
先生、リファンド方式の購入記録情報で「商品分類」という項目があるんですが、これはどのようなものなんでしょうか?任意項目ということなので、設定しなくても大丈夫なんですよね?
佐藤さん、いい質問ですね。確かに「商品分類」は任意項目なんですが、「設定しなくても大丈夫」と簡単に考えるのは少し危険かもしれません。まず、この商品分類がどういうものか説明しましょう。
はい、お願いします。
リファンド方式の商品分類は、観光庁の「インバウンド消費動向調査」に基づいた16の分類から選択するシステムです。具体的には:
その他などに分かれています。
なるほど、結構細かく分かれているんですね。でも任意項目なら、入力の手間を考えると省略したくなりますが...
その気持ちはよく分かります。でも、実際にトラブルになった事例を紹介しましょう。
A免税店で外国人観光客が「ベル」という商品を購入しました。店舗側は「商品分類」を設定せず、品名欄に「ベル」とだけ記載していました。ところが、その観光客が空港の税関で確認を受ける際、税関職員が「ベル」という記載だけでは具体的にどのような商品なのか判断に迷ったんです。
え、「ベル」だけでは分からないんですか?
そうなんです。「ベル」といっても、お寺の鐘のような民芸品・伝統工芸品なのか、それとも電子機器の一部なのか、あるいは単なる装飾品なのか判断がつかなかったんです。結果として、税関から免税店に問い合わせが入り、観光客は空港で待たされることになりました。もし「商品分類」で「民芸品・伝統工芸品」が設定されていれば、税関職員もスムーズに確認できたはずです。
なるほど...そういうトラブルがあるんですね。
もう一つ事例を挙げましょう。B免税店では様々な商品を扱っていますが、ある時「マスク」を販売した際、品名欄には「マスク」とだけ記載し、商品分類は未設定でした。税関で観光客が確認を受ける際、職員が「これは医薬品なのか、それとも化粧品・美容用品なのか、あるいは健康グッズなのか」と判断に困ったケースがありました。
確かに、マスクといっても美容用のパックマスクなのか、医療用マスクなのか、コスプレ用の福面マスクなのか、色々ありますね。
そうなんです。もし「健康グッズ・トイレタリー」や「化粧品・香水」という商品分類が設定されていれば、税関職員も迷わずに済んだでしょう。
でも、法的には任意項目なんですよね?設定しないことで何か罰則があるんでしょうか?
直接的な罰則はありません。しかし、問題は別のところにあります。もし商品分類や品名の記載が不十分で、税関が免税対象物品を特定できない場合、法令上の提供項目である「品名」が適切に設定されていないとみなされる可能性があるんです。
それは困りますね...
その場合、最悪のケースでは免税購入対象者が税関の確認を受けられず、結果的に免税の恩恵を受けられなくなる可能性があります。これは店舗の信用問題にも関わってきます。
そういえば、先日お客様から「空港で時間がかかった」という苦情を受けたことがありました...
それはもしかすると、商品分類の設定が不十分だったことが原因かもしれませんね。実際に、適切に商品分類を設定している店舗では、そういったトラブルが大幅に減少しています。
具体的にはどのように設定すればよいのでしょうか?
基本的な考え方としては、お客様が購入された商品が16分類のどれに該当するかを判断して設定します。例えば:
といった具合です。
分類に迷う商品もありそうですが...
そういう場合は「その他」を選択することもできます。ただし、できるだけ具体的な分類を選ぶことをお勧めします。
また、スタッフの方々には商品分類の重要性を理解してもらい、レジでの入力を習慣化することが大切です。最初は手間に感じるかもしれませんが、お客様の利便性向上と店舗のトラブル回避のためには必要な作業だと考えてください。
分かりました。任意項目だからといって軽視してはいけないんですね。
その通りです。法的には任意でも、実務上は「設定すべき項目」と考えた方が安全です。特に多様な商品を扱う免税店では、商品分類の適切な設定が円滑な免税手続きの鍵となります。
お客様にとっても、税関での手続きがスムーズになることで、日本での買い物体験がより良いものになりますからね。
ありがとうございます。早速、店舗スタッフに商品分類の重要性を伝えて、適切な設定を徹底してもらいます。
それが良いですね。何か不明な点があれば、いつでも相談してください。
購入記録情報に設定する任意項目として追加される「商品分類」については、以下の16 分類の中から販売した商品に応じ、購入記録情報に設定することになります。
(商品分類)
菓子類 | 靴・かばん・革製品 |
酒類 | 電気製品(デジタルカメラ/PC/家電等) |
生鮮農産物 | 時計・フィルムカメラ |
その他食料品・飲料・たばこ | 宝石・貴金属 |
化粧品・香水 | 民芸品・伝統工芸品 |
医薬品 | 本・雑誌・ガイドブックなど |
健康グッズ・トイレタリー | 音楽・映像・ゲームなどソフトウェア |
衣類 | その他 |
(注)上記16分類は、観光庁が公表している「インバウンド消費動向調査」における調査項目(支出費目)と同様です。
この「商品分類」は任意項目ですので、必ずしも購入記録情報に設定する必要はありませんが、「品名」欄その他の記載等から税関で免税対象物品を特定できない場合は、法令上の提供項目である「品名」(消規6の4@四)が設定されていないものとして、免税購入対象者が免税対象物品を持ち出す(輸出する)ことにつき税関の確認を受けられない可能性があります。また、免税対象物品がどのようなものであるかを税関で判断できない場合、税関の確認を受けられませんので、免税購入対象者から当該免税対象物品を販売した輸出物品販売場に問合せが行われる可能性もあります。
そのため、輸出物品販売場において「商品分類」欄の設定を適切に行うことによって、空港等で免税購入対象者が円滑に税関の確認を受けることができるようになります。
出所:国税庁