「業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行う」とは何日以内に入力すればよいのでしょうか。

「業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行う」とは何日以内に入力すればよいのでしょうか。

問23 「業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行う」とは何日以内に入力すればよいのでしょうか。

 

先生、電子帳簿保存法のスキャナ保存で「業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行う」って規定がありますよね。これって具体的に何日以内に入力すればいいんでしょうか?


 

いい質問ですね。結論から言うと、最長で受領から2か月とおおむね7営業日以内に入力すればOKです。


 

2か月プラス7営業日...?なぜそんな計算になるんですか?


 

この期間は2つの要素に分かれているんです。「業務の処理に係る通常の期間」と「速やかに」という部分です。順番に説明しましょう。


 

お願いします!


「業務の処理に係る通常の期間」とは


 

まず「業務の処理に係る通常の期間」ですが、これは会社ごとに決めている業務処理サイクルのことです。


 

業務処理サイクル...例えば請求書の処理なら、受領してから承認、支払処理までの流れということですか?


 

その通り!このサイクルは会社によって違いますよね。週次で処理する会社もあれば、月次の会社もある。ただし、取扱通達4-18で最長2か月までが認められています。


 

2か月を超える業務サイクルはダメということですね。


 

はい。そしてこの2か月は暦の上での2か月です。具体例を出しましょうか。


具体的な計算例


 

例えば、4月21日に請求書を受領したとします。業務処理サイクルが最長の2か月なら、6月20日までが「通常の期間」です。


 

4月21日から数えて2か月後だから6月20日...なるほど!


 

そこから「速やかに」の期間が始まるわけです。


「速やかに」は何日?


 

では「速やかに」って具体的には?


 

取扱通達4-17によると、おおむね7営業日以内とされています。


 

おおむね7営業日...土日祝日は除くということですよね?


 

そうです。だから先ほどの例なら、6月20日からおおむね7営業日後、つまり6月末頃までに入力すれば要件を満たすことになります。


 

意外と余裕があるんですね!


例外的な事情がある場合


 

ただし、特別な事情で7営業日以内に入力できない場合もありますよね。


 

例えばどんな時ですか?


 

システム障害や担当者の長期不在などです。そういう場合は、その事由が解消した後、直ちに入力すれば「速やかに」と認められます。


 

なるほど。合理的な理由があれば柔軟に対応してもらえるんですね。


実務での業務サイクル設定例


 

実務では、会社の実態に合わせて業務サイクルを設定します。いくつか例を挙げましょう。


 

ぜひ教えてください!


 

例えば、毎週月曜日に経理処理をする会社なら、業務サイクルは1週間ですよね。受領から1週間とおおむね7営業日以内に入力すればいいんです。


 

月次で締めている会社はどうですか?


 

月末締めで処理する会社なら、受領から約1か月とおおむね7営業日以内。20日締めの会社なら、20日とおおむね7営業日以内という具合です。


 

会社の実情に合わせて柔軟に設定できるんですね!


 

そうです。ただし、実際の業務処理と整合性が取れていることが大前提です。形だけ2か月と設定しても、実際は毎週処理しているなら説明がつきませんからね。


どの書類に適用される?


 

ちなみにこのルールは、すべての書類に適用されるんですか?


 

いい質問ですね。主に重要書類に適用されます。


 

重要書類って?


 

資金や物の流れに直結・連動する書類のことです。具体的には、請求書、領収書、契約書、納品書などですね。


 

見積書やカタログのような一般書類は違うルールなんですか?


 

一般書類の場合は、もっと緩やかな要件になっています。ただ、今回のテーマである「業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに」は重要書類を念頭に置いてください。


実務上の注意点


 

最後に、実務で気をつけるべきポイントはありますか?


 

3つあります。まず、自社の業務サイクルを明確に定めて文書化しておくこと。


 

規程やマニュアルに書いておくということですね。


 

そうです。2つ目は、実際の入力状況を記録しておくこと。税務調査で「本当に7営業日以内に入力していますか?」と確認されることがあります。


 

入力日時のログが残るようにしておけばいいんですね。


 

はい。そして3つ目は、例外的に遅れた場合の理由を記録しておくこと。システム障害などでやむを得ず遅れた場合、その経緯を説明できるようにしておきましょう。


 

よく分かりました!つまり、最長2か月+おおむね7営業日以内が原則で、会社の実態に合わせて業務サイクルを設定すればいいんですね。


 

完璧です!電子帳簿保存法は要件が細かいですが、一つ一つ理解すれば難しくありません。実務に合った運用を心がけましょう。

【回答】

最長では、国税関係書類の受領等から2か月とおおむね7営業日以内に入力すればよいこととなります。

【解説】

「その業務の処理に係る通常の期間」とはそれぞれの企業において採用している業務処理サイクルの期間をいい、また、おおむね7営業日以内に入力している場合には「速やかに」行っているものと取り扱う 取扱通達4−17) ことから、仮に2週間を業務処理サイクルとしている企業であれば2週間とおおむね7営業日以内、 20 日を業務処理サイクルとしている企業であれば20日とおおむね7営業日以内に入力すればよいこととなります。


なお、最長2か月の業務処理サイクルであれば「その業務の処理に係る通常の期間」として取り扱う(取扱通達4−18)ことから、規則第2条第6項第1号ロに規定する「その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと」については、国税関係書類の受領等から最長2か月とおおむね7営業日以内に入力すればよいこととなります。


また、この場合、最長2か月とは暦の上での2か月をいうことから、例えば4月21日に受領した書類の場合、業務処理サイクルの最長2か月は6月20日であり、そのおおむね7営業日後までに入力すればよいこととなります。


出所:国税庁