リファンド方式における具体的な免税販売手続の方法等

リファンド方式における具体的な免税販売手続の方法等

令和8年11月1日から導入されるリファンド方式について、国税庁が公表しているQ&Aを随時紹介しています。

問2 リファンド方式における免税販売手続の方法等を詳しく教えてください。

 

先生、リファンド方式の免税販売手続きについて教えていただけませんか?令和8年から変わると聞いたのですが、具体的にどのような手続きになるのでしょうか?

 

 

もちろんです。令和8年11月1日から、今までの免税販売の仕組みが大きく変わりますね。新しいリファンド方式では、まず消費税込みで販売して、後で税金相当額を返金する形になります。

 

 

今までと大きく違うんですね!具体的にはどのような流れになりますか?

 

 

まず、外国人旅行者と販売店側のそれぞれの立場からみていきましょう。外国人旅行者側は何をする必要があるでしょうか?

 

 

えーと、まずは旅券を見せる必要があると思います。

 

 

その通りです。外国人旅行者等は、免税で買い物をする際に旅券等の提示が必要です。具体的には次のように分かれます。

 

1. 外国籍の方は、原則として上陸許可の証印を受けた旅券を提示します。Visit Japan Webの二次元コードでも大丈夫です。
2. 船舶観光上陸許可などの各種上陸許可を受けている外国籍の方は、上陸許可書と旅券の両方が必要です。
3. 日本国籍の方は、旅券に加えて「在留証明」「戸籍の附票の写し」「マイナンバーカード」のいずれかの証明書類も必要となります。

 

 

なるほど。でも、日本人も免税対象になるんですか?

 

 

はい、永住権を持って海外に住んでいる日本人なども対象になります。それから、免税で購入した商品は購入日から90日以内に出国する際、きちんと税関で確認を受ける必要があるんですよ。

 

 

税関での確認は具体的にどのように行うのでしょうか?

 

 

出国時に旅券等を提示して、税関の確認を受けます。その際、免税対象物品を見せられるようにしておく必要があります。特に注意が必要なのは、手荷物を預けた後では確認を受けられないということです。ですから、空港でチェックインして荷物を預ける前に税関での確認を済ませる必要があります。

 

 

なるほど。では次に、販売店側の手続きはどうなりますか?

 

 

販売店側は以下の手続きが必要です。

 

1. まず、旅券等を確認して、お客様が免税購入対象者であるかを確認します。
2. 次に、お客様に必要な事項を説明します。例えば、90日以内の出国時に税関確認が必要なことや、商品を輸出しなかった場合には消費税を徴収され、罰則の対象にもなることなどです。
3. そして大きな変更点ですが、商品を「税込価格」で販売します。今までの免税方式とは違って、いったん消費税を含めた金額で販売するんです。

 

 

それが「リファンド方式」の名前の由来なんですね。税金をいったん払ってもらって、後で返金(リファンド)するわけですか。

 

 

その通りです!それから、販売時には遅滞なく国税庁の免税販売管理システムに購入記録情報を提供する必要があります。

 

 

購入記録情報とは具体的にどのような内容なのでしょうか?

 

 

主に旅券番号などのお客様情報と購入した商品情報です。特に単価100万円以上の商品の場合は、シリアル番号などの詳細情報も設定する必要があります。また、購入記録情報は正確に提供することが大切です。情報に誤りがあると、税関での確認ができず、免税が適用されない可能性があります。

 

 

以前あった消耗品と一般物品の区分や、消耗品の特殊包装要件はどうなりますか?

 

 

良い質問ですね。その区分は廃止されます。購入下限額の5千円の判定は、区分せずに税抜価格で行いますよ。

 

 

お客様が出国した後はどうなるのでしょうか?

 

 

お客様が無事に税関の確認を受けると、税関確認情報が免税販売管理システムに登録されます。販売店は、その税関確認情報を取得して保存します。そして、消費税相当額をお客様に返金します。

 

 

返金方法は決まっているのでしょうか?

 

 

実は、返金方法については消費税法令で具体的に定められていないんです。銀行振込、クレジットカード送金、アプリ送金、空港内での現金による返金など、さまざまな方法が考えられます。お店が実情に合わせて対応することになりますね。

 

 

書類の保存期間はどのくらい必要ですか?

 

 

購入記録情報と税関確認情報は、販売を行った日の属する課税期間の末日の翌日から7年間保存する必要があります。これらの情報がない場合は、原則として免税の適用は受けられません。

 

 

リファンド方式のイメージがつかめてきました。要するに…
1. まず店舗で税込で販売
2. 購入情報を国税庁システムに登録
3. お客様が出国時に税関で確認を受ける
4. 税関の確認情報が登録される
5. その情報を店舗側が取得して、消費税相当額を返金する
という流れなんですね。

 

 

その通りです!よく理解できていますね。この新しい制度は令和8年11月1日から開始され、現行制度との併用期間はありません。一気に切り替わるので、販売店側はしっかり準備が必要です。

 

 

ありがとうございます。しっかり理解して、お客様にもわかりやすく説明できるようにしたいと思います!

【答】

「一般型輸出物品販売場」における免税購入対象者に対する免税販売手続の方法等は、次のとおりです(免税販売手続を承認免税手続事業者に委託して行わせる場合の方法等は問 24 参照)。

 

@

 旅券等の提示・情報の提供 (下線は主な改正箇所。以下この問において同じです。)
 輸出物品販売場を経営する事業者は、免税購入対象者本人から旅券等の提示を受け、その旅券等に記載された情報の提供を受けます(消令18 A))(問3参照 )。 次の免税購入対象者の区分に応じた旅券等の提示がない場合 は、免税販売手続を行うことはできません(消令 18 A一)。

ロ以外の免税購入対象者…旅券 (注1)(上陸許可の証印を受けたもの)
各種上陸許可(船舶観光上陸許可、乗員上陸許可、緊急上陸許可又は遭難による上陸許可)を受けて在留した免税購入対象者…各種上陸許可書及び旅券 (注2)
(注) 1 旅券に係る情報が記録された Visit Japan Web の二次元コードによる提示を含みます。
2 船舶観光上陸許可を受けて在留する者の旅券には旅券の写しを含みます(消基通8−1−1)。
また、日本国籍を有する免税購入対象者に対して免税販売手続を行う場合は、 旅券に加え 「在留証明」、「戸籍の附票の写し」又は「個人番号カード(マイナンバーカード)」(以下「証明書類」といいます 。) の提示を受け、旅券及び証明書類に記載された情報の提供を受けます(消令 18 A一二、消規6の2)。
A

 税購入対象者であることを確認
 輸出物品販売場を経営する事業者は、@で提示を受けた旅券等により、購入者が免税購入対象者である ことを確認します (問3参照)。

B

 免税購入対象者に対して必要事項を説明
 輸出物品販売場を経営する事業者は、免税販売手続の際、免税購入対象者に対して、「税関の確認は購入日から90日以内の出国時に旅券を提示等し、かつ、免税購入対象者は税関の求めに応じて免税対象物品を提示 (注)できるようにしなければならない」旨や「税関の確認を受けた免税対象物品を遅滞なく輸出しなければならず、それを輸出しなかった場合には、免除された消費税額に相当する消費税を徴収され、かつ、罰則の適用対象となる」旨を説明しなければなりません(消令18B、消規6の3)。
(注 )税関の確認は、空港等で手荷物の機内預けをした後に受けることはできません。そのため、手荷物の機内預けをする前に税関の確認を受ける必要がある旨を説明します。

C

 免税対象物品の引渡し(税込価格で販売
 輸出物品販売場を経営する事業者は、免税対象物品を免税購入対象者本人に引き渡します。なお、E及びF下線箇所に係る改正に伴い、現行制度の免税価格(税抜価格)での販売から課税価格(税込価格)での販売に変更されることとなります。また、一般物品と消耗品の区分が廃止されることに伴い、消耗品の購入上限額及び特殊包装要件は廃止され、購入下限額(5千円)の判定はこれらの区分をせず行うこととされます(問4参照)。
(注)課税価格(税込価格)での販売に変更されますが、購入下限額(5千円)の判定は「税抜価額」で行い(消法8@)、Dの購入記録情報も、引き続き「税抜価額」で提供することとなります(消規6の4@四)。

D

 購入記録情報の提供購入記録情報の提供
 輸出物品販売場を経営する事業者は、免税販売手続の際、遅滞なく国税庁(免税販売管理システム)に購入記録情報を提供しなければなりません(消法8A)。

(注) 承認送受信事業者は契約に係る輸出物品販売場ごとに国税庁(免税販売管理システム)に購入記録情報を提供することができます(消令18の4@)。
購入記録情報に設定する(@で提示を受けた)旅券等の番号は、旅券番号に統一されます(消規6の2A二)。
購入記録情報に設定する日本国籍を有する免税購入対象者に係る「証明書類」の内容は、「証明書類の種類」と「国外転出日又は国外定住日」に緩和され、証明書類の写し等の保存要件は廃止されます(消規6の2B)。
単価100万円(税抜価額)以上の商品を販売した場合、購入記録情報としてを「商品情報詳細」(シリアル番号等)を設定することとされます(消規6の4@五)(問13、14参照)。また、購入記録情報に設定できる任意項目として、「商品分類」(問12参照)や「販売場名称(英語表記)」が追加されます。
税関の確認は、輸出物品販売場から提供された購入記録情報に基づき行うため、購入記録情報は誤りのないように正しく設定し、国税庁(免税販売管理システム)に提供する必要があります。購入記録情報に誤りがあり、税関の確認が行えない場合、原則として免税購入対象者は税関による免税対象物品の持出し確認を受けることができず、輸出物品販売場を経営する事業者においては、税関確認情報の取得・保存ができないことから、免税の適用を受けることはできません
E

 税関確認情報の取得
 輸出物品販売場を経営する事業者は、免税購入対象者が免税対象物品を持ち出す(輸出する)ことにつき、その購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受けた旨の情報(税関確認情報)について、国税庁(免税販売管理システムから取得します(消令18H)(問33〜37参照)。

F

 購入記録情報及び税関確認情報の保存
 輸出物品販売場を経営する事業者は、国税庁(免税販売管理システム に提供した購入記録情報及び取得した税関確認情報を整理して、免税対象物品の譲渡を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、これを納税地又はその取引に係る事務所等に保存しなければなりません(消法8C、消令18I))(問17参照)。
 なお、購入記録情報及び税関確認情報の保存がない場合、免税購入対象者に対する販売であっても免税の適用を受けることはできません。ただし、事業者が災害その他やむを得ない事情により保存できなかったことを証明した場合には、この限りではありません(消法8C但書、消基通8−1−7)。

G

 免税が成立し、免税購入対象者へ返金
 取得した税関確認情報等に基づき、免税対象物品に係る消費税相当額を免税購入対象者に返金します

(注) 具体的な返金手続をどのように実施するかは消費税法令においてルールを定めているものではありません(問29参照)。
Eで税関確認情報を取得した後、課税売上げを免税売上げに振り替える等の処理を行います(問26、27参照)。免税対象物品を販売してから90日を超えても税関確認情報が提供されない場合、課税販売(課税売上げ)が確定します(問37参照)。
(参考)

 免税購入対象者は、免税対象物品を持ち出す(輸出する)ことにつき、その購入日から90日以内の出国時に所持する旅券等を提示し税関の確認を受けるものとされます(消法8@、消令18D)(問18、19参照)。
 この税関の確認は、購入記録情報を単位として行われます(消法8B、消基通8−1−6)。購入記録情報の単位とは、一の販売(領収)単位(基本的には、取引ごとに領収書やレシート等の書類を交付することが一般的であると考えられますので、このような取引の単位)をいいます(問20参照)。
 また、この確認を受けた免税対象物品が輸出されないこととなった場合には、税関は、免除された消費税額に相当する消費税を免税購入対象者から徴収することとされます(消法8E)。正当な理由なく、その免税対象物品を遅滞なく輸出しなかった場合には、罰則の適用対象とされます(消法8D、65一、消基通8−1−8)。

 

出所:国税庁