
おはようございます。今日は免税対象物品の範囲等に関する見直しについて解説しましょう。
おはようございます。免税制度の見直しについては、クライアントからの問い合わせも増えていますので、しっかり理解したいと思います。
そうですね。まず大きな変更点として、一般物品と消耗品の区分が廃止されることになります。
区分が廃止されるんですか?消耗品に対する制限がなくなるということでしょうか?
その通りです。現行制度では、消耗品には同一店舗における1日当たりの購入上限額が50万円という制限と、特殊包装の要件がありましたよね。これらの制限が全てなくなります。
なるほど!化粧品や食品などを大量に購入する外国人観光客も、包装の手間や金額制限を気にせずに免税で購入できるようになるわけですね。
そうです。また、免税対象となる物品の定義も変わります。新しい制度では「免税対象外の物品以外は全て免税対象」というシンプルな考え方になります。
「免税対象外の物品」とは具体的にどのようなものですか?
大きく2種類あります。一つは、消費税に関する不正の目的で購入されるおそれが高い物品、具体的には金や白金の地金、金貨、白金貨などです。もう一つは、消費税が非課税とされる物品です。
なるほど。特に価値が変動しにくく換金性の高い貴金属は除外されるわけですね。
その通りです。そして現行制度では「通常生活の用に供するもの」かどうかの判断が必要でしたが、この判断も不要になります。
それは店舗側にとってもわかりやすくなりますね!ただ「通常生活の用に供するもの」って判断が難しいケースもありましたから。
そうなんです。判断基準があいまいな部分があったので、この変更は小売店にとっても運用がしやすくなるでしょう。さて、購入下限額についてはどうなるか知っていますか?
えーと、確か現行制度でも税抜5千円以上でしたよね?
その通り。購入下限額は引き続き税抜価額で5千円以上です。ただし、一般物品と消耗品の区分けなく判定されるようになります。以前は消耗品だけだと5千円以上かつ5万円未満という条件がありましたが、区分がなくなることでその条件も適用されなくなります。
シンプルになりますね。ところで、購入した商品はどのように持ち出す必要があるのでしょうか?
基本的には、免税購入対象者は購入した免税対象物品の全てを自身で所持して出国、つまり輸出する必要があります。
全て自分で持って出国...大きな物品の場合は大変かもしれませんね。
その点については安心してください。購入時に輸出物品販売場から直送制度を利用して輸出することも可能です。大型家電や大きな工芸品などは直送制度を利用することになるでしょう。
なるほど!でも、もし出国時に税関の確認を受けなかった場合はどうなりますか?
重要なポイントです。免税購入対象者が出国時に税関の確認を受けなかった場合、その免税対象物品を販売した輸出物品販売場では免税の適用を受けることができません。つまり、輸出物品販売場は消費税分を負担することになります。
それは厳しい条件ですね。店舗側としては、購入者にしっかりと出国時の税関確認の重要性を伝える必要がありそうです。
その通りです。リファンド方式では、免税対象物品の区分や用途に関する要件が緩和される一方で、購入者が自身で輸出することの原則がより明確になっています。免税制度の趣旨である「外国へ持ち出されるものには消費税をかけない」という原則をより厳格に運用する方向性が見えますね。
よく理解できました。制度が簡素化される一方で、本来の目的に沿った運用が強化されるということですね。ありがとうございました!
どういたしまして。クライアントへの説明にもこの内容が役立つはずです。何か質問があればいつでも聞いてくださいね。
現行制度における免税対象物品は、輸出するために購入される物品のうち、通常生活の用に供する物品とされ、一般物品(免税対象物品のうち消耗品以外のものをいいます。)又は消耗品(飲食料品、医薬品、化粧品その他の消耗品)の区分に応じて、同一の免税購入対象者に対する同一の輸出物品販売場における1日の販売価額(税抜価額)の合計額が一定の基準を満たすものをいいます。
リファンド方式においては、
@ | 一般物品と消耗品の区分が廃止されることに伴い、消耗品について免税購入対象者の同一店舗1日 当たりの購入上限額(50万円)及び特殊包装要件が廃止されます。 |
A |
免税対象物品は次に掲げる物品(以下「免税対象外の物 品」といいます。)以外の物品をいうこととされます(消法8@、消規6)。 |
そのため、輸出物品販売場で免税対象物品を販売する際、現在要件とされている「通常生活の用に供するもの」であるか否かの判断は不要となるため、免税対象外の物品に該当しないものは、免税対象物品に該当します(消基通8−1−2)。
(注) | 1 |
免税購入対象者が、出国時に免税対象物品を所持していない場合には、その物品を持ち出す(輸出する)ことにつき税関の確認を受けることはできません。 |
2 | 免税購入対象者が出国時に税関の確認を受けなかったときは、免税対象物品を販売した輸出物品販売場を経営する事業者において免税の適用を受けることはできません(消法8@)(問19参照)。 | |
3 | 一般物品と消耗品の区分が廃止されることに伴い、免税対象金額(購入下限額である免税対象物品の合計金額が5千円以上)の判定も区分せずに行います。また、この判定は、リファンド方式においても引き続き、税抜価額で行います(消法8@)。 |
出所:国税庁