

先生、電子帳簿保存法のスキャナ保存で「速やかに入力」とありますが、やむを得ない事由で7営業日以内に入力できない場合、要件違反になってしまうのでしょうか。
いい質問ですね。結論から言うと、やむを得ない事由がある場合は、その事由が解消した後に直ちに入力すれば要件違反にはなりません。
それは安心しました。でも「やむを得ない事由」って、具体的にどんなケースが該当するんですか。
まず原則を理解しておきましょう。「速やかに」入力するというのは、おおむね7営業日以内に入力することが基本です。これは紙の段階での改ざんリスクを減らすためなんです。
7営業日というと、土日を挟んでも1週間程度ですね。
そうです。ただ、業種によっては必ずしも7営業日以内に入力できない場合もあります。例えば、毎日出社しない勤務形態の社員が受領した書類や、出張が多い営業担当者が受け取った領収書などですね。
なるほど。他にどんな事例がありますか。
例えば、担当者の急な病気や入院、自然災害による事務所の被災、システム障害などが考えられます。重要なのは、その事由が解消したら「直ちに」入力することです。
「直ちに」というのは、やはり厳しいですね。
はい。例えば担当者が1週間入院して復帰したら、復帰後すぐに入力作業に取りかかる必要があります。復帰後さらに1ヶ月放置したら、それは認められません。
逆に、認められないケースはどんな場合ですか。
保存義務者の責めに帰すべき事由がある場合です。典型的なのは、スキャナのメンテナンスを怠って故障した場合ですね。
それは「やむを得ない」とは言えないということですね。
その通りです。定期的なメンテナンスをしていれば防げた故障や、単に入力を忘れていた、後回しにしていたというのは認められません。
地震や台風などの災害の場合はどうなりますか。
災害の場合は、規則第2条第8項の宥恕措置があります。災害その他やむを得ない事情で要件を満たせなかったことを証明できれば、保存は認められます。
証明というのは、具体的には?
例えば、被災証明書や、システム障害の報告書などです。客観的に事実を示せる資料を残しておくことが重要ですね。
実務では、どう対応すればいいでしょうか。
まず、原則として7営業日以内の入力を徹底すること。やむを得ず遅れる場合は、その理由と経緯を記録に残しておくことです。
記録の形式は決まっていますか。
特に決まってはいませんが、いつ何があって入力が遅れたのか、いつ事由が解消していつ入力したのかを明確にしておくことです。税務調査で説明できるようにしておくのがポイントですね。
わかりました。基本は7営業日以内、やむを得ない場合は事由解消後直ちに、そして記録を残す、ですね。
完璧です。何より大切なのは、改ざん防止という電帳法の趣旨を理解して、誠実に対応することですよ。
おおむね7営業日以内に入力できない特別な事由がある場合に、そのおおむね7営業日以内に入力することができない事由が解消した後直ちに入力したときには、速やかに入力したものとして取り扱われます。
本来国税関係書類の入力は、紙段階の改ざんの可能性を低くする観点からは、国税関係書類の受領等後直ちに行うことが望まれますが、休日等をまたいで入力する場合があることも勘案し、7営業日を基本とすることが合理的と考えられます。
さらに、業種業態によっては必ずしも7営業日以内に入力することができない場合(例えば、毎日事務所へ出勤しない勤務形態の社員が受領した書類の入力等)も考えられ、それらを一律に排除することは経済実態上合理的ではないことから、おおむね7営業日以内に入力すれば速やかに入力しているものとして取り扱うこと とされています。
また、おおむね7営業日で入力できないような特別な事由が存在する場合には、その事由が解消した後直ちに入力することによって、規則第2条第6項第1号イに規定する速やかに入力する目的は達せられると考えられます。
なお、規則第2条第8項の規定により、災害その他やむを得ない事情が生じ、保存時に満たすべき 要件を満たせなかったことを証明した場合には、保存 時に満たすべき 要件を満たしていなくても電磁的記録の保存を行うことができることとされています。
おって、機器のメンテナンスを怠ったことにより、スキャナ機器の故障が生じた場合など明らかに保存義務者の責めに帰すべき事由が存在するときには、これらの取扱いはないこととなります。
出所:国税庁
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