(国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを国内に有しない国外事業者をいう。次号及び次項において同じ。)以外の事業者である場合 当該事業者が、この法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者であること。
二 当該事業者が特定国外事業者である場合 次に掲げるいずれかの事実
イ 消費税に関する税務代理(税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第二条第一項第一号(税理士の業務)に掲げる税務代理をいう。次項第二号ハにおいて同じ。)の権限を有する国税通則法第七十四条の九第三項第二号(納税義務者に対する調査の事前通知等)に規定する税務代理人がないこと。
ロ 当該事業者が、国税通則法第百十七条第一項(納税管理人)の規定による納税管理人を定めていないこと。
ハ 現に国税の滞納があり、かつ、その滞納額の徴収が著しく困難であること。
ニ 当該事業者が、次項の規定により第一項の登録を取り消され(次項第二号ホ又はヘに掲げる事実のいずれかに該当した場合に限る。)、その取消しの日から一年を経過しない者であること。
ホ 当該事業者が、この法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者であること。
6 税務署長は、次の各号に掲げる適格請求書発行事業者が当該各号に定める事実に該当すると認めるときは、当該適格請求書発行事業者に係る第一項の登録を取り消すことができる。
一 特定国外事業者以外の事業者である適格請求書発行事業者 次に掲げるいずれかの事実
イ 当該適格請求書発行事業者が一年以上所在不明であること。
ロ 当該適格請求書発行事業者が事業を廃止したと認められること。
ハ 当該適格請求書発行事業者(法人に限る。)が合併により消滅したと認められること。
ニ 当該適格請求書発行事業者がこの法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと。
二 特定国外事業者である適格請求書発行事業者 次に掲げるいずれかの事実
イ 当該適格請求書発行事業者が事業を廃止したと認められること。
ロ 当該適格請求書発行事業者(法人に限る。)が合併により消滅したと認められること。
ハ 当該適格請求書発行事業者の第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限までに、当該申告書に係る消費税に関する税務代理の権限を有することを証する書面(税理士法第三十条(税務代理の権限の明示)(同法第四十八条の十六(税理士の権利及び義務等に関する規定の準用)において準用する場合を含む。)に規定する書面をいう。)が提出されていないこと。
ニ 当該適格請求書発行事業者(国税通則法第百十七条第一項の規定の適用を受ける者に限る。)が同項の規定による納税管理人を定めていないこと。
ホ 消費税につき国税通則法第十七条第二項(期限内申告)に規定する期限内申告書の提出がなかつた場合において、当該提出がなかつたことについて正当な理由がないと認められること。
ヘ 現に国税の滞納があり、かつ、その滞納額の徴収が著しく困難であること。
ト 当該適格請求書発行事業者がこの法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと。
7 税務署長は、第一項の登録又は前二項の処分をするときは、その登録又は処分に係る事業者に対し、書面によりその旨を通知する。
8 適格請求書発行事業者は、第四項に規定する適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があつたときは、その旨を記載した届出書を、速やかに、その納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。
9 税務署長は、前項の規定による届出書の提出を受けた場合には、遅滞なく、当該届出に係る事項を適格請求書発行事業者登録簿に登載して、変更の登録をするものとする。この場合において、税務署長は、政令で定めるところにより、当該変更後の適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項を速やかに公表しなければならない。
10 適格請求書発行事業者が、次の各号に掲げる場合に該当することとなつた場合には、当該各号に定める日に、第一項の登録は、その効力を失う。
一 当該適格請求書発行事業者が第一項の登録の取消しを求める旨の届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合 その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日(その提出が、当該課税期間の末日から起算して三十日前の日から当該課税期間の末日までの間にされた場合には、当該課税期間の翌課税期間の末日の翌日)
二 当該適格請求書発行事業者が事業を廃止した場合(前条第一項の規定により同項第三号に掲げる場合に該当することとなつた旨を記載した届出書を提出した場合に限る。) 事業を廃止した日の翌日
三 当該適格請求書発行事業者である法人が合併により消滅した場合(前条第一項の規定により同項第五号に掲げる場合に該当することとなつた旨を記載した届出書を提出した場合に限る。) 当該法人が合併により消滅した日
11 税務署長は、第六項の規定による登録の取消しを行つたとき、又は前項の規定により第一項の登録がその効力を失つたときは、当該登録を抹消しなければならない。この場合において、税務署長は、政令で定めるところにより、当該登録が取り消された又はその効力を失つた旨及びその年月日を速やかに公表しなければならない。
12 前各項に定めるもののほか、この条の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
新消費税法57の4
(適格請求書発行事業者の登録等)
第五十七条の二 国内において課税資産の譲渡等を行い、又は行おうとする事業者であつて、第五十七条の四第一項に規定する適格請求書の交付をしようとする事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、税務署長の登録を受けることができる。
2 前項の登録を受けようとする事業者は、財務省令で定める事項を記載した申請書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。この場合において、第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者が、同項本文の規定の適用を受けないこととなる課税期間の初日から前項の登録を受けようとするときは、政令で定める日までに、当該申請書を当該税務署長に提出しなければならない。
3 税務署長は、前項の申請書の提出を受けた場合には、遅滞なく、これを審査し、第五項の規定により登録を拒否する場合を除き、第一項の登録をしなければならない。
4 第一項の登録は、適格請求書発行事業者登録簿に氏名又は名称、登録番号その他の政令で定める事項を登載してするものとする。この場合において、税務署長は、政令で定めるところにより、当該適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項を速やかに公表しなければならない。
5 税務署長は、第一項の登録を受けようとする事業者が、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める事実に該当すると認めるときは、当該登録を拒否することができる。
一 当該事業者が特定国外事業者(国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを国内に有しない国外事業者をいう。次号及び次項において同じ。)以外の事業者である場合 当該事業者が、この法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者であること。
二 当該事業者が特定国外事業者である場合 次に掲げるいずれかの事実
イ 消費税に関する税務代理(税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第二条第一項第一号(税理士の業務)に掲げる税務代理をいう。次項第二号ハにおいて同じ。)の権限を有する国税通則法第七十四条の九第三項第二号(納税義務者に対する調査の事前通知等)に規定する税務代理人がないこと。
ロ 当該事業者が、国税通則法第百十七条第一項(納税管理人)の規定による納税管理人を定めていないこと。
ハ 現に国税の滞納があり、かつ、その滞納額の徴収が著しく困難であること。
ニ 当該事業者が、次項の規定により第一項の登録を取り消され(次項第二号ホ又はヘに掲げる事実のいずれかに該当した場合に限る。)、その取消しの日から一年を経過しない者であること。
ホ 当該事業者が、この法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者であること。
6 税務署長は、次の各号に掲げる適格請求書発行事業者が当該各号に定める事実に該当すると認めるときは、当該適格請求書発行事業者に係る第一項の登録を取り消すことができる。
一 特定国外事業者以外の事業者である適格請求書発行事業者 次に掲げるいずれかの事実
イ 当該適格請求書発行事業者が一年以上所在不明であること。
ロ 当該適格請求書発行事業者が事業を廃止したと認められること。
ハ 当該適格請求書発行事業者(法人に限る。)が合併により消滅したと認められること。
ニ 当該適格請求書発行事業者がこの法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと。
二 特定国外事業者である適格請求書発行事業者 次に掲げるいずれかの事実
イ 当該適格請求書発行事業者が事業を廃止したと認められること。
ロ 当該適格請求書発行事業者(法人に限る。)が合併により消滅したと認められること。
ハ 当該適格請求書発行事業者の第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限までに、当該申告書に係る消費税に関する税務代理の権限を有することを証する書面(税理士法第三十条(税務代理の権限の明示)(同法第四十八条の十六(税理士の権利及び義務等に関する規定の準用)において準用する場合を含む。)に規定する書面をいう。)が提出されていないこと。
ニ 当該適格請求書発行事業者(国税通則法第百十七条第一項の規定の適用を受ける者に限る。)が同項の規定による納税管理人を定めていないこと。
ホ 消費税につき国税通則法第十七条第二項(期限内申告)に規定する期限内申告書の提出がなかつた場合において、当該提出がなかつたことについて正当な理由がないと認められること。
ヘ 現に国税の滞納があり、かつ、その滞納額の徴収が著しく困難であること。
ト 当該適格請求書発行事業者がこの法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと。
7 税務署長は、第一項の登録又は前二項の処分をするときは、その登録又は処分に係る事業者に対し、書面によりその旨を通知する。
8 適格請求書発行事業者は、第四項に規定する適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があつたときは、その旨を記載した届出書を、速やかに、その納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。
9 税務署長は、前項の規定による届出書の提出を受けた場合には、遅滞なく、当該届出に係る事項を適格請求書発行事業者登録簿に登載して、変更の登録をするものとする。この場合において、税務署長は、政令で定めるところにより、当該変更後の適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項を速やかに公表しなければならない。
10 適格請求書発行事業者が、次の各号に掲げる場合に該当することとなつた場合には、当該各号に定める日に、第一項の登録は、その効力を失う。
一 当該適格請求書発行事業者が第一項の登録の取消しを求める旨の届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合 その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日(その提出が、当該課税期間の末日から起算して三十日前の日から当該課税期間の末日までの間にされた場合には、当該課税期間の翌課税期間の末日の翌日)
二 当該適格請求書発行事業者が事業を廃止した場合(前条第一項の規定により同項第三号に掲げる場合に該当することとなつた旨を記載した届出書を提出した場合に限る。) 事業を廃止した日の翌日
三 当該適格請求書発行事業者である法人が合併により消滅した場合(前条第一項の規定により同項第五号に掲げる場合に該当することとなつた旨を記載した届出書を提出した場合に限る。) 当該法人が合併により消滅した日
11 税務署長は、第六項の規定による登録の取消しを行つたとき、又は前項の規定により第一項の登録がその効力を失つたときは、当該登録を抹消しなければならない。この場合において、税務署長は、政令で定めるところにより、当該登録が取り消された又はその効力を失つた旨及びその年月日を速やかに公表しなければならない。
12 前各項に定めるもののほか、この条の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(適格請求書発行事業者の義務)
第五十七条の四 適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行つた場合(第四条第五項の規定により資産の譲渡とみなされる場合、第十七条第一項又は第二項本文の規定により資産の譲渡等を行つたものとされる場合その他政令で定める場合を除く。)において、当該課税資産の譲渡等を受ける他の事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。以下この条において同じ。)から次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(以下この条から第五十七条の六までにおいて「適格請求書」という。)の交付を求められたときは、当該課税資産の譲渡等に係る適格請求書を当該他の事業者に交付しなければならない。ただし、当該適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難な課税資産の譲渡等として政令で定めるものを行う場合は、この限りでない。
一 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号(第五十七条の二第四項の登録番号をいう。次項第一号及び第三項第一号において同じ。)
二 課税資産の譲渡等を行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
三 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
四 課税資産の譲渡等に係る税抜価額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。次項第四号及び第三項第四号において同じ。)又は税込価額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含むものとする。次項第四号及び第三項第四号において同じ。)を税率の異なるごとに区分して合計した金額及び適用税率(第二十九条第一号又は第二号に規定する税率に七十八分の百を乗じて得た率をいう。次項第五号及び第三項第五号において同じ。)
五 消費税額等(課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額の合計額として前号に掲げる税率の異なるごとに区分して合計した金額ごとに政令で定める方法により計算した金額をいう。)
六 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
2 前項本文の規定の適用を受ける場合において、同項の適格請求書発行事業者が国内において行つた課税資産の譲渡等が小売業その他の政令で定める事業に係るものであるときは、適格請求書に代えて、次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(以下この条から第五十七条の六までにおいて「適格簡易請求書」という。)を交付することができる。
一 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
二 課税資産の譲渡等を行つた年月日
三 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
四 課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額
五 消費税額等(前項第五号の規定に準じて計算した金額をいう。)又は適用税率
3 売上げに係る対価の返還等(第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等をいう。以下この項において同じ。)を行う適格請求書発行事業者は、当該売上げに係る対価の返還等を受ける他の事業者に対して、次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(以下この条において「適格返還請求書」という。)を交付しなければならない。ただし、当該適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、当該売上げに係る対価の返還等に際し適格返還請求書を交付することが困難な課税資産の譲渡等として政令で定めるものを行う場合は、この限りでない。
一 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
二 売上げに係る対価の返還等を行う年月日及び当該売上げに係る対価の返還等に係る課税資産の譲渡等を行つた年月日
三 売上げに係る対価の返還等に係る課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該売上げに係る対価の返還等に係る課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
四 売上げに係る対価の返還等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額
五 売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等(第一項第五号の規定に準じて計算した金額をいう。)又は適用税率
4 適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した適格請求書発行事業者は、これらの書類の記載事項に誤りがあつた場合には、これらの書類を交付した他の事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければならない。
5 適格請求書発行事業者は、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項に係る電磁的記録(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第二条第三号(定義)に規定する電磁的記録をいう。以下この条から第五十七条の六までにおいて同じ。)を提供することができる。この場合において、当該電磁的記録として提供した事項に誤りがあつた場合には、前項の規定を準用する。
6 適格請求書、適格簡易請求書若しくは適格返還請求書を交付し、又はこれらの書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を提供した適格請求書発行事業者は、政令で定めるところにより、これらの書類の写し又は当該電磁的記録を保存しなければならない。この場合において、当該電磁的記録の保存については、財務省令で定める方法によるものとする。
7 適格請求書、適格簡易請求書及び適格返還請求書の記載事項その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。