電磁的記録等による保存等が認められない国税関係帳簿書類

電磁的記録等による保存等が認められない国税関係帳簿書類

問4 電磁的記録等による保存等が認められない国税関係帳簿書類には、どのようなものが あるのでしょうか。

 

先生、電子帳簿保存法について質問があります。電磁的記録等による保存等が認められない国税関係帳簿書類には、どのようなものがあるのでしょうか?

 

 

いい質問ですね。まず基本的な考え方から説明しましょう。電磁的記録による保存が認められるのは、「自己が最初の記録段階から一貫してコンピュータを使用して作成するもの」に限られているんです。

 

 

ということは、手書きで作成されたものは対象外ということですか?

 

 

その通りです。手書きで作成された国税関係帳簿については、電磁的記録等による保存等は認められません。具体的な事例で説明してみましょうか。例えば、小規模な個人事業主の方で、現金出納帳を手書きで記録している場合はどうでしょう?

 

 

手書きの現金出納帳は電磁的記録による保存はできないということですね。

 

 

はい、紙のまま保存する必要があります。もし電子保存したい場合は、最初からパソコンの会計ソフトで入力する必要がありますね。飲食店などで、手書きの売上台帳をつけている場合も同様です。レジから出力されるデータをパソコンに入力しているなら電子保存可能ですが、手書きで記録した売上台帳は紙での保存が必要です。

 

 

なるほど。では、途中からパソコンに変更した場合はどうなるんでしょうか?

 

 

良い質問ですね。例えば、年度の途中で手書きからパソコンでの記録に変更した場合、手書き部分は紙での保存、パソコンでの記録部分は電子保存が可能になります。ただし、一貫性を保つため、同一年度内では統一した方法をお勧めします。

 

 

帳簿と書類で扱いが違うと聞いたことがあるのですが…

 

 

その通りです。国税関係書類については、扱いが異なるんです。書類の場合は、自己が一貫してコンピュータを使用して作成したものに加えて、書面で作成または受領したものについても、スキャン文書による保存が認められています。

 

 

具体的にはどのような書類でしょうか?

 

 

例えば、取引先から紙で受領した請求書は、スキャナで読み取って電子保存することができます。これは帳簿とは異なる取扱いですね。

 

 

つまり、帳簿は「最初からコンピュータ作成」でないとダメだけど、書類は「後からスキャン」でも大丈夫ということですね。

 

 

正確な理解ですね。帳簿と書類では要件が異なることを覚えておいてください。実務では、こんな点にも注意が必要です。手書きとコンピュータ作成の境界線が曖昧な場合の判断はどうすればよいと思いますか?

 

 

うーん、例えばExcelで表を作って手書きで数字を記入した場合は…手書き扱いになるんでしょうか?

 

 

その通りです。Excelで表を作って手書きで数字を記入した場合、これは手書き帳簿として扱われます。重要なのは「記録段階」での作成方法です。手書きから電子に移行する際は、移行のタイミングを明確にして、混在しないよう注意が必要です。顧客には移行計画をしっかり立ててもらいましょう。

 

 

移行する際のベストプラクティスはありますか?

 

 

年度始めや月初めなど、区切りの良いタイミングで移行することをお勧めします。また、移行前の手書き帳簿と移行後の電子帳簿で、残高等の整合性を確認することも重要ですね。

 

 

今日の話を整理すると、電磁的記録による保存が認められない国税関係帳簿書類は、主に手書きで作成された帳簿ということですね。

 

 

その通りです。最初の記録段階から一貫してコンピュータ使用が要件で、書類については別途スキャナ保存の制度があるということです。

 

 

よく分かりました。顧客への説明の際は、帳簿と書類の違いを明確に伝える必要がありますね。

 

 

その通りです。特に小規模事業者の方には、電子化のメリットと要件を丁寧に説明して、適切な方法を選択してもらうことが大切ですね。スキャナ保存についても、別途詳しく学んでおきましょう。

【回答】

電磁的記録等による保存等が認められる国税関係帳簿は、自己が最初の記録段階から一貫してコンピュータを使用して作成するものであることから、手書きで作成された国税関係帳簿については、電磁的記録等による保存等は認められません。
なお、国税関係書類については、自己が一貫してコンピュータを使用して作成するもののほか、書面で作成又は受領したものについても、スキャン文書による保存が認められます。
スキャナ保存の対象となる書類については、 別冊「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」において解説します。

 

出所:国税庁