

最近クライアントから電帳法の保存要件について質問が増えていますね。今日は特に重要な論点について説明しましょう。
はい、先生。実は昨日も、「会計データを画像ファイルやPDF形式に変換して保存していても、電帳法の要件を満たしているのでしょうか?」という質問を受けました。
それは非常に重要な質問ですね。結論から言うと、画像ファイルやPDF形式だけでは要件を満たしていない可能性が高いです。
えっ、そうなんですか?でも、データは保存されているのに、どうして要件を満たさないのでしょうか?
ここで重要なのは「ダウンロードの求め」という概念です。これは税務調査の際に、税務職員が電磁的記録の提示・提出を求めることを指します。
具体的にはどのような形で求められるのでしょうか?
例えば、売上データや仕入データを検索可能な状態で提出するよう求められます。つまり、税務職員がデータを検索し、並び替えや集計ができる形式でなければなりません。
なるほど。画像ファイルやPDF形式だと、検索性に劣るということですね。
その通りです。具体例を挙げてみましょう。
事例1:製造業A社のケース
製造業のA社が、売上台帳を画像ファイル(JPEG形式)で保存していました。税務調査の際、税務職員が「2023年4月の○○商品の売上データを抽出してください」と求めました。
画像ファイルだと、そのようなデータ抽出はできませんよね。
正解です。A社は画像ファイルから手作業で該当データを探し出す必要があり、これでは「ダウンロードの求め」に応じたとは認められませんでした。
事例2:小売業B社のケース
小売業のB社は、仕入台帳をPDF形式で保存していました。税務職員が「仕入先別の年間集計表を作成してください」と求めましたが、PDFファイルからは効率的なデータ処理ができませんでした。
PDFも基本的には検索性に劣るということですね。
はい。ただし、検索可能なPDFであれば多少は改善されますが、それでも十分とは言えません。
では、どのような形式で保存すべきなのでしょうか?
税務調査で確認可能な状態であれば、形式や並び順に決まりはありません。しかし、通常出力可能なファイル形式、例えばCSV形式などで提供される必要があります。
具体的には以下のような形式が推奨されます:
つまり、データを生きた状態で保存することが重要なんですね。
ただし、完全に画像ファイルやPDF形式がダメというわけではありません。検索性等を備えたデータも併せて保存していれば問題ありません。
事例3:建設業C社の成功例
建設業のC社は、契約書を画像ファイルで保存していましたが、同時に契約内容をCSV形式のデータベースでも管理していました。
つまり、二重管理していたということですね。
そうです。税務調査の際、画像ファイルは証憑として、CSV形式のデータは検索・集計用として活用でき、要件を満たしていると認められました。
ところで、「ダウンロードの求め」では、ハードディスクなどの記憶媒体自体も提出する必要があるのでしょうか?
いえ、記憶媒体自体の提示・提出を求めるものではありません。求められるのは電磁的記録の提示・提出です。
でも、税務調査の際にパソコンを確認されることがありますよね?
はい、それは質問検査権に基づいて行われるもので、「ダウンロードの求め」とは別の権限です。
実務上、クライアントにはどのようにアドバイスすべきでしょうか?
まず、現在の保存形式を確認することから始めましょう。画像ファイルやPDF形式のみで保存している場合は、検索可能な形式での併用保存を検討してもらいます。
以下の点を確認してください:
なるほど。税務調査の効率性を考えると、これらの機能は必須ですね。
今日のポイントをまとめると:
先生、ありがとうございました。早速、クライアントの保存状況を確認して、必要に応じて改善提案をしてみます。
田中先生: そうですね。電帳法の要件は複雑ですが、根本的な目的を理解すれば、適切な対応ができるはずです。何か疑問があれば、いつでも相談してください。
国税関係帳簿に係る電磁的記録の保存については 、「ダウンロードの求め(電磁的記録の提示・提出の要求)」に応じることができるようにしておく必要があるところ、 画像ファイルやPDF形式に変換して保存されている電磁的記録については、一般的には、検索性等の劣るものであると考えられます。
したがって、検索性等を備えたデータ(CSV形式等)も併せて保存しているなどの特段の事情がない限り、その画像ファイルやPDF形式 に変換して保存されている電磁的記録を提示・提出できるようにしている場合であっても、「ダウンロードの求め(電磁的記録の提示・提出の要求)」に応じることができるようにしているとは認められないことから、ダウンロードの求めに応じることができるようにしておくことの要件を満たしてその電磁的記録を保存していることにはなりません。
従来、国税関係帳簿の電磁的記録による保存を行うためには、検索ができることや訂正・削除・追加の有無等を確認できること等の厳格な要件設けられていたところ、令和3年度の税制改正において、こうした厳格な要件を備えていない電子帳簿であっても電磁的に保存することが認められましたが、その際の「最低限の要件」として、当該電磁的記録について税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにしておくことが必要とされています。
これは、この求めに応じて税務当局にデータが提供されることにより、税務当局において、必要なデータの検索や訂正・削除・追加の有無等を確認することを可能とし、税務調査の適正性・効率性を一定程度確保するためのものです。取扱通達4−14解説で示している例と同様、備付け段階では検索性等を保持した状態で作成されている電子帳簿について、その電磁的記録の保存に際し、検索性等の面で劣る画像ファイルやPDF形式に変換して保存し、提示・提出できるようにしていたとしても、税務調査の適正性・効率性に支障を及ぼすおそれがある場合には、「ダウンロードの求め(電磁的記録の提示・提出の要求)」に応じることができるようにしているとは認められません。
なお、例えば、記帳代行業者が会計ソフトにより電子帳簿を作成している場合について、PDF形式に変換したデータを納税者に提供することが禁止されているわけではなく、検索性等を備えたCSV形式に出力したデータも併せて納税者に提供してお き、当該データについてもダウンロードの求めに応じ ることができる ようにしておく といった対応が可能です。
出所:国税庁

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