

今日は電子帳簿保存法のスキャナ保存で出てくる「訂正削除を行うことができないシステム」について説明しますね。これ、お客様からよく質問されませんか?
はい、よく聞かれます。「どんなシステムなら要件を満たすんですか?」って。正直、私もまだ完全には理解できていなくて…
なるほど。まず大前提として、このシステムには2つの条件があるんです。1つ目は「画像データを全く変更できない」こと。2つ目は「保存されているデータが読み取り直後のデータであることを証明できる」こと。
全く変更できないって、かなり厳しい条件ですね。
そうなんです。これは改ざん防止が目的ですから。具体例を挙げると、一番分かりやすいのがCD-RやDVD-Rのような「書き換えできない保存媒体」を使うケースです。
ああ、一度書き込んだら消せないやつですね!
その通り。ただし、ただ保存するだけじゃダメなんです。保存媒体への「データ記録年月日」を記録して、媒体自体に「変更・複製できない一連番号」を付けて、さらに媒体の差し替えや破棄を防ぐ管理が必要になります。
えっ、それって相当手間がかかりませんか?
その通り。だから実務では別の方法が主流になっています。それが「クラウドサービス」の活用です。
クラウドですか?
はい。例えば、外部のクラウド事業者が提供するサービスにスキャンデータを保存して、利用者側では訂正・削除できない設定にしたシステム。これが国税庁の通達でも認められているんです。
なるほど!ユーザー権限で編集できないようにするってことですね。
正解です。クラウドサービスの良いところは、アップロード時刻も自動的に記録されるので、タイムスタンプの代わりにもなるんです。ただし、その場合は「入力期間内に入力したことを確認できる時刻証明機能」が必要ですけどね。
タイムスタンプ代替としても使えるんですね。一石二鳥じゃないですか!
そうなんです。だから最近はこのタイプのクラウドシステムを導入する企業が増えています。ちなみに、もし既存の「履歴保存型システム」から「訂正削除不可システム」へ移行する場合は、過去の訂正・削除履歴も一緒に移さないといけませんよ。
それ、忘れがちですね。気をつけます!
お客様に説明するときは、「CD-Rのような物理媒体管理は大変だけど、クラウドサービスなら現実的」という伝え方をすると分かりやすいですよ。
分かりました!次から自信を持って説明できそうです。
画像データを全く変更できないシステムであり、かつ、保存されているデータが読み取り直後のデータであることを証明できるシステムであれば、スキャナ保存における訂正又は削除を行うことができないものとして取り扱われます。
スキャナ保存における訂正又は削除の履歴の確保の要件は、訂正又は削除前のデータを確実に確認できることを目的にしたものですので、訂正削除ができないシステムで当該要件を満たす場合には、以下のようなシステムであれば、要件を満たすものとして取り扱われます。
なお、訂正又は削除の履歴を確保しているシステムから、訂正削除ができないシステムへデータを移行する場合には、訂正又は削除の履歴も併せて移行する必要があります。
○ 訂正削除ができないシステムの例
内容の書き換えができない保存媒体の場合で、保存媒体へのデータ記録年月日の記録、保存媒体自体に変更又は複製できない一連番号等を記録し、保存媒体自体の差し替え及び破棄を防止するなど、保存媒体自体の管理が適切に行われていることなどにより、保存されているデータが読み取り直後のデータであることを証明できるようなシステム(具体的には、例えば、他者であるクラウド事業者が提供するクラウドサービスにおいてスキャナ保存し、利用者側では訂正削除できないクラウドシステム)
出所:国税庁

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