

先生、クライアント企業から「オンラインマニュアルやヘルプ機能があれば、紙の操作説明書は不要ですか?」と聞かれたのですが、どう答えればよいでしょうか?
良い質問ですね。結論から言うと、オンラインマニュアルでも操作説明書として認められます。ただし、条件がありますよ。
条件があるのですね。具体的にはどのような条件でしょうか?
規則第2条第2項第1号では、システム関係書類等は書面以外の方法でも備え付けできるとしています。取扱通達4−6によると、以下の3つの条件を満たす必要があります。
3つの条件ですか?教えてください。
はい。まず第一に「整然とした形式及び明瞭な状態」であること。つまり、情報が整理されて見やすく表示されている必要があります。
なるほど。乱雑なマニュアルではダメということですね。2つ目の条件は?
2つ目は「画面及び書面に出力できること」です。パソコン画面で確認でき、必要に応じて印刷もできる状態でなければなりません。
画面で見られるだけでなく、印刷もできることが重要なのですね。最後の条件は何でしょうか?
3つ目は「速やかに出力することができる」ことです。必要な時にすぐアクセスできて、情報を取得できる状態である必要があります。
具体的な事例で考えてみたいのですが、例えば会計ソフトのオンラインヘルプはどうでしょうか?
良い例ですね。多くの会計ソフトには詳細なオンラインヘルプが搭載されています。例えば、仕訳入力の方法や決算処理の手順が体系的に整理されていて、画面上で確認でき、印刷もできれば条件を満たします。
クラウド型の給与計算システムの場合はいかがでしょうか?
クラウド型でも同じ考え方です。給与計算の操作手順や設定方法がオンラインマニュアルで詳しく説明されていて、いつでもアクセスできる状態なら問題ありません。
注意すべき点はありますか?
重要なポイントがあります。規則第2条第6項第6号によると、利用機器が私物か会社のものかに関わらず、保存場所において操作マニュアルの備付けが必要です。
つまり、従業員が自分のパソコンを使って作業する場合でも、そのパソコンでマニュアルにアクセスできる環境が必要ということですね。
その通りです。テレワークが普及している現在、この点は特に重要ですね。従業員の自宅のパソコンからでも、必要な操作マニュアルにアクセスできる体制を整えておく必要があります。
実際の税務調査では、どのような点をチェックされるのでしょうか?
調査官は主に以下の点を確認します。まず、マニュアルの内容が操作に必要な情報を網羅しているか。次に、実際に画面表示や印刷ができるか。そして、従業員が必要な時にアクセスできる環境が整っているかです。
クライアントにはどのようにアドバイスすればよいでしょうか?
まず現在使用しているシステムのオンラインマニュアルの内容と機能を確認することをお勧めします。そして、3つの条件を満たしているかチェックし、不足があれば補完する資料を準備するよう助言しましょう。
デジタル化が進む中で、企業の負担軽減にもつながりそうですね。
はい。紙の書類管理の手間が省け、情報の更新も容易になります。ただし、法的要件を満たすことが前提ですから、この3つの条件は必ず確認するよう指導してください。
分かりました。オンラインマニュアルでも条件を満たせば問題ないということを、クライアントにしっかりと伝えます。
その通りです。デジタル化の流れに対応しつつ、法令遵守も確実に行う。これが現代の企業経営には不可欠ですね。
規則第2条第2項第1号のシステム関係書類等については、書面以外の方法により備え付けることもできることとしています(取扱通達4−6本文なお書)ので、いわゆるオンラインマニュアルやオンラインヘルプ機能に操作説明書と同等の内容が組み込まれている場合には、それが整然とした形式及び明瞭な状態で画面及び書面に、速やかに出力することができるものであれば、操作説明書が備え付けられているものとして取り扱って差し支えありません。
出所:国税庁
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