問38 当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。これまで(軽減税率制度の実施前)、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次のレシートを取引先に交付しています。小売業などは、適格請求書の交付に代えて、記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができるそうですが、その記載事項について教えてください。
【答】
適格請求書等保存方式においては、適格請求書発行事業者が、小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業(適格簡易請求書を交付することができる事業については問16をご参照ください。)を行う場合には、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付 することができます(新消法57の4A、新消令70の11)。
適格簡易請求書の記載事項は、適格請求書の記載事項よりも簡易なものとされており、適格請求書の記載事項と比べると、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要である点、「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足りる点が異なります。
なお、具体的な記載事項は、次のとおりです。
@ 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
A 課税資産の譲渡等を行った年月日
B 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
C 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
D 税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率(※)
※ 「税率ごとに区分した消費税額等」と「適用税率」を両方記載することも可能です。
(注) 上記の記載事項のうち、@の登録番号を記載しないで作成したレシートは、令和元年10月1日から令和5年9月30日(適格請求書等保存方式の導入前)までの間における区分記載請求書等に該当します。
(参考) 現行の仕入税額控除の要件として保存が必要な請求書等の記載事項についても、小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業に係るものである場合には、請求書等の交付を受ける相手方の氏名又は名称の記載は不要とされています(消法30H一)。
【適格簡易請求書の記載例(適用税率のみを記載する場合)】
【適格簡易請求書の記載例(税率ごとに区分した消費税額等のみを記載する場合)】
〇 適格請求書と適格簡易請求書の記載事項の比較(新消法57の4@A)
適格請求書 | 適格簡易請求書 | ||||||||||||||||||||||||
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(参考)
○ 請求書等保存方式、区分記載請求書等保存方式及び適格請求書等保存方式における小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業を行う場合の請求書等の記載事項の比較(消法30H、28年改正法附則34A、新消法57の4A)
(注) | 1. | 区分記載請求書等の記載事項 |
@ | 書類の作成者の氏名又は名称 | |
A | 課税資産の譲渡等を行った年月日 | |
B | 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨 ) | |
C | 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額 | |
D | 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称 | |
2. | 区分記載請求書等の記載事項のうち、Cの「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」については、適格請求書等の記載事項である「課税資産の譲渡等の税抜価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」を記載することとして差し支えありません。 |
○ 請求書等保存方式、区分記載請求書等保存方式及び適格請求書等保存方式の請求書等の記載事項の比較(消法30H、28年改正法附則34A、新消法57の4@)
請求書等保存方式 (現行制度) |
区分記載請求書等保存方式 (令和元年10月1日から 令和5年9月30日までの間) |
適格請求書等保存方式 (令和5年10月1日から) (適格簡易請求書) |
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(注) | 1 | 区分記載請求書等保存方式の下では、これまで(軽減税率制度の実施前)の請求書等の記載事項に下線(ピンク)部分が追加されます。 |
2 | 適格請求書等保存方式の下では、区分記載請求書等の記載事項に下線(シアン)部分が追加・変更されます。 |
出所:国税庁