電磁的記録の検索機能は、現在使用しているシステムにおいて確保しなければならないのでしょうか。

電磁的記録の検索機能は、現在使用しているシステムにおいて確保しなければならないのでしょうか。

問15 電磁的記録の検索機能は、現在使用しているシステムにおいて確保しなければならないのでしょうか。

 

先生、電子帳簿保存法のスキャナ保存で気になることがあります。電磁的記録の検索機能って、現在使用しているシステムで必ず確保しないといけないんでしょうか?


 

いい質問ですね。実は、現在使用しているシステムで必ずしも検索機能を確保する必要はありません。変更前のシステムなど、他のシステムで検索機能が確保されていれば問題ないんです。


 

えっ、そうなんですか?でも、それって法的に大丈夫なんでしょうか?


 

はい、電子帳簿保存法施行規則第2条第6項第5号の検索機能に関する規定では、特定の電子計算機についての定めがないんです。つまり、検索機能を満たせる電子計算機であれば、現在の業務で使っているものでなくても差し支えないということです。


 

具体的にはどんな場面で活用できるんでしょうか?


 

典型的な例はシステム変更時ですね。新しい会計システムに移行したけれど、古いデータの検索は前のシステムでしかできない場合があります。このような時、前のシステムで検索機能が確保されていれば、新システムに検索機能がなくても法令要件を満たしているんです。


 

それは便利ですね!でも、何か注意点はありますか?


 

重要な注意点が一つあります。検索に使用する電磁的記録がスキャナ保存している電磁的記録と同一のものであることを確認できるようにしておく必要があります。データの同一性の確保が必須なんです。


 

データの同一性って、具体的にはどうやって確保するんですか?


 

例えば、ハッシュ値の比較やタイムスタンプの確認、バックアップデータとの照合などが考えられます。要は、検索対象のデータが改ざんされていないことを証明できる仕組みが必要ということです。


 

システム変更以外にも応用できる場面はありますか?


 

はい、例えば複数のシステムを併用している企業でも活用できます。メインシステムには検索機能がないけれど、サブシステムや専用の検索ツールで機能を確保している場合ですね。重要なのは、どこかのシステムで適切な検索機能が利用できることです。


 

なるほど!これで電子帳簿保存法の運用がもっと柔軟になりますね。


 

その通りです。ただし、税務調査時には検索機能の提供が求められるので、いつでもアクセスできる状態にしておくことが大切です。法令要件を満たしつつ、実務に即した対応ができるのがこの制度の良い点ですね。


 

分かりました!お客様への説明でも、この柔軟性をお伝えできそうです。


 

そうですね。電子帳簿保存法は複雑に見えますが、実務に配慮した規定も多いんです。正しく理解して、お客様の業務効率化に活かしていきましょう。

【回答】

変更前のシステムを用いること等により検索機能が確保されているのであれば、現在使用し ているシステムにより検索 が できなくても差し支えありません。

【解説】

規則第2条第6項第5号に規定する検索機能については、特に電子計算機についての定めはなく、また、同項第4号に規定する出力機能についても「当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機」を備え付ければよいこととされていることから、これらの規定を満たすことができる電子計算機であれば、現在の業務において使用している電子計算機でなくても差し支えないこととなります。


例えば、システム変更等をした場合に、変更前のデータについては、変更前のシステムにおいて検索機能を確保している場合などがこれに該当します。


なお、このような場合には、検索に使用する電磁的記録がスキャナ保存をしている電磁的記録と同一のものである ことを確認できるようにしておく必要があります。


出所:国税庁