

先生、クライアントから電磁的記録を外部記憶媒体に保存する場合の要件について聞かれたのですが、具体的にはどういう要件があるのでしょうか?
いい質問ですね。まず重要なポイントは、記憶媒体の種類にかかわらず、保存時に満たすべき要件は同じということです。USBでもクラウドでも、どの媒体を使っても要件は変わりません。
そうなんですね。てっきり媒体ごとに違う要件があるのかと思っていました。
それが多くの方が誤解しやすい点なんです。電子帳簿保存法では、記憶媒体や保存すべき電磁的記録を限定する規定がないため、保存義務者が国税関係帳簿書類に係る電磁的記録の媒体を任意に選択できる仕組みになっています。
ということは、どの記憶媒体を選んでも同じ保存要件が適用されるということですか?
その通りです。同一の保存要件が適用されます。ただし、データの保存において絶対に守らなければならない点があります。それは何だと思いますか?
うーん...データの整合性でしょうか?
正解です!サーバー等で保存していた電磁的記録と外部記憶媒体に保存する電磁的記録が同一である必要があります。例えば、会計ソフトからエクスポートしたデータをUSBに保存する際、元データと完全に同じ内容でなければなりません。
なるほど。でも実際の運用面で気をつけるべきことはありますか?
良い着眼点ですね。望ましい運用として、必要に応じて電磁的記録の保存に関する責任者を定めることが推奨されています。また、管理規則を作成して備え付けるなど、管理・保管に万全を期すことが重要です。
具体的には、どのような管理規則を作成すればよいのでしょうか?
例えば、データのバックアップ頻度、アクセス権限の設定、保存期間の管理方法などを明文化します。特に中小企業では、経理担当者が退職した際にデータの所在がわからなくなるケースもありますからね。
税務調査の際には、どのような点をチェックされるのでしょうか?
調査官は主に、保存されているデータが改ざんされていないか、検索機能が適切に機能するか、そして保存期間が守られているかを確認します。外部記憶媒体の場合は、特にデータの完全性が重視されますね。
クライアントにアドバイスする際のポイントを教えてください。
まず、どの媒体を選んでも要件は同じだということを伝えてください。その上で、会社の規模や業務フローに応じて最適な保存方法を提案することが大切です。コストと利便性のバランスを考慮しながら、長期的な視点でアドバイスしましょう。
ありがとうございます。電磁的記録の外部保存について、クライアントに自信を持って説明できそうです!
それは良かったです。電子帳簿保存法は複雑に見えますが、基本的な要件を理解すれば、適切な運用ができるようになります。何か不明な点があれば、いつでも相談してくださいね。
記憶媒体の種類にかかわらず保存時に満たすべき 要件は同じであり、 特定の外部記憶媒体に限った要件はありません。
電子帳簿保存法では、記憶媒体や保存すべき電磁的記録を限定する規定はないことから、国税関係帳簿書類に係る電磁的記録の媒体については保存義務者が任意に選択することができることとなります(取扱通達4−1)。
また、保存時に満たすべき要件に関しても記憶媒体ごとに規定されていないことから、いずれの記憶媒体であっても同一の要件が適用されることとなります。
なお、実際のデータの保存に際しては、サーバ等で保存していた電磁的記録と外部記憶媒体に保存している電磁的記録は当然に同一のものでなければなりません。このため、必要に応じて電磁的記録の保存に関する責任者を定めるとともに、管理規則を作成し、これを備え付けるなど、管理・保管に万全を期すことが望ましいと考えられます。
出所:国税庁
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