

先生、前回の続きなんですが、改正前の承認を受けている書類について、新しい要件でスキャナ保存に切り替えたい場合、取りやめの届出書は必ず出さないといけないんですか?
実は、原則は必要だけど、例外的に提出しなくてもいい方法があるんだ。これは納税者の利便性を考慮した措置なんだよ。
原則と例外があるんですね。まず原則から教えてください。
原則としては、改正後の要件でスキャナ保存を開始する日より前に、承認済国税関係書類に係る取りやめの届出書を提出する必要がある。例えば、令和6年4月1日から新要件に切り替えたいなら、3月31日までに届出書を税務署に提出するんだ。
その届出書には、何を書くんですか?
重要なのは、承認を取りやめる年分を明示することだね。例えば「令和6年4月1日以降に保存する書類について、承認を取りやめます」といった形で、いつから新要件に移行するのかを明確にする必要がある。
でも、例外的に提出しなくてもいい方法があるんですよね?
そう。2つの条件を満たせば、取りやめの届出書を提出しなくても、提出があったものとみなされるんだ。
その2つの条件を詳しく教えてください。
1つ目は、改正後の要件でスキャナ保存を開始した日について、後日明らかにできるように管理・記録しておくこと。2つ目は、税務調査があった際に、その管理・記録した内容について答えられるようにしておくことだよ。
「後日明らかにできるように管理・記録する」というのは、具体的にどうすればいいんですか?
方法は事業者が適宜決めていい。例えば、社内文書で「令和6年4月1日より新要件によるスキャナ保存に移行」と記載して保管しておくとか、システムの設定変更記録を残しておくとか、業務日誌に記録するとかだね。
なるほど。具体例を挙げると、どんな書類がいいでしょうか?
例えば「スキャナ保存規程変更通知書」のような社内文書を作成して、「令和6年3月31日をもって改正前の承認に基づくスキャナ保存を終了し、令和6年4月1日より令和3年度税制改正後の要件に基づくスキャナ保存を開始する」といった内容を記載して保管しておくといいね。
電子データで保存してもいいんですか?
もちろん。むしろ電子データのほうが検索しやすくて便利かもしれない。Excelで管理台帳を作って「変更日:令和6年4月1日、内容:新要件への移行」と記録しておくのもいいし、メールで社内通知を出してそのメールを保存しておくのもいい。
税務調査で質問されたら、その記録を見せて説明すればいいんですね。
その通り。調査官から「いつから新要件に移行されましたか?」と聞かれたときに、記録を見せながら「令和6年4月1日からです」と明確に答えられれば問題ないんだ。
原則の方法と例外の方法、どちらを選ぶべきでしょうか?
それは会社の状況次第だね。きちんと事前に計画を立てられる会社なら、原則通り届出書を提出したほうが確実だ。でも、急に新要件に移行したくなったとか、届出書の提出を忘れてしまったとかの場合は、例外の方法が使える。
実務的には、どちらのほうが多いんですか?
最近は例外の方法を選ぶ会社が増えているね。届出書を作成して税務署に提出する手間が省けるし、記録さえきちんと残しておけば問題ないからね。
でも、記録を残し忘れたらどうなるんですか?
それは問題になる可能性がある。税務調査で「いつから新要件に移行したのか」を証明できないと、適切な保存ができていないとみなされるリスクがあるんだ。
じゃあ、例外の方法を選ぶなら、記録管理を確実にやることが大切ですね。
その通り。私のおすすめは、移行時に社内文書を作成して、さらに念のため届出書も提出しておくことだね。二重の対策をしておけば、まず問題ない。
取りやめの届出を出すと、何か影響はあるんですか?
重要な点を一つ覚えておいてほしい。スキャナ保存の承認を取りやめた場合、改正前の要件で保存していた書類の出力書面等による保存は認められないんだ。
どういうことですか?
例えば、令和5年度まで改正前の要件でスキャン保存していた請求書があるとする。令和6年4月に取りやめ届出を出して新要件に移行した後、過去の令和5年度の電子データを紙に印刷して保存し直す、ということはできないんだよ。
あ、電子データは電子データのまま保存し続けないといけないんですね。
そう。電子帳簿の場合は、承認を取りやめても出力書面での保存が認められることがあるけど、スキャナ保存の場合は認められない。これは重要な違いだから、覚えておいて。
ということは、一度スキャナ保存で保存した書類は、ずっと電子データで保管し続ける必要があるんですね。
その通り。だから、スキャナ保存を始める前に、長期的なデータ保管体制をしっかり整えておくことが大切なんだ。
クライアントには、どうアドバイスすればいいでしょうか?
まず、新要件への移行を決めたら、移行日を明確にすること。次に、社内文書やシステムログで記録を残すこと。そして、可能なら取りやめの届出書も提出しておくこと。この3点を伝えてあげて。
わかりました。記録管理が最も重要で、届出書の提出は任意だけど提出したほうが確実、ということですね。
完璧な理解だね。あと、移行後は過去のデータも含めて電子で保管し続けることも忘れずに伝えておいて。
令和3年度の税制改正前の承認済国税関係書類について、令和3年度の税制改正後の要件で引き続きスキャナ保存を行う場合については、原則として、当該承認済国税関係書類に係る取りやめの届出書の提出が必要となりますが、以下について行っていただく場合は、当該承認済国税関係書類に係る取りやめの届出書を提出する必要はありません。
・令和3年度の税制改正後の要件でスキャナ保存を開始した日について、管理、記録をしておくこと。
・税務調査があった際に、上記の管理、記録しておいた内容について答えられるようにしておくこと。
令和3年度の税制改正により、令和4年1月1日に現にスキャナ保存の承認を受けている国税関係書類については、なお従前の例によることとされています(令3改正法附則82B、D三)。
したがって、令和4年1月1日以後に改正後の要件により保存を行おうとする場合、原則として、改正後の要件による保存を開始する日より前に取りやめの届出書の提出が必要となります。その際には、承認を取りやめる年分を明示してその取りやめの届出 書の提出をする必要があることに留意が必要です。
しかしながら、引き続き国税関係書類に係るスキャナ保存を行おうとする場合においては、納税者の利便性向上という本改正の趣旨も踏まえ、改正前に既にスキャナ保存の承認を受けている保存義務者に対して追加の負担を求めるものとならないよう、保存義務者が、令和3年度の税制改正後の要件でスキャナ保存を開始した日について、後日明らかにできるような状態で適宜の方法により管理、記録をしておき、後日税務調査があった際に、令和3年度の税制改正後の要件でスキャナ保存を開始した日について説明できるような状態にしている場合には、令和3年度の税制改正前の承認に係る取りやめの届出書の提出があったものとみなして、別途、取りやめの届出書の提出は求めることとはしません。
なお、改正前の承認については、改正前のスキャナ保存の要件で国税関係書類に係るスキャナ保存を行う日の最終日まで効力を有するものとして取り扱います。
また、改正前の要件で国税関係書類に係るスキャナ保存を行おうとする場合には、その国税関係書類について引き続き承認を受けている必要があるため、承認を取りやめないよう留意が必要であり、引き続きその改正前の要件でスキャナ保存を行う年分を除外して、上記の取りやめの届出書の提出を行う必要があります。なお、承認を取りやめた場合には、国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等の場合と異なり、スキャナ保存に係る国税関係書類の出力書面等による保存は認められないことに留意が必要です。
出所:国税庁
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