問121 軽減税率制度の実施後、「店内飲食」と「持ち帰り」とで税率が異なりますが、消費者に対する価格表示はどのようにしたらよいですか。
【答】
令和元年(2019年)10月1日からの軽減税率制度の実施に伴う価格表示について、適切な価格表示を推進し、事業者間の公正かつ自由な競争を促進するとともに、一般消費者の適正な商品又は役務の選択を確保することを目的として、関係省庁連名で、平成30年5月18日付「消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について」(消費者庁・財務省・経済産業省・中小企業庁)が公表され、同一の飲食料品の販売につき適用される消費税率が異なる場面における小売店等の価格表示の具体例等が示されています。
公表されている内容は、事業者の皆様に対して、現時点において価格表示として考えられる方法の具体例等を示しているものですので、事業者の皆様の事業の実情に応じ、「消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について」を参考にどのような価格表示を行うのか、ご検討ください。
(参考)
1 消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について(消費者庁・財務省・経済産業省・中小企業庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/consumption_tax/pdf/consumption_tax_180518_0002.pdf
2 消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について(抜粋)
第2 具体的な表示方法等
○ テイクアウト等及び店内飲食の両方の税込価格を表示する方法
事業者の判断※により、テイクアウト等及び店内飲食の両方の税込価格を表示することが考えられる。なお、両方の税込価格に併せて、税抜価格(消費税等を含まない価格をいう。以下同じ。)又は消費税額を併記することも認められる。
※ 事業者の判断の具体例としては、例えば以下のようなものが想定される。 〇「テイクアウト等」と「店内飲食」が同程度の割合で利用される場合において、テイクアウト等と店内飲食の選択における消費者の価格判断を行う際の利便性を向上するなど
(具体例)
イートインスペースのある小売店等の商品棚における価格表示
○ テイクアウト等又は店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示する方法
事業者の判断※により、テイクアウト等又は店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示することが考えられる。
※ 事業者の判断の具体例としては、例えば以下のようなものが想定される。
この点について、消費税法(昭和63年法律第108号)第63条では、総額表示義務として、不特定かつ多数の者に対してあらかじめ商品や役務の価格を表示するときに、税込価格を表示することが義務付けられているが、当該義務は、あらかじめ価格を表示しない場合にまで課されるものではないことから、テイクアウト等又は店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示し、もう片方の税込価格を表示しない場合であっても、同条の規定には違反しない。
しかしながら、店内飲食の場合には適用税率が異なるため、テイクアウト等の場合よりも店内飲食のほうが税込価格が高いにもかかわらず、テイクアウト等の場合であることを明瞭に表示せず、その税込価格のみを表示している場合には、一般消費者に店内飲食の価格が実際の価格よりも安いとの誤認を与えてしまい、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)第5条第2号の規定により禁止される表示(有利誤認)に該当するおそれがある。
また、一般消費者にとって価格表示は、商品又は役務(サービス)の選択上最も重要な販売価格についての情報を得る手段であるという点を踏まえると、テイクアウト等と店内飲食との間で税込価格が異なる場合は、事業者は、顧客の意思表示により異なる税率が適用され、税込価格が別途計算されることがあり得る旨、店舗内の目立つ場所に掲示するなどの手段により、一般消費者に対して注意喚起を行うことが望ましい。
(具体例)
イートインスペースのある小売店等の価格表示
(参考)外食事業者やイートインスペースのある小売店等において、適用税率を判定するための顧客への意思確認については、例えば、小売店等では「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」、外食事業者では「テイクアウトの場合はお申し出ください」といった掲示により行うなど、営業の実態に応じた方法で行うこととして差し支えないものとされている。
2 事業者がどのような価格設定を行うかは事業者の任意である。そのため、軽減税率が適用されるテイクアウト等の税抜価格を標準税率が適用される店内飲食より高く設定、又は店内飲食の税抜価格を低く設定することで同一の税込価格を設定することも可能である※。その場合における価格表示方法としては以下の方法が考えられる。
※ 具体的には、
○ 一の税込価格を表示する方法
事業者の判断※により、テイクアウト等及び店内飲食の税込価格が同一になるようにテイクアウト等の税抜価格を高く設定、又は店内飲食の税抜価格を低く設定した上で、当該一の税込価格を表示することが考えられる。
※ 事業者の判断の具体例としては、例えば以下のようなものが想定される。
(具体例)
イートインスペースのある小売店等の商品棚における価格表示
(参考) 税抜価格を表示する方法(令和3年(2021年)3月31日まで)
消費税転嫁対策特別措置法第10条第1項においては、現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置(以下「誤認防止措置」という。)を講じているときに限り、同法が失効する令和3年(2021年)3月31日までの間、消費税法第63条に規定する総額表示義務の特例として、税込価格を表示することを要しないこととされている。
@ 税抜価格とともに消費税額を表示する場合
A 税抜価格のみを表示する場合
(具体例)
イートインスペースのある小売店等の価格表示 |
出所:国税庁