

先生、クライアントから相談があったんです。3月決算の会社なんですが、令和6年1月からスキャナ保存を始めたいそうなんです。でも事業年度は令和5年4月から始まっているので、途中からスキャナ保存を開始してもいいんでしょうか?
結論から言うと、全く問題ないよ。課税期間の途中からでもスキャナ保存を新たに開始することは認められているんだ。
本当ですか? 年度の最初から始めないといけないのかと思っていました。
それは電子帳簿の保存と混同しているね。電子帳簿の場合は、課税期間の始めから一貫して電磁的記録で保存する必要がある。でもスキャナ保存は違うんだ。
どう違うんですか?
スキャナ保存は、紙の書類を電子化して保存する制度だから、「いつから始めるか」は事業者が自由に決められるんだよ。だから令和5年4月から令和6年3月までの事業年度の中で、令和6年1月から始めても全く問題ない。
じゃあ、例えば令和5年4月から12月までは紙で保存していて、令和6年1月から同じ種類の書類をスキャナ保存に切り替える、ということもできるんですね。
その通り。請求書を例に取ると、4月から12月に受け取った請求書は紙のまま保存、1月以降に受け取った請求書はスキャンして電子保存、という運用が可能なんだ。
なるほど。でも実務的に、どのタイミングで切り替えたか分からなくならないですか?
いい指摘だね。だから国税関係書類の保存にあたっては、スキャナ保存を開始した日を明確にしておく必要があるんだ。書類の種類ごとに「令和6年1月1日よりスキャナ保存開始」といった記録を残しておくことが大切だよ。
書類の種類ごと、というのは?
スキャナ保存は書類の種類ごとに適用できるから、例えば「請求書は1月から、領収書は4月から」というように、書類によって開始時期を変えることもできるんだ。
ということは、一部の書類だけスキャナ保存にすることもできるんですか?
できるよ。例えば、「請求書と領収書はスキャナ保存するけど、契約書は紙のまま保管する」という運用も認められている。ただし、同じ種類の書類については一貫性を持って保存する必要があるけどね。
一貫性というと?
例えば、1月分の請求書はスキャン、2月分は紙、3月分はまたスキャン、というように毎月変えるのは好ましくない。一度スキャナ保存を始めたら、その書類については継続してスキャナ保存を行うべきなんだ。
なるほど。このクライアントの場合、令和6年1月から始めたいということですが、何か事前の手続きは必要ですか?
それがね、令和3年度の税制改正で、令和4年1月以降のスキャナ保存については事前に税務署長の承認を受ける必要がなくなったんだよ。
えっ、届出も何もいらないんですか?
そう、事前の承認や届出は不要。ただし、法令で定められた保存要件を満たすことは当然必要だけどね。タイムスタンプの付与や検索機能の確保といった要件はしっかり守らないといけない。
このクライアントは令和6年1月から始めるということですが、どの改正の要件が適用されるんですか?
令和6年1月1日以後に保存する書類だから、令和5年度の税制改正後の要件が適用されるよ。
「保存する」というのは、やっぱりスキャンして入力が完了した日のことですよね?
よく覚えていたね。そう、タイムスタンプ要件を満たすまでの入力が完了した日が「保存が行われた日」になる。だから12月に受け取った請求書でも、実際にスキャンしたのが1月なら、新しい要件が適用されるんだ。
具体的には、クライアントにどのようにアドバイスすればいいでしょうか?
まず、令和6年1月1日からスキャナ保存を開始する旨を社内で明確にすること。次に、どの種類の書類をスキャナ保存の対象にするか決めること。そして、令和5年度改正後の保存要件、具体的にはタイムスタンプの付与や検索機能の整備ができているか確認することだね。
4月から12月までに受け取った書類はどうすればいいですか?
それは従来通り紙で保存しておけば問題ない。スキャナ保存は、あくまで1月以降に「保存する」書類からの適用だから、それ以前の書類を遡ってスキャンする必要はないんだ。
でも、もし遡ってスキャンしたいと言われたら?
それも可能だよ。ただし、その場合でもスキャンを実施した日の要件が適用される。例えば、令和5年10月の請求書を令和6年2月にスキャンするなら、令和5年度改正後の要件で保存することになる。
わかりました。事業年度の途中からでも始められること、書類の種類ごとに選べること、事前承認が不要なこと、この3点をしっかりクライアントに伝えます。
完璧だね。あと、開始日を明確にしておくことと、一度始めたら継続性を持って運用することも忘れずに伝えてね。柔軟に始められる分、記録管理はしっかりやらないといけないからね。
法令に定めるスキャナ保存の要件を満たせば、課税期間の途中からでもスキャナ保存を行うことは可能です。
スキャナ保存については、電子帳簿等保存のように、課税期間の始めから一貫して電磁的記録による保存を行う必要はありませんので、 法令に定めるスキャナ保存の要件を満たせば、課税期間の途中からでもスキャナ保存を行うことは可能です。
また、スキャナ保存は国税関係書類の種類ごとに適用できますので、一部の国税関係書類のみをスキャナ保存により保存することも可能です。
なお、国税関係書類の保存に当たっては、基本的には合理的に区分できる書類の種類の単位ごと等、一定の継続性をもって保存が行われることから、スキャナ保存を開始した日(保存に代えた日)及びスキャナ保存を取りやめた日(保存に代えることをやめた日)を明確にしておく必要があります。
(注)令和3年度の税制改正により、令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については、事前に税務署長の承認を受ける必要はありません。
出所:国税庁
.png)

.png)
.png)
.png)
.png)
.png)
.png)
.png)
.png)