

先生、お客様からスキャナ保存制度について質問されたのですが、どのような内容の制度なのでしょうか?
スキャナ保存制度とは、取引先から受け取った請求書や領収書、自社で作成したそれらの写しといった国税関係書類を、紙で保存する代わりにスキャンしてデジタル保存できる制度です。ただし、決算関係書類は対象外ですね。
なるほど。具体的にはどんな書類が対象になるのですか?
例えば、得意先からの請求書、仕入先への支払いの領収書、契約書、見積書などが対象です。一方で、棚卸表や貸借対照表、損益計算書などの決算関係書類は対象外です。売上伝票のような伝票類も国税関係書類に該当しないので、スキャナ保存はできません。
この制度はいつ頃から始まったのですか?
平成17年度に創設されました。当初は契約金額3万円未満の書類に限定されていましたが、段階的に要件が緩和されてきました。特に令和3年度の改正が大きく、承認制度が廃止され、適正事務処理要件も不要になりました。
承認制度が廃止されたということは、届出だけで始められるということですか?
そうです。ただし、過去分重要書類をスキャナ保存する場合は適用届出書の提出が必要です。令和3年度の改正で、タイムスタンプの要件も緩和され、最長約2か月以内の付与で良くなりました。
実際にスキャナ保存を行う場合、どんな要件を満たす必要がありますか?
主な要件は、200dpi以上の解像度でのカラー読み取り、タイムスタンプの付与またはそれに代わるシステムでの保存、検索機能の確保などです。検索項目は取引年月日、取引金額、取引先の3つに限定されています。
スマートフォンでも読み取りできるのでしょうか?
はい、平成28年度の改正でスマートフォンやデジタルカメラも「スキャナ」に含まれるようになりました。外出先で受け取った領収書をその場でスマホで撮影して保存することも可能です。
スキャンした後、原本の紙はすぐに捨てても大丈夫ですか?
要件を満たしたスキャン文書は、読み取りと最低限の確認を行った後であれば、原則として紙を即時に廃棄しても問題ありません。ただし、入力期間を過ぎた場合は電磁的記録と併せて紙も保存する必要があります。
令和5年度や令和6年度にも改正があったと聞きましたが?
はい。令和5年度の改正では、相互関連性要件が契約書・領収書等の重要書類に限定されました。そして令和6年1月1日以降の書類からは、解像度・階調情報の保存、大きさ情報の保存、入力者等情報の確認要件が廃止されています。
要件がどんどん緩和されているということですね。
そうです。国税庁も電子帳簿保存法全体でペーパーレス化を推進しており、納税者の負担軽減を図っています。消費税の仕入税額控除に必要な適格請求書の保存も、要件を満たせばスキャナ保存で対応できますし、書類保管スペースの削減や検索の効率化で、中小企業にとってもコスト削減のメリットは大きいですね。
お客様にもおすすめできる制度ということですね。要件をしっかり理解して提案していきたいと思います。
ただし、真実性や可視性の確保は重要です。14インチ以上のカラーディスプレイでの表示、4ポイント文字の認識、整然明瞭な出力などの要件は今も残っていますから、システム選びの際は注意が必要ですよ。
スキャナ保存制度は、取引の相手先から受け取った請求書等及び自己が作成したこれらの写し等の国税関係書類(決算関係書類を除きます。)について、一定の要件の下で、書面による保存に代えて、スキャン文書による保存が認められる制度です(法4B)。
電子帳簿保存法は、納税者の国税関係帳簿書類の保存に係る負担の軽減等を図るために、その電磁的記録等による保存等を容認しようとするものですが、納税者における国税関係帳簿書類の保存という行為が申告納税制度の基礎をなすものであることに鑑み、適正公平な課税の確保に必要な一定の要件に従った形で、電磁的記録等の保存等を行うことが条件とされています。
スキャン文書による保存については、平成17年度に創設されて以降、次のような改正がされています。
平成17年度の税制改正により、電子署名、タイムスタンプによりスキャン文書の変更等の検知が可能となったこと及びヴァージョン管理によるスキャン文書の変更履歴を保持することが可能になったことなどから、スキャン文書による保存を認めることとなりました(契約書等については、記載された契約金額又は受取金額が3万円未満のものについて認めることとなりました。)。
平成27年度の税制改正により、平成27年9月30日以後に行う承認申請から、次のような改正がされました。
(1) 契約書等に係る金額基準(3万円未満)を廃止し、適正な事務処理を担保する規程の整備等が要件とされたこと。
(2)契約書等について、業務サイクル後速やかに入力を行っている場合の関連する国税関係帳簿の電子保存の承認要件が廃止されたこと。
(3)入力者等の電子署名を不要とし、タイムスタンプを付すとともに、入力者等情報の確認が要件とされたこと。
(4)一般書類(旧規則第3条第6項に規定する国税庁長官が定める書類 )については、その書類の大きさに関する情報の保存が不要とされ、カラーではなくグレースケールでの保存でも要件を満たすこととされたこと。
平成28年度の税制改正により、平成28年9月30日以後に行う承認申請から、次のような改正がされました。
(1) 国税関係書類の受領者等(旧規則第3条第5項第2号ロに規定する国税関係書類を作成又は受領する者をいいます。以下同様となります。)が読み取る場合、次に掲げる事項が要件とされたこと。
@ 国税関係書類の作成又は受領(以下「受領等」といいます。)後、受領者等が署名を行った上で、特に速やか(3日以内)にタイムスタンプを付す。
A A4以下の大きさの国税関係書類については、大きさに関する情報の保存を要しない。
B 相互けんせい要件について、受領者等以外の者が記録事項の確認(必要に応じて原本の提出を求めることを含みます。)を行うこととすることで足りる。
(2)小規模企業者(中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者をいいます。以下同様となります。)である場合、いわゆる「適正事務処理要件」について、税務代理人が定期的な検査を行うことによって、相互けんせい要件が不要とされたこと。
(3)スキャナについて、原稿台と一体型に限るとする要件が廃止されたこと。
令和元年度の税制改正により、承認を受ける前に作成又は受領した重要書類についても、令和元年9月30日以降に適用届出書を提出し、一定の要件を満たすことで、スキャナ保存することが可能となりました。
令和3年度の税制改正により、令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については承認制度が廃止されたほか、次のような改正がされました。
(1)タイムスタンプ要件について、付与期間が記録事項の入力期間(最長約2月以内)と同様とされるとともに、受領者等がスキャナで読み取る際に行う国税関係書類への自署が不要とされたほか、電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含みます。)において、その電磁的記録を保存することにより、その入力期間内に記録事項を入力したことを確認することができる場合にはその確認をもってタイムスタンプの付与に代えることができることとされたこと。
(2)適正事務処理要件(相互けんせい、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備等をいいます。)が廃止されたこと。
(3)検索機能の確保の要件について、検索項目が取引等の年月日、取引金額及び取引先に限定されるとともに、保存義務者が税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合にあっては、範囲を指定して条件を設定できる機能及び項目を組み合わせて条件を設定できる機能の確保が不要とされたこと。
令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後に保存を行う国税関係書類から、次のような改正がされました。
(1)国税関係書類をスキャナで読み取った際の解像度、階調及び大きさに関する情報の保存時に満たすべき要件が廃止されたこと。
(2)国税関係書類に係る記録事項の入力者等に関する情報の確認要件が廃止されたこと。
(3)相互関連性要件について、国税関係書類に関連する国税関係帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認することができるようにしておくこととされる書類が、契約書・領収書等の重要書類に限定されたこと。
出所:国税庁
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