スキャナ保存について、「災害その他やむを得ない事情」を証明した場合には保存時に満たすべき要件が不要となる旨の規定が設けられていますが、そのような事情があれば、電磁的記録の保存自体不要になるのでしょうか。

スキャナ保存について、「災害その他やむを得ない事情」を証明した場合には保存時に満たすべき要件が不要となる旨の規定が設けられていますが、そのような事情があれば、電磁的記録の保存自体不要になるのでしょうか。

問52 スキャナ保存について、「災害その他やむを得ない事情」を証明した場合には保存時に満たすべき要件が不要となる旨の規定が設けられていますが、そのような事情があれば、電磁的記録の保存自体不要になるのでしょうか。

 

先生、スキャナ保存について質問があります。「災害その他やむを得ない事情」があれば保存要件が不要になるという規定がありますよね。ということは、災害時には電磁的記録の保存自体が不要になるんですか?


 

いい質問ですね。でも、それは誤解なんです。災害があっても、電磁的記録の保存義務自体はなくならないんですよ。


 

え、そうなんですか?てっきり免除されるのかと思っていました。


 

この規定の趣旨は、災害などで保存要件を完璧に満たせなかった場合でも、その事情を証明できれば、要件を満たしていないことを許容するというものなんです。つまり、保存義務そのものは残るんですね。


 

具体的に言うと、どういうことでしょうか?


 

例えば、地震で停電が続いてタイムスタンプが押せなかったとか、機器が故障して解像度が基準を満たせなかったとか、そういう場合ですね。要件を満たせなくても、データ自体は保存しておかなければならないんです。


 

なるほど。じゃあ、災害で紙の原本もスキャナデータも完全に消失してしまった場合はどうなりますか?


 

それは、紙の書類を紛失した場合と同じ扱いになります。国税関係書類の保存がないことになりますね。


 

それって、違反になるんですか?


 

納税者の責めに帰すべき事由がない、つまり、納税者に過失がない場合には、単に書類が存在しないことだけで義務違反を問われることはありません。ただし、可能な範囲で書類を復元する努力は求められますよ。


 

復元というと、具体的にどうするんですか?


 

例えば、取引先に請求書の再発行をお願いしたり、金融機関に取引履歴を照会したりするんです。できる限りの合理的な方法で書類を復元していただく必要があるんですね。


 

逆に、この宥恕措置が適用されない場合もあるんですか?


 

ありますよ。例えば、サーバーのメンテナンスを怠っていたとか、バックアップを取っていなかったとか、明らかに保存義務者の責任がある場合は、この措置は適用されません。


 

自己責任の部分は厳しく見られるということですね。


 

その通りです。それから、災害が収まった後に作成・受領する書類については、通常通り保存要件を満たしてスキャナ保存する必要がありますよ。


 

つまり、災害中の一時的な措置であって、恒久的な免除ではないということですね。


 

正解です。わかりやすく例えると、災害で警備システムが故障しても、宝物そのものは守らなければならない、という状況に似ていますね。警備体制、つまり保存要件を一時的に緩和してもらえますが、宝物、つまりデータ自体を失うことは許されないんです。


 

なるほど!要件の緩和と保存義務の免除は別物なんですね。クライアントさんにも、災害対策としてバックアップの重要性をしっかり伝えないといけませんね。


 

その通りです。クラウドストレージの活用や、複数拠点でのバックアップなど、災害時にもデータを守れる体制を整えておくことが大切ですよ。


 

勉強になりました!電子帳簿保存法は、災害時でも保存義務が続くという前提で対策を立てる必要があるんですね。

【回答】

保存義務が免除されるものではありませんので、スキャナ保存に係る国税関係書類の紙原本の保存がない場合には、その国税関係書類に係る電磁的記録の保存が必要になります (取扱通達4−33)。

【解説】

規則第2条第8項の規定は、災害その他やむを得ない事情により、保存時に満たすべき要件に従って電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合には、保存時に満たすべき要件を満たさなくても、当該電磁的記録の保存ができることを規定したものであり、保存義務が免除されているものではありません。


したがって、スキャナ保存に係る国税関係書類の紙原本の保存がない場合には、その国税関係書類に係る電磁的記録の保存が必要になります。その紙原本及びそのスキャナデータを完全に消失してしまっている場合については、紙の書類を紛失した場合と何ら変わらないことから、国税関係書類の保存がないこととなります。


なお、電磁的記録については、災害等によりデータを保存していたパソコン本体が棄損した場合等、紙に比べてその確認が困難となる場面も多く想定されることから、納税者の責めに帰すべき事由がないときには、単に保存書類が存在しないこ とのみをもって、義務違反を問うことはありませんが、仮に紙の書類及びそのスキャナデータを消失してしまった場合であっても、可能な範囲で合理的な方法(取引の相手先や金融機関へ取引内容を照会するなど)により保存すべき国税関係書類を復元していただきたいと考えています。


おって、災害その他やむを得ない事情がやんだ後に作成又は受領するものについては、規則第2条第8項の規定の適用はありません。そのため、保存時に満たすべき 要件を備えた上でスキャナデータを保存する必要がありますので注意してください。


出所:国税庁