令和3年度の税制改正前の承認済国税関係書類について、この改正前のスキャナ保存の要件のままスキャナ保存をしたいのですが、手続は必要でしょうか。

令和3年度の税制改正前の承認済国税関係書類について、この改正前のスキャナ保存の要件のままスキャナ保存をしたいのですが、手続は必要でしょうか。

問68 令和3年度の税制改正前の承認済国税関係書類について、この改正前のスキャナ保存の要件のままスキャナ保存をしたいのですが、手続は必要でしょうか。

 

先生、クライアントから質問があったんです。令和3年度の税制改正前にスキャナ保存の承認を受けていて、今も改正前の要件でスキャナ保存を続けたいそうなんですが、何か手続きが必要でしょうか?


 

結論から言うと、手続きは一切必要ないよ。改正前の承認を受けている国税関係書類については、そのまま従前の要件でスキャナ保存を継続できるんだ。


 

えっ、届出とか何も出さなくていいんですか?


 

何も必要ない。令和3年度の税制改正では承認制度自体が廃止されたけど、それ以前に承認を受けていた書類については「なお従前の例による」とされているんだ。


 

「なお従前の例による」って、どういう意味ですか?


 

簡単に言えば、「改正前のルールをそのまま適用し続けてもいいですよ」ということだね。すでに承認を受けて運用していた会社に配慮した経過措置なんだ。


 

ということは、令和4年1月以降も、改正前の要件でスキャナ保存を続けられるんですね。


 

その通り。例えば、令和2年に承認を受けて運用を始めた会社があったとしよう。その会社は令和6年の今でも、改正前の要件でスキャナ保存を継続できるんだ。


 

でも、改正前の要件って、今より厳しかったんじゃないですか?


 

いい指摘だね。改正前は、例えば相互けん制要件があったり、定期検査が必要だったり、今より確かに要件が厳格だった。でも、すでにその体制を整えている会社にとっては、慣れた方法を続けられるメリットもあるんだよ。


 

なるほど。じゃあ、逆に新しい要件に変更したい場合はどうすればいいんですか?


 

それは別の話になるね。承認済の書類について、令和3年度改正後の新しい要件を適用したい場合は、原則として改正前の承認に係る「取りやめの届出書」を提出する必要がある。


 

取りやめの届出書ですか。それはいつまでに出すんですか?


 

新しい要件でのスキャナ保存を開始する日より前に提出する必要がある。例えば、令和6年4月1日から新要件に切り替えたいなら、3月31日までに届出書を出しておくべきだね。


 

届出を忘れてしまったらどうなるんですか?


 

実は納税者の利便性を考慮した特例があるんだ。改正後の要件でスキャナ保存を開始した日を、後日明らかにできるように管理・記録していれば、取りやめの届出書を別途提出しなくてもいいとされているんだよ。


 

具体的には、どんな記録を残しておけばいいんですか?


 

例えば、「令和6年4月1日より新要件によるスキャナ保存に移行」という社内文書を作成して保管しておくとか、システムのログで切り替え日を確認できるようにしておくとかだね。税務調査の時に説明できる状態にしておくことが重要なんだ。


 

わかりました。じゃあ、このクライアントには「改正前の要件で続けるなら手続き不要、新要件に変えたいなら取りやめ届出か記録管理が必要」と伝えればいいですね。


 

完璧な理解だね。ただ、クライアントに確認すべきポイントがあるよ。


 

どんなポイントですか?


 

まず、改正前の要件を維持するメリットとデメリットを整理してあげること。改正前は相互けん制や定期検査が必要だから、人手がかかる。一方、新要件は要件が緩和されているから、運用が楽になる可能性が高い。


 

確かに。改正前の厳しい要件を続ける理由があるかどうか、検討してもらったほうがいいですね。


 

そう。多くの会社は新要件に移行したほうがメリットが大きいと思う。ただ、すでにシステムや体制が整っていて、変更のコストをかけたくない会社もあるからね。


 

新要件に移行する場合、改正前に承認を受けていた書類の範囲と、新しく保存する書類の範囲は変えられるんですか?


 

変えられるよ。例えば、改正前は請求書だけ承認を受けていたけど、新要件では領収書も追加する、ということも可能だ。新要件は書類の種類ごとに自由に選べるからね。


 

じゃあ、移行のタイミングも自由に選べるんですね。


 

そう、課税期間の途中からでも移行できる。ただし、同じ種類の書類については継続性を持って保存する必要があるから、「4月は旧要件、5月は新要件、6月はまた旧要件」みたいな運用はできないよ。


 

実務的には、事業年度の切り替わりのタイミングで移行するのがスムーズそうですね。


 

その通り。システムの更新や社内研修も必要だから、計画的に進めるべきだね。


 

このクライアントには、まず現状の運用を続けるか新要件に移行するか検討してもらって、移行するなら取りやめ届出か記録管理の準備を進めるようアドバイスします。


 

完璧だね。あと一つ付け加えるなら、改正前の要件を続ける場合でも、定期的に運用状況を見直すように伝えておくといいよ。相互けん制や定期検査が適切に行われているか、確認が必要だからね。


 

わかりました。承認済の書類は手続き不要で継続できるけど、新要件への移行も柔軟にできる、この両方をしっかり説明します。

【回答】

改正前の要件のままスキャナ保存する場合については、手続は必要ありません。

【解説】

令和3年度の税制改正により、承認済国税関係書類については、なお従前の例によることとされています(令3改正法附則82B)。


したがって、承認済国税関係書類については、令和3年度の税制改正前のスキャナ保存の要件のままスキャナ保存をするのであれば、手続は必要ありません。


出所:国税庁