
先生、最近電子帳簿保存法の改正について勉強しているのですが、「電磁的記録」という言葉がよく出てきます。これはどのようなものを指すのでしょうか?
いい質問ですね。電磁的記録について、まず基本的な理解から整理しましょう。もしかして、データやファイルそのもののことだと思っていませんか?
はい、そう思っていました。パソコンの中にある会計データファイルのことかと...
それは多くの人が誤解しやすい点なんです。実は、電磁的記録は法第2条第3号で明確に定義されているのですが、情報(データ)それ自体でも、記録に用いられる媒体でもありません。
えっ、そうなんですか?では、一体何を指すのでしょうか?
電磁的記録とは、一定の媒体上で使用でき、一定の順序で読み出すことができる情報が記録・保存された状態にあるものを指します。つまり、「状態」を表す概念なんです。
「状態」ですか...少し抽象的で分かりにくいのですが、具体例で教えていただけますか?
そうですね。例えば:
会計ソフトのデータがハードディスクに保存されている状態
請求書のPDFファイルがコンパクトディスク(CD)に記録されている状態
帳簿データがDVDに書き込まれている状態
バックアップファイルが磁気テープに保存されている状態
書類がクラウドストレージサービスにアップロードされている状態
これらすべてが「電磁的記録」なんです。
なるほど!つまり、データそのものではなく、そのデータが特定の媒体に「記録・保存されている状況」のことを指すということですね。
その通りです。重要なポイントは「一定の順序で読み出すことができる」という部分です。これは、記録された情報が後で確実に取り出せる形で保存されていることを意味します。
ということは、例えばUSBメモリに保存した帳簿データも電磁的記録になりますか?
はい、USBメモリに帳簿データが保存されている状態も電磁的記録です。媒体の種類は問わず、電磁的な方法で情報が記録・保存されている状態であれば、すべて電磁的記録に該当します。
最近よく聞くクラウドサービスについても触れられていましたが、これも電磁的記録なのですね。
そうです。Google DriveやDropbox、会計ソフトのクラウドサービスなどに書類やデータが保存されている状態も電磁的記録です。物理的な媒体が手元になくても、クラウド上のサーバーに記録・保存されていれば該当します。
理解できました。要するに、「どこに」「どのような形で」情報が保存されているかという「状態」を表す概念なのですね。
まさにその通りです。電子帳簿保存法を理解する上で、この「電磁的記録」の概念は基礎となりますから、しっかりと覚えておいてくださいね。
はい、よく分かりました。ありがとうございます!
法第2条第3号の「電磁的記録」とは、情報(データ)それ自体あるいは記録に用いられる媒体のことではなく、一定の媒体上にて使用し得る(一定の順序によって読みだすことができる)情報が記録・保存された状態にあるものをいいます(取扱通達4−1)。
具体的には、情報がハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存された状態にあるものをいいます。
出所:国税庁