
先生、お疲れ様です。電子帳簿保存法について質問があります。
はい、お疲れ様です。どのような質問でしょうか?
電磁的記録の検索機能についてなのですが、現在使用しているシステムにおいて確保しなければならないのでしょうか?
それは良い質問ですね。実は、必ずしも現在使用しているシステムで検索機能を確保する必要はないんです。
えっ、そうなんですか?てっきり同じシステムでないといけないと思っていました。
多くの方がそう思われるのですが、実際は違うんです。電子帳簿保存法の規則第5条第5項第1号ハに規定される検索機能や、規則第2条第2項第2号に規定される出力機能について、特定の電子計算機を使用しなければならないという定めはありません。
ということは、どんなシステムでも大丈夫ということですか?
正確には、これらの規定を満たすことができる電子計算機であれば、現在の業務で使用している電子計算機でなくても問題ありません。要は「機能を満たせるかどうか」が重要なポイントなんです。
先生、具体的にはどのような場面で活用できるのでしょうか?
良い例をお話ししましょう。先月、A社から相談があったケースです。
A社は長年使用していた会計システムを新しいクラウド型システムに変更しました。しかし、過去5年分のデータは旧システムの形式で保存されていました。
それだと、旧データの検索ができなくなってしまいませんか?
その通りです。でも、法律上は問題ないんです。変更前のデータについては、変更前のシステムを用いて検索機能を確保していれば差し支えありません。
つまり、旧システムも残しておけばいいということですね。
はい。A社の場合、旧システムを一台のパソコンに残して、必要に応じて検索できるようにしました。これで完全に法的要件を満たしています。
B社は、日常業務では簡易な販売管理システムを使用していますが、税務調査対応のために、より高機能な検索システムを別途導入しました。
日常業務と検索用で別々のシステムを使っているということですか?
そうです。B社の場合、コスト面から日常業務では最低限の機能のシステムを使用し、法的要件を満たすための検索機能は別の専用システムで対応しています。
それでも問題ないんですね。
ええ、問題ありません。ただし、重要な注意点があります。
どのような注意点でしょうか?
検索に使用する電磁的記録が、適用を受けて保存している電磁的記録と同一のものであることを確認できるようにしておく必要があります。
同一性の確認ですね。具体的にはどうすればよいのでしょうか?
例えば、以下のような方法があります:
1.ハッシュ値による確認
・元データと検索用データのハッシュ値を照合する方法
2.タイムスタンプによる確認
・データ作成時刻や更新時刻の一致を確認する方法
3.チェックサム機能の活用
・システム間でのデータ転送時の整合性を確認する方法
実際にクライアントにアドバイスする際は、どのような点に注意すればよいでしょうか?
以下の点を確認することが重要です:
1. 現在のシステムの検索機能評価
まず、現在使用しているシステムの検索機能が法的要件を満たしているかを確認します。
2. コストと利便性のバランス
別システムを導入する場合のコストと、現在のシステムを改修する場合のコストを比較検討します。
3. 将来の拡張性
事業規模の拡大や法改正に対応できるかを考慮します。
なるほど、総合的に判断する必要があるということですね。
その通りです。重要なのは「法的要件を満たすこと」であって、「特定のシステムを使うこと」ではありません。クライアントの事業規模や予算、ITリテラシーに応じて、最適な方法を提案することが私たちの役割です。
ありがとうございます。とても勉強になりました。今度クライアントから相談があった時は、この点を踏まえてアドバイスできそうです。
はい、ぜひ活用してください。何か不明な点があれば、いつでも相談してくださいね。
・電磁的記録の検索機能は、現在使用しているシステムで確保する必要はない
・法的要件を満たせるシステムであれば、どのような電子計算機でも使用可能
・システム変更時は、旧システムでの検索機能確保も認められる
・重要なのは、検索用データと保存データの同一性確認
・クライアントの状況に応じた最適な方法を提案することが重要
変更前のシステムを用いること等により検索機能が確保されているのであれば、現在使用しているシステムにより検索ができなくても差し支えありません。
規則第5条第5項第1号ハに規定する検索機能については、特に電子計算機についての定めはなく、また、 規則第2条第2項第2号に規定する出力機能についても「当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機」を備え付ければよいこととされていることから、これらの規定を満たすことができる電子計算機であれば、現在の業務において使用している電子計算機でなくても差し支えないこととなります。
例えば、システム変更等をした場合に、変更前のデータについては、変更前のシステムにおいて検索機能を確保している場合などがこれに該当します。
なお、このような場合には、検索に使用する電磁的記録が適用を受けて保存している電磁的記録と同一のものであることを確認できるようにしておく必要があります。
出所:国税庁