法人の納税地はA市にあるが実体はB市にある場合に、過去分重要書類の適用届出書を、B市を所轄する税務署長を経由して提出することはできますか。

法人の納税地はA市にあるが実体はB市にある場合に、過去分重要書類の適用届出書を、B市を所轄する税務署長を経由して提出することはできますか。

問56 法人の納税地はA市にあるが実体はB市にある場合に、過去分重要書類の適用届出書を、B市を所轄する税務署長を経由して提出することはできますか。

 

先生、ちょっと変わったケースで相談を受けたんですが...


 

どんな内容ですか?


 

法人の納税地は登記上A市にあるんですけど、実際の事業活動はB市で行っているそうなんです。過去分重要書類の適用届出書を、実体があるB市の税務署に出したいって言われまして。


 

なるほど。でも答えは明確で、B市の税務署を経由して提出することはできません。


 

やっぱりダメなんですね。でも実際に事業をやっているのはB市なのに、なんでA市の税務署じゃないといけないんでしょう?


 

電子帳簿保存法では、適用届出書は法人税の納税地を所轄する税務署長に提出すると決まっているんです。実体がどこにあるかは関係ないんですよ。


 

納税地は登記上の本店所在地ですよね?


 

原則としてはそうです。法人の納税地は本店または主たる事務所の所在地。この事例ではA市になります。


 

でも、便宜的に別の税務署を経由して提出できる制度ってありませんでしたっけ?


 

よく勉強していますね!確かに電子帳簿保存法施行規則第2条第10項に「便宜提出」という規定があります。


 

じゃあ、それを使えばB市の税務署経由で出せるんじゃないですか?


 

そこが誤解しやすいポイントなんです。便宜提出の規定は、一つの納税者が複数の納税地を持っている場合を想定したものなんですよ。


 

複数の納税地...?具体的にはどういうケースですか?


 

例えば、法人税と消費税で納税地が違う場合とか、複数の事業について異なる納税地を持っている場合ですね。


 

なるほど。今回のお客様は法人税の納税地が一つだけで、A市にあるわけですよね。


 

その通りです。実体がB市にあっても、納税地自体が複数あるわけじゃない。だから便宜提出の規定は使えないんです。


 

つまり、「実体がある場所」と「納税地が複数ある」は全然違う話なんですね。


 

完璧な理解です!法律上の納税地はあくまでA市一つだけですから。


 

実務的には不便に感じるお客様も多そうですね。本店は形だけA市にあって、実際の経理担当者も資料も全部B市にあるケースとか。


 

確かにそういう状況はありますね。でも税務上の手続きは、法律で定められた納税地に基づいて行う必要があるんです。


 

もし間違えてB市の税務署に出しちゃったらどうなりますか?


 

管轄違いということで、適用届出書として受理されない可能性が高いですね。後で再提出を求められることになります。


 

それは困りますね...お客様にはどう説明すればいいでしょう?


 

「実体の所在地ではなく、法人税の納税地である登記上の本店所在地A市の税務署に提出する必要があります」と明確に伝えてください。


 

分かりました!郵送での提出も可能ですよね?


 

もちろんです。B市から実際に作業する場合でも、A市の税務署宛てに郵送すれば問題ありません。


 

それなら実務的にも対応できますね。納税地の原則、しっかり覚えました!


 

こういう基本原則を押さえておくと、似たような質問が来ても正確に答えられますよ。

【回答】

B市を所轄する税務署長を経由して提出することはできません。

【解説】

過去分重要書類の適用届出書は、法人の実体が納税地に存するか否かにかかわらず、法人税の納税地を所轄する税務署長に提出することとなります。


規則第2条第10項に規定する便宜提出は、一の納税者が複数の納税地等を有している場合を念頭においたものであり、一の納税者が複数の納税地を有していない場合には同項の規定の適用はありません。


出所:国税庁