免税購入対象者の確認方法等の見直し

免税購入対象者の確認方法等の見直し

令和8年11月1日から導入されるリファンド方式について、国税庁が公表しているQ&Aを随時紹介しています。

問3 免税購入対象者の確認方法等の見直しが行われたとのことですが、その概要を教えてください。

 

おはようございます。今日は免税購入対象者の確認方法の見直しについて説明しますね。令和8年11月のリファンド方式導入に向けて重要な変更点です。

 

 

先生、おはようございます。免税購入の確認方法が変わるんですね。お客様への説明のためにもしっかり理解したいです。

 

 

まず確認しておきたいのは、免税購入対象者の定義自体は変わらないということです。従来通り「外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6号に規定する非居住者であって一定の要件を満たす者」が対象です。

 

 

つまり、基本的には外国人旅行者などの非居住者ということですね。

 

 

その通りです。変更があるのは、その方々が免税購入対象者かどうかを確認する際の方法です。外国籍の方と日本国籍の方でそれぞれ見直しがあります。

 

 

確認方法が変わるんですね。まず外国籍の方の場合はどう変わりますか?

 

 

外国籍の方については、在留資格によって変更点が異なります。特に大きな変更があるのは「船舶観光上陸許可、乗員上陸許可、緊急上陸許可、遭難による上陸許可」で在留する方の確認方法です。

 

 

クルーズ船などで来日する観光客の方たちですね。

 

 

そうです。これまではこれらの方々は上陸許可書の提示だけで良かったのですが、変更後は「上陸許可書」に加えて「旅券(パスポート)の提示」も必要になります。

 

 

二つの書類が必要になるんですね。

 

 

はい。ただし船舶観光上陸許可の場合は旅券の写しでも構いません。また購入記録情報として入力する番号も、上陸許可書番号ではなく「旅券番号」が必須となります。

 

 

システム入力の際にも旅券番号を入れるようになるんですね。他の外国籍の方はどうですか?

 

 

「寄港地上陸許可、通過上陸許可、短期滞在、外交、公用」の方は変更なく、従来通り旅券の提示のみでOKです。購入記録情報も旅券番号のままです。

 

 

一般的な観光ビザの方は変わらないということですね。米軍の方はどうでしょうか?

 

 

米軍関係者については、提示書類は従来通り「SOFAスタンプのある旅券」ですが、購入記録情報の設定で変更があります。「在留資格」欄が「99:その他」から「96:米軍構成員」という独立した項目になります。

 

 

システム上で選択肢が増えるんですね。日本国籍の方の場合はどうなりますか?

 

 

日本国籍の方で国外に2年以上居住する非居住者については、大きく2点変更があります。まず提示書類ですが、従来の「在留証明」または「戸籍の附票の写し」に加えて、「個人番号カード(マイナンバーカード)」も確認書類として使えるようになります。

 

 

マイナンバーカードも使えるようになるんですね!便利になりそうです。在留証明は以前と同じでしょうか?

 

 

在留証明については、電子的な証明書(e-証明書)やそれを印刷したものも認められるようになります。さらに大きな変更は購入記録情報の設定です。

 

 

記録する内容も変わるんですね。

 

 

はい。これまでは証明書類の種類、作成日、本籍、在外公館名などを記録したり、証明書類の写しを保存したりする必要がありましたが、新しい制度では「証明書類の種類」と「国外転出日または国外定住日」の2項目だけを記録すればよくなります。

 

 

かなり簡素化されますね!

 

 

そうですね。証明書類の写しの保存も不要になり、本籍の記載も不要になります。これはプライバシー保護の観点からも良い変更ですね。また非居住者かどうかの確認方法も、どの証明書類でも「国外転出日から最終入国日までの期間」で確認するように統一されます。

 

 

確認の基準が明確になりますね。他に重要な変更はありますか?

 

 

もう一つ重要なのは、購入記録情報の番号が「旅券番号に統一」される点です。これまで書類によって記録する番号が異なっていましたが、旅券番号に統一されることで管理がしやすくなります。

 

 

いつから変わるんでしたっけ?

 

 

これらの変更は令和8年11月1日から施行されるリファンド方式に伴うものです。免税店の運営者としては、それまでに新しい確認方法に対応できるよう準備する必要があります。

 

 

わかりました!整理すると、@免税購入対象者の定義は変わらないけれど確認方法が変わる、A外国籍の方は特に船舶観光上陸許可等の方は旅券の提示も必要になる、B日本国籍の非居住者の方はマイナンバーカードも使えるようになり記録項目も簡素化される、C購入記録の番号は旅券番号に統一される...ということですね。

 

 

その通りです!よく理解できていますね。これらの変更で事務手続きが合理化され、お客様の利便性も向上すると期待されています。何か質問はありますか?

 

 

いえ、とても分かりやすかったです。これで免税購入希望のお客様にも正確にご案内できそうです。ありがとうございました!

 

 

どういたしまして。制度変更の詳細は国税庁のサイトにも掲載されていますので、必要に応じて確認してくださいね。

【答】

1.免税購入対象者

輸出物品販売場における免税販売手続の対象は、外国人旅行者等の「免税購入対象者」に対する販売に限られます(消法8@、消令18@)。この「免税購入対象者」とは、外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6号に規定する非居住者であって、一定の要件を満たす者をいいます。
(参考)免税購入対象者(改正された事項はありません。)

国 籍 免税購入対象者
外国籍 非居住者のうち、次の者 
@ 「短期滞在」、「外交」、「公用」の在留資格をもって在留する者(出入国管理及び難民認定法別表1の1、1の3)
A 寄港地上陸許可、船舶観光上陸許可、通過上陸許可、乗員上陸許可、緊急上陸許可、遭難による上陸許可を受けて在留する者(出入国管理及び難民認定法14〜18)
B 合衆国軍隊の構成員等(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定1)
日本国籍 非居住者であって、国内以外の地域に引き続き2年以上住所又は居所を有する者
2.免税購入対象者であることの確認

輸出物品販売場を経営する事業者は、免税購入対象者本人から旅券等の提示を受けて購入者が免税購入対象者であることを確認し、その旅券等に記載された情報の提供を受ける必要があります。
この確認する際の提示書類等について、次のとおり見直しが行われます(消令18A)。
(確認時の提示書類等下線は主な変更箇所)

国籍等

現行制度
(〜R8.10.31)

リファンド方式
(R8.11.1〜)



船舶観光、乗員、緊急、遭難による上陸許可

【提示書類等】
・上陸許可書

【提示書類等】
・上陸許可書及び旅券
※ 船舶観光上陸許可により在留する者は旅券の写しも可(消基通8−1−1(注)2)。

【購入記録情報の設定】
・許可書番号
※ 船舶観光上陸許可書(旅券の写しの添付あり)を所持する者は旅券番号。

【購入記録情報の設定(注1) 】
旅券番号許可書番号は不可

・寄港地、通過による上陸許可・短期滞在、外交、公用

【提示書類等】
・旅券

同左

【購入記録情報の設定】
・旅券番号

合衆国軍隊の構成員等

【提示書類等】
・SOFAスタンプのある旅券

同左

【購入記録情報の設定】
・旅券番号
※「在留資格」欄に「99:その他」、「備考」欄に「米軍構成員」

【購入記録情報の設定(注1) 】
・旅券番号
「在留資格」欄に「96:米軍構成員」

(注)1 購入記録情報として設定する項目のうち、「旅券番号」欄及び「在留資格」欄について見直しのあった項目を記載しています。

 

国籍

現行制度
(〜R8.10.31)

リファンド方式
(R8.11.1〜)

日本
国籍

【提示書類等】
・旅券
・在留証明又は戸籍の附票の写し最終入国日から起算して6月前の日以後に作成され、かつ、本籍は地番まで記載があるものに限ります。)
※ 非居住者(国外に2年以上居住)の判定は、これらの証明書類の作成時点において確認します。
  在留証明には、電磁的記録で提供されるもの(いわゆるe証明書)やe証明書を紙に印刷したものを含みます。

【提示書類等】
・旅券
・左記の証明書類等 又は 個人番号カード(マイナンバーカード)

 

※ 非居住者(国外に2年以上居住)の確認は、証明書類のいずれであっても国 外転出日(国外定住日)から 最終入国日(旅券に記載された「上陸年月日」) までの期間で行うこととされます(消規6の2@)。また、証明書類については、 本籍の記載は不要 とされます。

【購入記録情報の設定等】
・購入記録情報に必要事項を設定又は証明書類の写し等 の保存
※ 必要事項は原則として、証明書類の種類、作成発給 年月日、本籍、在外公館の名称(在留証明に限ります。)を設定。

【購入記録情報の設定等(注2) 】
・購入記録情報の必要事項は「証明書類の種類」及び「国外転出日又は国外定住日」の2項目に緩和され証明書類の写し等の保存要件は廃止

(注)2 購入記録情報として設定する項目のうち、「備考」欄について見直しのあった項目を記載しています。なお、これら2項目は「備考」欄ではなく、それぞれの項目欄に設定をします。

 

出所:国税庁