
先生、免税販売の電子化システムについて質問があります。販売した商品の単価が100万円以上の場合に設定が必要な「商品情報詳細」について、具体的にどのような情報を入力すればよいのでしょうか?
いい質問ですね。100万円以上の高額商品については、税関での確認を確実にするため、より詳細な商品情報の設定が義務付けられています。これは「免税対象物品を特定するに足りる事項」と呼ばれる必須項目なんです。
必須項目ということは、設定しないと免税の適用が受けられないということですね?
その通りです。設定が不十分だと、税関での商品との同一性確認ができず、お客様が免税の適用を受けられない可能性があります。具体的には、商品の属性に応じて以下の事項を組み合わせて設定する必要があります。
まず基本的な項目から説明しましょう。
具体的な名称というのは、どの程度詳しく書けばよいのでしょうか?
例えば、美術品の場合は単に「美術品」ではなく「つぼ」「絵画」「彫刻」など、宝飾品なら「ダイヤの指輪」「真珠のネックレス」といった具体的な名称を記載します。
商品を提供または製造するブランドや企業の名称ですね。例えば腕時計なら「ロレックス」「オメガ」、宝飾品なら「ティファニー」「カルティエ」といった具合です。
型番号はシリアル番号とは違うのですか?
良い質問ですね。型番号は商品のモデルを特定するためのもので、同じモデルの商品には同じ型番が付いています。一方、シリアル番号は個別の商品を一意に特定するための固有の番号です。型番号にはシリアル番号は含めません。
形状、色彩、材質、サイズ、重量など、商品の外見やその他の特徴が分かる情報を記載します。例えば「18金、直径35mm、黒文字盤」といった具合です。
これは宝石類に特に関係するものですね?
そうです。宝石類などで鑑定書や鑑別書、保証書が付されている場合には、その旨を記載します。「GIA鑑定書付き」「保証書付き」などと記載することで、商品の信頼性も示せます。
特に重要なのがシリアル番号です。シリアル番号が付された腕時計などの免税対象物品については、上記の組み合わせた事項に加えて、そのシリアル番号も必ず設定する必要があります。
シリアル番号を設定しないとどうなるのでしょうか?
シリアル番号があるにもかかわらず購入記録情報に設定がない場合、税関での商品との同一性確認ができず、お客様が税関の確認を受けられない可能性があります。これは重大な問題ですね。
シリアル番号が見つけにくい場合はどうすればよいでしょうか?
シリアル番号が商品の外観から容易に確認できない場合は、可能な限り、シリアル番号が付されている場所も併せて設定します。例えば「裏蓋内側」「ICタグ(時計内部)」といった具合です。
具体的な設定例を教えていただけますか?
もちろんです。いくつかの商品カテゴリ別に例を挙げてみましょう。
高級腕時計の例
宝飾品の例
美術品の例
システムに入力する際の注意点はありますか?
はい、文字数制限があります。「商品情報詳細」欄は全角80文字以内、「商品情報詳細(シリアルナンバー)」欄は半角英数字20文字以内です。
80文字以内で必要な情報をすべて入力するのは大変そうですね。
そうですね。効率的な記載方法として、免税対象物品を特定するに足りる事項(シリアル番号を除く)が既に「品名」欄に設定されている場合は、「商品情報詳細」欄に「品名欄に設定済み」と入力しても構いません。
逆に、どのような設定が不適切かも理解しておくことが重要です。
どのような例が不適切なのでしょうか?
以下のような情報では免税対象物品を特定できず、免税の適用が認められない可能性があります。
1.楽器の場合: 商品情報詳細が「楽器」のみ
2.宝飾品の場合: 商品情報詳細が「ブランド名△△△」のみ
3.腕時計の場合: 商品情報詳細が「黒色」のみ
これらの例だと、確かに商品を特定するには情報が不十分ですね。
その通りです。税関職員が実際の商品と照合する際に、これらの情報だけでは特定が困難になってしまいます。
100万円未満の商品の場合はどうでしょうか?
100万円未満の場合、商品情報詳細の設定は任意となります。ただし、税関での円滑な確認のためにも、できるだけ適切に設定することが推奨されます。
つまり、義務ではないけれど、設定しておいた方が良いということですね。
まさにその通りです。お客様の利便性を考えると、金額に関わらず詳細な情報を設定しておくことで、税関でのトラブルを避けることができます。
最後にポイントをまとめておきましょう。
よく理解できました。お客様に迷惑をかけないよう、しっかりと設定するよう心がけます。ありがとうございました。
どういたしまして。免税販売は国際的なお客様への重要なサービスですから、正確な対応を心がけましょう。何か不明な点があれば、いつでも相談してくださいね。
販売した商品の単価(税抜価額)が100万円以上の場合には 、購入記録情報として「免税対象物品を特定するに足りる事項」(商品情報詳細)を設定することとされます(消令18E、消規6の4@五)。
この「免税対象物品を特定するに足りる事項」とは、例えば、免税対象物品の具体的な名称、ブランド名、型番号、形状若しくは色彩等の特徴又は鑑定書、鑑別書若しくは保証書付きである旨の事項を商品の属性に応じて免税対象物品を特定するに足りるよう組み合わせた事項をいい、シリアル番号(注1)の付された腕時計のような免税対象物品については、その組み合わせた事項にシリアル番号を加えたものをいいます(消基通8−1−5、これらの内容及び具体例は下表参照)。そのため、商品の単価(税抜価額)が100万円以上の場合、購入記録情報として「商品情報詳細」欄には、その商品の属性に応じ、これらの事項を組み合わせて設定する必要があります(必須項目) )(注2)。
シリアル番号の付された腕時計のような免税対象物品について、シリアル番号があるにもかかわらず、購入記録情報(「商品情報詳細(シリアルナンバー)」欄)にその設定がない場合、税関では購入された商品との同一性の確認ができないため免税購入対象者が免税対象物品を持ち出す(輸出する)ことにつき税関の確認を受けられない可能性があります。
なお、免税対象物品を特定するに足りる事項(シリアル番号を除きます。)を既に「品名」欄に設定している場合には、「商品情報詳細」欄に「品名欄に設定済み」と入力しても差し支えありません。
(注)1 | シリアル番号とは、個別の商品を一意に特定するため、その商品に印字又は刻印された固有の番号や記号をいいます。そのため、一の製造期間内に一連の製造工程により製造された商品の一群に付されるロット(製造)番号や記号は、個別の商品を一意に特定することができないため、シリアル番号に該当しません(消基通8−1−5(注)、ロット(製造)番号や記号は、購入記録情報の「品名」欄又は「商品情報詳細」欄に設定します。)。 |
2 | 購入記録情報として設定できる文字数は、「商品情報詳細」欄は全角80文字、「商品情報詳細(シリアルナンバー)」欄は半角(英数字20文字以内となります(詳細については国税庁ホームページ(リファンド方式特設サイト)に掲載している「免税販売管理システムAPI仕様書(ドラフト版)(令和8年11月1日以後譲渡日分)」をご確認ください。)。 |
(「商品情報詳細」欄に設定する主な内容)
項目 | 設定内容 |
---|---|
商品の具体的な名称 | 例えば「美術品」や「宝飾品」の場合には、「つぼ」や「ダイヤの指輪」など具体的な名称 |
ブランド名 | 商品を提供又は製造するブランドや企業の名称 |
型番号 | 商品のモデルを特定するための型番号やモデル名(シリアル番号を除きます。) |
形状又は色彩等の特徴 | 形状や色彩、材質、サイズ、重量等の商品の外見その他の特徴が分かる情報 |
鑑定書、鑑別書又は |
宝石類等で鑑定書(鑑別書)や保証書が付されているものがある場合には、その旨 |
(設定例:ブランド名や型番号がある商品の場合)
商品の例 | 商品情報詳細 | シリアルナンバー |
---|---|---|
腕時計 | ブランド名○○、型番AA12345 、黒色系 | X9999999 |
宝飾品 |
ダイヤの指輪、ブランド名○○、モデル名○○、24K 、鑑定書あり | − |
婦人服 |
毛皮のコート、ブランド名○○、灰色系 | AAA000 |
バッグ | ブランド名○○、モデル名○○、赤色系、牛革、シリアル番号は背面側の内ポケット(注3) | 123456789 |
(注)3 シリアル番号が商品の外観から容易に確認できない場合には、可能な限り、シリアル番号が付されている場所(ICタグである場合にはその旨とその場所)も併せて設定します。
(設定例:ブランド名や型番号が無い商品の場合)
商品の例 | 商品情報詳細 | シリアルナンバー |
---|---|---|
美術品 |
○○焼、○○太郎作、15cm程度、青色系、鑑定書あり | − |
宝石 | エメラルド原石、緑色、3cm 程度 (注4) 、鑑別書あり | − |
(注)4 形状・色彩等の特徴事項は、鑑定書(鑑別書)等に記載されており、「鑑定書あり」等と入力した場合には、設定しなくて差し支えありません。この場合、出国時の手続で鑑定書等の提示が必要になる旨を免税購入対象者に説明します。なお、免税購入対象者が出国時に鑑定書等を所持しておらず、購入記録情報に登録された情報だけでは購入された商品との同一性の確認ができない場合には、その物品を持ち出す(輸出する)ことにつき、税関の確認を受けること(輸出物品販売場において税関確認情報の取得)ができないため、免税購入対象者は、その免 税対象物品に係る消費税相当額の返金を受けることはできません。
(不適切な例:免税対象物品を特定できず免税の適用が認められない例(注5)
商品の例 | 商品情報詳細 | シリアルナンバー |
---|---|---|
音楽用品 |
楽器 | − |
宝飾品 |
ブランド名△△△ | − |
腕時計 | 黒色 | − |
(注)5 「商品情報詳細」欄に設定された内容により、免税対象物品を特定できない場合は、法令上の提供項目である「免税対象物品を特定するに足りる事項 」(消規6の4@五)が設定されていないものとして、免税購入対象者が免税対象物品を持ち出す(輸出する)ことにつき税関の確認を受けられない可能性があります。
このように、販売した商品の単価(税抜価額)が100万円以上の場合には、購入記録情報として「免税対象物品を特定するに足りる事項」(「商品情報詳細」欄)を設定する必要があるため、商品を販売した者(輸出物品販売場)と免税販売手続を行う者(承認免税手続事業者)が異なる場合(問24参照)には、免税販売手続に必要となる情報を販売店から免税手続カウンターに提供するため の措置を適切に講ずる必要があります(消令18の3@三)。
また、類似の形態で免税販売手続を行っている場合(商品の売場であるテナントと免税販売手続の専用カウンターが離れており、かつ、いわゆる消化仕入れの方式を採用している百貨店や大型小売店など)においても同様 に、テナント形態を含む商品の売り場が免税手続の専用カウンターへ の情報提供を行うなどして適切に「商品情報詳細」欄を設定する必要があります 。
出所:国税庁