問76 適格請求書等保存方式における税額計算の方法について教えてください。
【答】
軽減税率制度の実施後は、消費税率が軽減税率と標準税率の複数となることから、売上げと仕入れを税率ごとに区分して税額計算を行う必要がありますが、売上税額から仕入税額を控除するといった消費税額の計算方法は、適格請求書等保存方式においても現行と変わりません。
具体的な売上税額と仕入税額の計算方法は、次のとおりとなります。
1 売上税額(詳細については、問74をご参照ください。)
(1) 原則(割戻し計算)
税率ごとに区分した課税期間中の課税資産の譲渡等の税込価額の合計額に、108分の100又は110分の100を掛けて税率ごとの課税標準額を算出し、それぞれの税率6.24%又は7.8%)を掛けて売上税額を算出します(新消法45)。
@ 軽減税率の対象となる売上税額
A 標準税率の対象となる売上税額
B 売上税額の合計額
(2) 特例(積上げ計算)
相手方に交付した適格請求書又は適格簡易請求書(以下これらを併せて「適格請求書等」といいます。)の写しを保存している場合(適格請求書等に係る電磁的記録を保存している場合を含みます。)には、これらの書類に記載した消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とすることができます(新消法45D、新消令62@)。
なお、売上税額を積上げ計算した場合、仕入税額も積上げ計算しなければなりません。
2 仕入税額(詳細については、問75及び問76をご参照ください。)
(1) 原則(積上げ計算)
相手方から交付を受けた適格請求書などの請求書等(提供を受けた電磁的記録を含みます。)に記載されている消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に100分の78を掛けて仕入税額を算出します(新消法30@、新消令46@A)。
(2) 特例(割戻し計算)
税率ごとに区分した課税期間中の課税仕入れに係る支払対価の額の合計額に、108分の6.24又は110分の7.8を掛けて算出した金額を仕入税額とすることができます(新消令46B)。 なお、割戻し計算により仕入税額を計算できるのは、売上税額を割戻し計算している場合に限られます。
@ 軽減税率の対象となる仕入税額
A 標準税率の対象となる仕入税額
B 仕入税額の合計
(参考)売上税額と仕入税額の計算方法
売上税額 |
仕入税額 |
【割戻し計算】(原則) この方法を採用する場合、仕入税額は積上げ計算(原則)又は割戻し計算(特例)のいずれかを選択することができます。 |
【積上げ計算】(原則) |
【割戻し計算】(特例) |
|
【積上げ計算】(特例) |
【積上げ計算】(原則) 売上税額の計算において「積上げ計算」を選択した場合、仕入税額の計算では「割戻し計算」を適用することはできません。 |
出所:国税庁