スキャン文書について圧縮して保存することは認められないのでしょうか。

スキャン文書について圧縮して保存することは認められないのでしょうか。

問37 スキャン文書について圧縮して保存することは認められないのでしょうか。

 

先生、お客様から『スキャンした書類を圧縮して保存したい』という相談を受けたんですが、電子帳簿保存法では圧縮保存って認められないんでしょうか?


 

いえ、認められますよ。ただし、一定の要件を満たす必要があります。


 

そうなんですね!具体的にはどんな要件があるんですか?


 

まず基本となるのが、解像度200dpi以上、そして赤・緑・青それぞれ256階調以上、つまり約1,677万色以上でスキャンすることです。


 

カラーでの保存が必須なんですね。


 

いえ、実は一般書類の場合はグレースケールでも大丈夫なんです。重要書類と一般書類で要件が少し違うんですよ。


 

なるほど。でも、圧縮すると画質が落ちませんか?


 

そこが重要なポイントです。圧縮後も『4ポイントの文字が認識できる』状態を保つ必要があるんです。


 

4ポイント?かなり小さい文字ですよね。


 

ええ。JIS規格のテストチャートを使って、ディスプレイでもプリンタ出力でも4ポイントの文字が読めるかを確認します。これをクリアしていれば圧縮保存OKです。


 

もし4ポイントが認識できる設定が難しい場合はどうすればいいんですか?


 

その場合は、200dpi以上・256階調以上で『非圧縮』または『可逆圧縮』で保存すれば、4ポイント文字が認識できるものとして扱われます。


 

可逆圧縮というのは?


 

画質を劣化させずに圧縮する方式ですね。ZIPやPNGのような形式です。JPEGは不可逆圧縮なので、圧縮率によっては要件を満たさない可能性があります。


 

最近、スマホでスキャンするお客様も多いんですが、注意点はありますか?


 

スマホやデジタルカメラの場合、機種によって縦横比が違うので注意が必要です。縦横『それぞれ』が25.4mm当たり200ドット以上の解像度を満たす必要があります。


 

縦だけ満たしていても、横が足りなければダメなんですね。


 

その通りです。例えば、領収書をスマホで撮影する場合、角度や距離に気をつけないと解像度不足になる可能性があります。


 

実務的には、どう対応すればいいですか?


 

一番確実なのは、スキャナ保存に対応したアプリやソフトを使うことです。自動的に要件を満たす設定で保存してくれますから。あとは定期的にテストチャートで確認することですね。


 

わかりました!圧縮保存自体は認められているけれど、可視性の確保が大前提ということですね。


 

まさにその通りです。税務調査で『文字が読めない』となったら元も子もありませんからね。

【回答】

200dpi以上の解像度及び赤・緑・青それぞれ 256 階調(※)以上で JIS X6933 又は ISO12653ー3 のテストチャートの画像を読み取り、ディスプレイ及びプリンタで出力した書面で4ポイントの文字が認識できるような状態であれば、圧縮して保存して差し支えありません。


なお、スキャナ保存を行う国税関係書類に4ポイントの文字が使用されていない場合であっても、上記の方法によって4ポイントの文字が認識できる各種機器等の設定等で全ての国税関係書類をスキャナで読み取り、保存しなければなりませんが、スマートフォンやデジタルカメラ等を使用して読み取った画像の場合、機器によって縦横比が異なることから、圧縮して保持する際には、読み取った書類の縦横それぞれが、解像度の要件を満たす必要があることに注意してください。


(※)規則第2条第7項に規定する国税庁長官が定める書類(一般書類)の場合は、いわゆるグレースケールでの保存も可能です。


出所:国税庁