規則第2条第6項第1号ロに規定する「各事務の処理に関する規程」及び同条第7項の「事務の手続を明らかにした書類」との違いは何でしょうか。

規則第2条第6項第1号ロに規定する「各事務の処理に関する規程」及び同条第7項の「事務の手続を明らかにした書類」との違いは何でしょうか。

問53 規則第2条第6項第1号ロに規定する「各事務の処理に関する規程」及び同条第7項の「事務の手続を明らかにした書類」との違いは何でしょうか。

 

先生、スキャナ保存の要件を勉強していて疑問に思ったんですが、規則第2条第6項第1号ロの「各事務の処理に関する規程」と、同条第7項の「事務の手続を明らかにした書類」って、何が違うんですか?


 

よく気づきましたね。この2つは混同しやすいんですが、明確な違いがあるんです。簡単に言うと、「規程」は企業の方針や基準を定めるもので、「手続書類」は具体的な作業マニュアルを定めるものなんですよ。


 

方針と作業マニュアル、ですか?もう少し詳しく教えていただけますか?


 

まず「各事務の処理に関する規程」ですが、これは「いつ、誰が、なぜ」といった組織的な枠組みを定めるものなんです。目的は、真実性を確保することですね。


 

真実性の確保、というと?


 

改ざんなどの誘因を制限するために、業務サイクルに応じた入力事務を行うことを定めるんです。例えば、書類を受領してからどのタイミングでスキャンするか、誰が責任者なのか、といった企業全体の方針を規定するんですね。


 

なるほど。具体的にはどんな内容が含まれるんですか?


 

規程には、目的、定義、運用体制として管理責任者や作業担当者、対象書類、入力の時期、例えば「受領後速やかに」とか「毎月末まで」とか、それから機能要件として真実性、機密性、見読性の確保方法、機器の管理と運用などが含まれます。


 

かなり包括的な内容なんですね。では、「事務の手続を明らかにした書類」はどう違うんですか?


 

こちらは「どのように」という具体的な作業手順を定めるものなんです。目的は、適切な入力を確保することですね。


 

具体的な作業手順、というと?


 

例えば、書類の受領者から経理責任者への引き継ぎ方法、スキャニングの準備を行う具体的な期日、スキャニング処理の詳しい方法、管理責任者による確認の手順、タイムスタンプの付与方法、電子化文書の保存場所と方法など、作業の流れを順序立てて記載するんです。


 

つまり、現場の作業員が見て実際に作業できるレベルの詳細なマニュアルということですね。


 

その通りです。具体例で比較してみましょう。例えば請求書のスキャン保存について、「規程」では「請求書は受領後1週間以内にスキャンし、経理部長が管理責任者となる」と定めます。一方、「手続書類」では「営業担当者が請求書を受領→翌営業日までに経理部に提出→経理担当者Aがスキャン準備→スキャナの設定を解像度200dpi以上、カラーモードで実施→スキャン後、経理部長が目視確認→確認後24時間以内にタイムスタンプ付与→サーバーの○○フォルダに保存」といった具合に記載するんです。


 

なるほど!規程は大枠を決めて、手続書類は実際の作業手順を細かく定めるということですね。


 

正解です。規程は経営層や管理職が決定する企業方針レベルの内容で、手続書類は現場の作業者が日々参照する作業マニュアルレベルの内容なんですね。


 

両方とも作成して保存する必要があるんですか?


 

はい、どちらもスキャナ保存の要件として必要です。規程は第2条第6項第1号ロで、手続書類は第7項で、それぞれ別に規定されているんです。


 

もし、どちらか一方しか作成していなかったらどうなりますか?


 

スキャナ保存の要件を満たさないことになりますね。例えば、詳細なマニュアルはあるけど企業としての規程がない、あるいは規程はあるけど具体的な手順書がない、といった場合は不十分なんです。


 

クライアント企業に導入支援する際は、両方セットで整備する必要があるということですね。


 

その通りです。規程で大方針と責任体制を明確にし、手続書類で具体的な作業手順を定める。この両輪が揃って初めて、電子帳簿保存法の要件を満たすスキャナ保存体制が整うんですよ。


 

勉強になりました!規程は「Why(なぜ)、Who(誰が)、When(いつ)」、手続書類は「How(どのように)」を定めるものとして理解すればいいですね。


 

完璧です。電子帳簿保存法の導入支援では、この2つの書類の違いをしっかり理解して、クライアントに適切な体制を構築してもらうことが重要ですよ。

【回答】

「各事務の処理に関する規程」とは、作業責任者、処理基準及び判断基準等を含めた業務サイクルにおけるワークフローなどの企業の方針を定めたものです。それに対して「事務の手続を明らかにした書類」とは、責任者、作業の過程、順序及び入力方法などの手続を明確に表現したものをいいます。

【解説】

規則第2条第6項第1号ロの「各事務の処理に関する規程」については、業務サイクルに応じた入力事務を行うことにより、改ざん等の誘因を制限するものですから、書類の受領又は作成を始めとする企業のワークフローに沿ったスキャニング、タイムスタンプの付与の時期等について規定し、その規程に沿った入力事務の処理を行う責任者を規定することにより責任の所在を明らかにするという企業の方針を定め、真実性を確保するためのものです。


また、同条第7項の「事務の手続を明らかにした書類」は、責任者、入力の順序、方法などの処理手続、さらにはアウトソーシングの際の事務の手続を定めることによる、適切な入力を確保するためのものです。


なお、これらの規程の例については、次頁を参照してください。


出所:国税庁