輸出物品販売場の区分や許可要件の見直し

輸出物品販売場の区分や許可要件の見直し

令和8年11月1日から導入されるリファンド方式について、国税庁が公表しているQ&Aを随時紹介しています。

問5 輸出物品販売場の区分や許可要件について、見直しが行われたとのことですが、その概要を教えてください。

 

先生、最近消費税の免税制度についてよく耳にするのですが、来年11月から輸出物品販売場の制度が変わるとお客様からご相談があったんです。『輸出物品販売場の区分や許可要件の見直し』について、詳しく教えていただけませんか?

 

 

ああ、いいタイミングですね。令和8年(2026年)11月1日からリファンド方式への完全移行に伴って、輸出物品販売場の制度が大きく変わります。ぜひ解説しましょう。

 

 

リファンド方式ってよく聞きますが、それに伴って免税店の区分も変わるんですよね?

 

 

その通りです。現行制度では『一般型』と『手続委託型』の2つに分かれていましたが、この区分が廃止され、『一般型輸出物品販売場』に統合されることになります。つまり、新制度では『一般型輸出物品販売場』と『自動販売機型輸出物品販売場』の2区分になるわけです。

 

 

なるほど!区分がシンプルになるんですね。でも、今まで手続委託型を利用していたお店はどうなるんですか?

 

 

良い質問ですね。新制度の『一般型輸出物品販売場』を経営する事業者は、承認免税手続事業者に免税販売手続を委託することができますので、今まで手続委託型だったお店も実質的に同様の運用ができます。ただし、購入記録情報の提供や税関確認情報の受領は委託対象外となっている点に注意が必要です。

 

 

許可要件も変わるんでしょうか?今は『外国人観光客などが利用する場所に所在する』という条件がありますよね?

 

 

はい、許可要件も大きく変わります。現行の『免税購入対象者が利用する場所または利用が見込まれる場所に所在する』という立地要件は廃止され、代わりに『免税販売手続や購入記録情報の提供及び税関確認情報の受領を適正に実施するための必要な体制が整備されていること』が新要件となります。つまり、立地よりも適正な免税手続ができる体制があるかどうかが重視されるようになるわけです。

 

 

それは大きな変更ですね!特定商業施設の要件も変わるんですか?

 

 

その通りです。特定商業施設という概念自体が廃止されます。代わりに、免税対象物品を販売した同一日に免税手続カウンターで手続を行うという要件になります。時間的な制約に変わるわけですね。また、許可の取消要件も追加され、購入記録情報に不備があるなど税関の確認に支障がある場合は許可取消の対象となります。

 

 

自動販売機型については変わらないんですね?

 

 

はい、自動販売機型については『一の自動販売機のみを設置する販売場である』という要件に変更はありません。

 

 

「申請手続も簡素化されるとお聞きしましたが、どのように変わるんですか?

 

 

申請手続は大幅に簡素化されます。例えば、販売場を移転する場合、今までは廃止届と新規許可申請が必要でしたが、新制度では変更届出書の提出だけで済むようになります。また、許可申請書等が統合され、見取図や会社案内、HPの情報、取扱商品リストなどの添付書類も不要になります。

 

 

すでに許可を受けている免税店はどうなりますか?再申請が必要ですか?

 

 

いいえ、令和8年11月1日より前に許可を受けている既存の販売場は、自動的に新制度の一般型輸出物品販売場の許可を受けたものとみなされます。ただし、令和8年10月31日までに『輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書』を提出していない電子化未対応の免税店は、許可の効力を失うことになるので注意が必要です。

 

 

なるほど!免税販売手続の電子化に対応していないと、新制度に移行できないんですね。お客様にはそのあたりも含めて説明しないといけませんね。

 

 

その通りです。電子化対応は必須条件になります。これらの変更は令和8年11月1日以降の免税対象物品の販売から適用されます。お客様が免税店経営者であれば、それまでに電子化対応を完了し、新しい体制を整えるよう助言しましょう。

 

 

とても分かりやすく説明いただきありがとうございます!これからお客様にお伝えする際に役立てたいと思います。

【答】

1.輸出物品販売場の区分

 リファンド方式への移行に伴い、現行制度での一般型輸出物品販売場と手続委託型輸出物品販売場の区分が廃止され、「 一般型輸出物品販売場」に統合されます。これにより、リファンド方式における輸出物品販売場の区分は「一般型輸出物品販売場」と「自動販売機型輸出物品販売場」の2つとなります(消令 18 の2A)。
 なお、「一般型輸出物品販売場」を経営する事業者は、承認免税手続事業者に免税販売手続(購入記録情報の提供及び税関確認情報の受領を除きます。)に係る事務を委託して行わ せることができることとされます(消令 18 の3@)(免税販売手続の委託制度、問 24 参照)。
(輸出物品販売場の区分)

現行制度(〜 R8.10.31) リファンド方式( R8.11.1)
一般型輸出物品販売場 一般型輸出物品販売場
手続委託型輸出物品販売場
自動販売機型輸出物品販売場 同左
2.輸出物品販売場の許可要件等

 

 リファンド方式への移行に伴い、輸出物品販売場の許可要件について次のとおり見直しが行われます(消法8F、消令 18 の2A)。
(輸出物品販売場の許可要件)(下線は改正箇所)

現行制度(〜 R8.10.31) リファンド方式( R8.11.1)
@

次のイ及びロの要件を満たす事業者(消費税の課税事業者に限ります。)が経営する販売場であること。
イ 現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限ります。)がないこと。
ロ 輸出物品販売場の許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者でないことその他輸出物品販売場を経営する事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。

同左
A 現に免税購入対象者が利用する場所又は免税購入対象者の利用が見込まれる場所に所在する販売場であること。 免税販売手続や購入録情報の提供及び税関確認情報の受領を適正に実施するための必要な体制が整備されていること
B 免税販売手続に必要な人員を配置し、かつ、免税販売手続を行うための設備を有する販売場であること。
(注) 1 輸出物品販売場制度における「販売場」とは、一定の場所に実在する販売場をいい、例えばインターネットのウェブサイト上に設けられた商品販売の場所は販売場に該当しません(消基通8−2−1 注1、8−2−4 注2)。この考え方はリファンド方式に限らず、現行の制度(令和8年10月31日まで)においても同様です。
2 リファンド方式においては、輸出物品販売場の許可取消要件が見直され、新たな取消要件が追加されます(問7参照)。この追加される新たな取消要件に該当して輸出物品販売場の許可が取り消された場合においては、その取消しの日から3年を経過しない場合であっても上記許可要件を満たす場合には、その許可申請書を提出することができることとされます(消基通8−2−1 注3)。
3 上記のほか、「自動販売機型輸出物品販売場」については、「一の自動販売機のみを設置する販売場であること」が許可要件とされていますが、この要件に改正はありません。
3.その他

 上記1・2のほか、許可要件の見直しに伴い、輸出物品販売場制度に関する各種申請届出書の記載事項及び添付書類が簡素化されます(問6参照)。
 また、令和8年 11 月1日 より前に輸出物品販売場の許可を受けた 既存の 販売場(令和8年 10 月 31 日までに「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」が未提出(免税販売手続電子化未対応)の輸出物品販売場を除きます。)は、令和8年 11 月1日に新制度の許可を受けたものとみなされます(制度移行期の注意点については問 10 参照 )。

 

出所:国税庁