

おつかれさま。電子帳簿保存法のスキャナ保存について、クライアントから質問が来ているんだ。「検索結果の出力が速ければ、検索自体に時間がかかっても問題ないですか?」という内容なんだが、どう思う?
先生、直感的には検索に時間がかかっても、最終的に画面や印刷で速やかに出力できれば大丈夫そうに思えますが...実際はどうなんでしょうか?
実はそれは間違いなんだ。電子帳簿保存法一問一答の問17を見てみよう。「速やかに出力する」という要件は、検索開始から最終出力まで全体を通して速やかである必要があるんだよ。
えっ、そうなんですか?てっきり出力の部分だけの話かと思っていました。
そこが誤解しやすいポイントなんだ。具体例で説明しよう。例えば、税務調査官が「A社の令和5年3月の請求書を見せてください」と言った場合を考えてみて。
はい、その場合はまず検索をして、該当する請求書を見つけて、それを画面表示や印刷するという流れですね。
その通り。この一連の流れ全体が「速やか」でなければならないんだ。つまり、検索開始から画面表示・印刷完了まで、全工程で迅速性が求められる。
なるほど。では、検索に10分かかって、その後の出力が1秒だったとしても、全体として遅いということになるんですね?
まさにその通り。電子計算機の操作開始時点から出力時点までの全体が評価対象になる。データベースが重くて検索に時間がかかるシステムでは、この要件を満たせない可能性が高いね。
クライアント企業にシステム導入を提案する際は、この点も必ずチェックしないといけませんね。検索性能も重要な選定基準になりそうです。
そういうこと。特に大量の書類を保存している企業では、インデックス機能やデータベース設計が重要になる。「安いから」という理由だけでシステムを選ぶと、後で法令違反のリスクを負うことになりかねない。
システムベンダーに確認する際も、「検索から出力まで全体の処理時間はどの程度ですか?」と具体的に聞く必要がありますね。
正解。そして実際の運用環境でのテストも必須だ。デモ環境では速くても、実データを大量に入れると極端に遅くなるシステムもあるからね。
勉強になりました。この内容、クライアント向けの資料にまとめて、システム選定のポイントとして提案書に盛り込んでみます。
いいね。電子帳簿保存法は実務への影響が大きいから、こうした細かな要件もしっかり押さえておくことが、クライアントサービスの差別化につながるよ。
検索開始から終了までも速やかにできる必要があります。
「速やかに出力する」とは、具体的には、閲覧対象データを出力するために行った電子計算機の操作の開始時点から出力時点までを速やかにできることを意味していると考えられます。
この場合、その閲覧対象データを出力するに当たり、データの抽出作業が伴うときには、まず始めに検索を行い、その結果抽出されたデータを画面及び書面に出力することから、当然にその検索を開始した時から、該当する書類が画面及び書面に出力されるまでを速やかにできなければならないと考えられます。
したがって、「速やかに出力する」とは、抽出されたデータについて速やかに出力することができるだけでなく、検索についても速やかにできることが必要であると考えられます。
なお、条件に該当する記録事項の全てが、ディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で出力される場合のほか、視認性の観点から、重複する項目等について画面及び書面への表示を省略しているときについても、記録事項をデータとして保持しているときは、「電磁的記録の記録事項を検索することができる機能」を有していると考えられます。
出所:国税庁

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