U 平成30年度の改正事項のうち、令和元年分の所得税から適用される主なもの

1 事業所得等関係

 

(1) 地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除(措法10 の5)について、次のとおり見直しが行われました。

@ 同意雇用開発促進地域に係る措置は、適用期限の到来をもって廃止する(旧措法10の5@)。
A 地方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置を地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の特別税額控除制度に改組するとともに、一定の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。

※ 詳細は、国税庁ホームページ『平成30年分 所得税の改正のあらまし』4、5ページをご覧ください。

 

(2) 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の所得税額の特別控除(所得拡大促進税制)(措法10の5の4)について、一定の見直しが行われた上、それぞれの税額控除額の限度額がその年分の調整前事業所得税額の100分の20相当額とされました。
※ 詳細は、国税庁ホームページ『平成30年分 所得税の改正のあらまし』5、6ページをご覧ください。

 

(3) 所得税の額から控除される特別控除額の特例(措法10の6)について、中小事業者を除く一定の個人が、令和元年から令和3年までの各年(以下「対象年」といいます。)において試験研究を行った場合の所得税額の特別控除等の適用を受けようとする場合において、その対象年の継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額以下であり、かつ、国内設備投資額がその年の償却費総額の100分の10相当額以下であるときは、試験研究を行った場合の所得税額の特別控除等を適用できないこととされました(措法10の6D)。

 

(4) 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却(措法13)について、基準雇用障害者数が20人以上であって、重度障害者割合が100分の50以上であることとの要件における重度障害者割合が100分の55以上に引き上げられた上、その適用期限が2年延長されました。

 

2 国際課税

 

(1) 租税条約上の恒久的施設(以下「PE」といいます。)の定義と異なる場合の調整規定等の整備

@ PEの範囲について、租税条約において異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」といいます。)については、その租税条約においてPEと定められたもの(国内にあるものに限ります。以下同じです。)を国内法上のPEとすることとされました(所法2@八の四)。
A いわゆる支店PEについて、その範囲を国内にある支店、事務所等その他事業を行う一定の場所に改めるとともに(所令1の2@)、いわゆる建設PEについて、建設PEを構成する場所を、国内にある長期建設工事現場等に限定し(所法2@八の四ロ、所令1の2A)、いわゆる代理人PEについて、在庫保有代理人及び注文取得代理人の定義に関する規定を削除するとともに、同業者代理人に関する措置を廃止する等の措置が講じられました(旧所令1の2B)。

(2) PE認定の人為的回避防止措置の導入

@ 建設PEの期間要件について、契約を分割して建設工事等の期間を1年以下とすることにより建設PEを構成しないことがその契約の分割の主たる目的の一つであったと認められる場合には、正当な理由に基づいて契約を分割したときを除いて、分割された期間を合計して判定を行うこととされました(所令1の2B)。
A

その活動が非居住者等の事業の遂行にとって準備的又は補助的な性格のものである場合に限り、保管、展示、引渡しその他の特定の活動を行うことのみを目的として保有する場所等は、PEに含まれないものとされました(所令1の2C)。     
ただし、事業を行う一定の場所を使用し、又は保有する非居住者等と特殊の関係にある者(その個人又は法人との間に直接・間接の持分割合50%超の関係その他の支配・被支配の関係にある者をいいます(所令1の2H)。次のBにおいて同じです。)が当該事業を行う一定の場所において事業上の活動を行う等の場合において、当該事業を行う一定の場所がその者のPEに該当する等の一定の要件に該当し、かつ、当該事業上の活動が一体的な業務の一部として補完的な機能を果たすときの当該事業を行う一定の場所については、この適用はないこととされました(所令1の2D)。

B 代理人PEの範囲について、国内において非居住者等に代わって、その事業に関し、反復して契約を締結し、又は一定の契約の締結のために反復して主要な役割を果たす者で、これらの契約が非居住者等の資産の所有権の移転等に関する契約である場合における当該者を加えるとともに、独立代理人の範囲から、専ら又は主として一又は二以上の自己と特殊の関係にある者に代わって行動する者を除外することとされました(所令1の2FG)。

(3) 外国組合員に対する課税の特例(措法41の21)について、一定のPE帰属所得で投資組合契約に基づいて行う事業に係るPEに帰せられるものに対する所得税を非課税とする措置に改組された上、これに伴う所要の措置が講じられました(措法41の21@〜BJ)。

 

3 その他

 

(1) 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)(措法9の8、37の14)について、非課税口座を開設しようとする居住者等は、金融商品取引業者等の営業所の長に対し、非課税適用確認書等の添付を要しない非課税口座簡易開設届出書の提出ができることとされました(措法37の14D一、措令25の13D二)。

 

(2) 国等に対して重要有形民俗文化財を譲渡した場合の譲渡所得の2分の1課税の特例が、その適用期限(平成30年3月30日)の到来をもって廃止されました(旧措法40の2A)。

 

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