
先生、先日クライアントの高橋百貨店さんから相談を受けたのですが、来年11月からのリファンド方式の適用について質問があります。百貨店の営業時間が深夜に及ぶため、制度切り替え時の対応に悩んでいるようです。
ああ、なるほど。令和8年11月1日からリファンド方式が施行されるけれど、営業時間がまたぐ場合の取り扱いについての質問ですね。具体的にはどんな営業時間なのですか?
はい、高橋百貨店さんの免税カウンターは午前9時から翌日の午前1時まで営業していて、日々の売上げは午前1時に締めて集計しているそうです。
重要なポイントですね。令和8年11月1日の午前0時から午前1時までの間の免税販売をどう扱うかという問題ですね。
はい、その時間帯はリファンド方式と現行制度のどちらで対応すべきか、明確なガイドラインがあれば教えていただきたいのですが。
この点については国税庁から明確な見解が示されていますよ。基本的なルールとしては、リファンド方式は令和8年11月1日から施行され、適用されるのは免税対象物品の「譲渡(販売)が行われた日」が基準になります。
そうすると、単純に考えれば令和8年11月1日午前0時以降の販売はすべてリファンド方式が適用されるということですか?
原則としてはそうです。ただし、高橋百貨店さんのような営業形態の場合は特例があります。継続的に適用している売上計上基準に従って、令和8年11月1日の午前0時から1時までの商品販売を「令和8年10月31日分の売上げ」として計上している場合には、その時間帯の取引は現行制度に基づく免税販売手続で対応しても問題ないとされています。
なるほど!つまり、高橋百貨店さんが通常の経理処理として10月31日分の売上として計上しているのであれば、11月1日の午前0時?1時の販売は現行制度でいいということですね。
そのとおりです。ただし、この特例を適用する場合の注意点として、国税庁の免税販売管理システムへの購入記録情報の提供も、令和8年10月31日付の取引として扱い、現行制度に対応した購入記録情報インターフェース(ver1またはver2)で行う必要があります。
制度的な取り扱いと、実際のシステム対応の両面から理解する必要があるのですね。
そうです。この点をきちんと押さえておかないと、制度変更時に混乱が生じる可能性があります。それから、これはあくまでも継続的に適用している売上計上基準に従った処理であることが前提です。この機会に恣意的に計上基準を変更することは認められませんので、その点も高橋百貨店さんに伝えておいてください。
わかりました。では、高橋百貨店さんにお伝えする内容をまとめますと:
・リファンド方式は令和8年11月1日から適用開始
・原則として、令和8年11月1日午前0時以降の販売にはリファンド方式が適用される
・ただし、高橋百貨店さんのように午前1時まで営業している場合、従来から適用している売上計上基準に従って令和8年11月1日午前0時から1時までの販売を令和8年10月31日分として計上しているのであれば、現行制度による免税販売手続でも問題ない
・その場合、購入記録情報の提供も現行制度対応のインターフェースで行う必要がある
・この特例は継続的に適用している売上計上基準に従った処理であることが前提
その理解で正確です。あと、もう一つ重要なポイントとして、リファンド方式は対象者の「出国日」ではなく、「販売日」が基準となることも強調しておきましょう。これまでの制度と考え方が変わる点ですから。
なるほど!つまり、10月31日に購入して11月2日に出国する外国人観光客の場合は、購入日が基準なので現行制度が適用されるということですね。
そのとおりです。逆に11月1日に購入して同日に出国する場合は、リファンド方式が適用されます。制度の切り替えは販売日基準で考えるのが重要なポイントです。
理解できました。高橋百貨店さんにはこの内容を詳しく説明し、スタッフの皆さんへの研修も行う必要があると思います。特に、システム対応については早めに準備を始めたほうがよさそうですね。
そうですね。免税販売管理システムへの登録方法が変わりますので、システム担当の方へも早めに情報共有しておくことをお勧めします。制度変更の際は現場が混乱しがちですから、事前準備が大切です。
ありがとうございます。今日学んだことをもとに、高橋百貨店さんへのアドバイスを準備します。わかりやすく説明できるよう、図表なども作成してみます。
それはいいですね。外国人観光客への説明資料も日本語だけでなく、英語や中国語など多言語で用意しておくと、さらに親切ですね。リファンド方式の導入は外国人観光客にとっても大きな変化ですから。
素晴らしいアイデアです!多言語対応の説明資料も作成することを提案してみます。本日はありがとうございました。
どういたしまして。また何か質問があればいつでも聞いてくださいね。
リファンド方式は令和8年11月1日午前0時以降に行う取引から適用されます(改正法附則21。)そのため、輸出物品販売場において令和8年11月1日の午前0時以降に行う商品販売については、原則として、リファンド方式に対応した免税販売手続によらなければ、免税の適用を受けることはできません。
しかしながら、ご質問のように、輸出物品販売場を経営する事業者が継続適用している売上計上基準に従って、令和8年11月1日の午前0時から1時までの商品販売を、令和8年10月31日分の売上げとして計上する場合には、令和8年10月31日分の売上げに計上される商品販売を現行制度に基づく免税販売手続により対応して差し支えありません。
なお、国税庁(免税販売管理システム)への購入記録情報の提供は、令和8年10月31日付の取引として扱う場合は、購入記録情報インターフェースのver1又はver2(現行制度対応)で行う必要があります。
出所:国税庁