

先生、ご相談があるんですが。顧問先の会社からスキャナ保存について質問を受けたんです。スキャナ保存を始めたけど運用が大変で途中で取りやめたいと言っているんですが、この場合、すでにスキャンして保存してあるデータってどうすればいいんでしょうか?
なるほど。スキャナ保存の運用負担は確かに大きいからね。実はこれ、紙の原本をどうしたかで対応が全く変わってくるんだよ。
紙の原本ですか?
そう。大きく分けて2つのパターンがあるんだ。
まず、既にスキャンして紙の原本を捨ててしまっている場合。この場合は、取りやめた日に保存している電磁的記録を、その書類の保存期間が終わるまで、スキャナ保存の要件に従って保存し続ける必要があるんだ。
えっ、取りやめたのに、スキャナ保存の要件を守り続けないといけないんですか?
そうなんだよ。紙がもうないから、電磁的記録が唯一の証拠書類になってしまっているからね。例えば、2022年分の領収書をスキャンして紙を捨てていた場合、2024年に取りやめを決めても、保存期間の7年間が満了する2029年まではスキャナ保存の要件に従って保存しておかないといけない。
じゃあ、タイムスタンプとか検索機能とか、全部維持する必要があるってことですね。
その通り。取りやめたからといって、管理を緩めることはできないんだ。
逆に、紙の原本をまだ持っている場合はどうなるんですか?
紙原本が残っているなら、その紙を保存すればいい。電磁的記録は参考資料として残してもいいけど、正式な保存書類としては紙の方を保存することになるね。
それなら安心ですね。この顧問先、念のため紙も残してあるケースが結構あるみたいなんです。
それは良かった。慎重な運用をしていたんだね。ただし、この場合でも電磁的記録を完全に削除していいわけではないから注意してね。
ちょっと気になることがあるんですが、もし最初からスキャナ保存の要件を満たしていなかった場合ってどうなるんですか?
これが一番厄介なケースなんだ。例えば、タイムスタンプを押し忘れていたり、解像度が基準に達していなかったりする場合ね。
そういう場合も、電磁的記録は保存しておかないといけないんですか?
保存義務は課せられるんだけど、その電磁的記録は税法上の正式な書類とはみなされないんだ。つまり、保存はしているけど、法律上は保存していないと扱われてしまう。
それって、どういうリスクがあるんですか?
深刻なリスクがあるよ。例えば消費税の仕入税額控除が否認されたり、最悪の場合は青色申告の承認が取り消されたりする可能性がある。
先生、具体的にはどう対応すればいいんでしょう?
まず、取りやめを決める前に、これまでスキャンした書類について紙の原本が残っているかどうかを全部確認すること。リストを作って管理するといいね。
紙がない場合はどうすれば?
紙がない書類については、保存期間が満了するまでスキャナ保存の要件を維持し続けるしかない。システムも維持しないといけないから、完全な取りやめではなく、新規のスキャン保存を停止するという形になるかもしれないね。
なるほど。顧問先にはそういう形で提案してみます。
それがいいね。あと、今後新しく受け取る書類については、最初から紙で保存する方針に切り替えれば、少なくとも運用負担は軽減できるから。
ありがとうございます。スキャナ保存って始めるのも大変ですけど、やめるのも簡単じゃないんですね。
まさにその通り。だから導入前にしっかり運用体制を検討することが大切なんだよ。
スキャナ保存を適用していた保存義務者が途中でスキャナ保存を取りやめることとした場合、電磁的記録の基となった書類を廃棄している場合は、その取りやめることとした日において保存している電磁的記録を、 当該国税関係書類の保存期間が満了するまでそのままスキャナ保存の要件に従って保存することになりますが、電磁的記録の基となった書類を保存しているときは当該書類を保 存する必要があります。
また、仮に保存時に満たすべき要件を満たしてその電磁的記録の保存を行うことができない場合(スキャナ保存に係る国税関係書類(紙原本)の保存がある場合を除きます。)であっても、その電磁的記録の保存義務は課せられています(法4B後段)ので、その電磁的記録について、その書類の保存すべき期間が経過する日まで保存しておく必要があります。この場合、その電磁的記録は各税法上の国税関係書類とはみなされませんので注意してください。
また、そのような場合には、各税法に定める保存義務が履行されていないこととなるため、仕入税額控除の否認や、青色申告の承認取消し等の対象となる可能性があります。
出所:国税庁
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