

先生、お客様から「総務大臣が認定するタイムスタンプって何ですか?」と質問されたのですが、どう説明すればよいでしょうか。
いい質問ですね。総務大臣が認定する時刻認証業務に係るタイムスタンプとは、電子データがある時点に確実に存在していたこと、そしてその時点から改ざんされていないことを証明する電子的な情報のことです。
タイムスタンプ自体は前から知っていましたが、「総務大臣が認定する」という部分が重要なのですか?
その通りです。令和4年度の税制改正で、令和4年4月1日以降に保存する国税関係書類や電子取引データに付すタイムスタンプは、総務大臣の認定を受けたものに限定されました。これは、海外とのデータ流通も視野に入れて、より確実で安定的なタイムスタンプの利用を促進するためです。
以前は違う認定制度もあったと聞いたのですが。
よく勉強していますね。以前は一般財団法人日本データ通信協会の「タイムビジネス信頼・安心認定制度」というものがありました。令和4年4月から令和5年7月までは経過措置として、総務大臣認定と日本データ通信協会認定の両方が使えたのですが、その後この協会の認定制度は令和6年3月に廃止されました。
スキャナ保存で使う場合、何か特別な要件があるのでしょうか。
はい、2つの重要な要件があります。1つ目は、記録事項が変更されていないことを、保存期間を通じて確認できることです。2つ目は、課税期間中の任意の期間を指定して、その期間内に付したタイムスタンプを一括検証できることです。
一括検証というのは、例えばどういう場面で必要になるのですか?
税務調査が入った場合を想像してください。調査官が「令和5年4月から6月の領収書を確認したい」と言ったとき、その期間のタイムスタンプをまとめて検証できる必要があるということです。一枚一枚確認していたら効率が悪いですからね。
実は、あるお客様から「タイムスタンプを付けるのはコストがかかる」という相談を受けたのですが。
それなら、タイムスタンプの代替要件を検討してみましょう。訂正や削除の事実と内容を確認できるシステム、あるいは訂正削除ができないシステムを使っていれば、タイムスタンプの付与に代えることができます。
具体的にはどんなシステムが該当しますか?
例えば、クラウド会計システムで、NTPサーバと同期して保存日時が客観的に証明されるものです。大手のクラウド会計ソフトの多くはこの機能を備えています。入力期間内にデータを入力したことが、システム側で証明できれば、別途タイムスタンプを付与しなくてもよいのです。
お客様にアドバイスする際、何に気を付けるべきでしょうか。
まず、使用しているシステムが総務大臣認定のタイムスタンプに対応しているか、または代替要件を満たしているかを確認することです。次に、令和4年4月以降の取引については、必ず新しい基準に適合したタイムスタンプまたはシステムを使用していることを確認してください。
もし対応していないシステムを使っていた場合は?
その場合、早急にシステムの入れ替えや、タイムスタンプサービスの追加導入を検討する必要があります。電子帳簿保存法の要件を満たしていないと、青色申告の承認取消しなどのリスクもありますから、慎重に対応すべきです。
わかりました。お客様には、まず使用しているシステムの仕様を確認してもらうようにします。
そうですね。電子帳簿保存法対応は、システム選定の段階から慎重に進めることが重要です。不明な点があれば、いつでも相談してください。
電子データがある時点に存在していたこと及び当該電子データがその時点から改ざんされていないことを証明する情報がタイムスタンプであり、確実かつ安定的なタイムスタンプの利用を一層拡大し、情報の信頼性を確保しつつ、海外とのデータ流通を容易にする観点から、時刻認証業務(電子データに係る情報にタイムスタンプを付与する役務を提供する業務)について、総務大臣による認定制度が設けられています。
使用するタイムスタンプは、規則第2条第6項第2号ロに規定する以下の要件を満たすものに限ります。
@ 当該記録事項が変更されていないことについて、当該国税関係書類の保存期間を通じ、当該業務を行う者に対して確認する方法その他の方法により確認することができること。
A 課税期間中の任意の期間を指定し、当該期間内に付したタイムスタンプについて、一括して検証することができること。
《総務省の認定ロゴマーク》
(注)
令和4年度税制改正において、令和4年4月1日以後に保存が行われる国税関係書類及び電子取引の取引情報に係る電磁的記録に付す、その国税関係書類に係るスキャナ保存要件及び電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件におけるタイムスタンプについては、総務大臣が認定する時刻認証業務に係るものとされました。もっとも、同日から令和5年7月29日までの間に保存が行われた国税関係書類又は電子取引の取引情報に係る電磁的記録のタイムスタンプ要件については、総務大臣が認定する時刻認証業務に係るタイムスタンプに加え、従前どおり一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプとすることを可能とする経過措置が講じられ、一般財団法人日本データ通信協会の認定を受けたタイムスタンプ事業者には、「タイムビジネス信頼・安心認定証」が交付されるとともに、以下に示す「タイムビジネス信頼・安心認定マーク」が使用できること となっていました。
なお、一般財団法人日本データ通信協会による「タイムビジネス信頼・安心認定制度」は令和6年3月に廃止されました。
《タイムビジネス信頼・安心認定マーク》
出所:国税庁
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