問74 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送などは、請求書等の保存が不要で、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができるそうですが、この場合の帳簿への記載事項について教えてください。

【答】
請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます(新消法30F、新消令49@、新消規15の4)。

@ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
A 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引
B 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入
C 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物の取得
D 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物の購入
E 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源又は再生部品の購入
F 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
G 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストにより差し出されたものに限ります。)
H 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

 

この場合、帳簿の記載事項に関し、通常必要な記載事項に加え、次の事項の記載が必要となります。

帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨

例:@に該当する場合、「3万円未満の鉄道料金」
  Aに該当する場合、「入場券等」

仕入れの相手方の住所又は所在地(一定の者を除きます。)

 

(注)帳簿に仕入れの相手方の住所又は所在地の記載が不要な一定の者は、次のとおりです(インボイス通達4−7)。

適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送について、その運送を行った者
適格請求書の交付義務が免除される郵便役務の提供について、その郵便役務の提供を行った者
課税仕入れに該当する出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)を支払った場合の当該出張旅費等を受領した使用人等
上記BからEの課税仕入れ(BからDに係る課税仕入れについては、古物営業法、質屋営業法又は宅地建物取引業法により、業務に関する帳簿等へ相手方の氏名及び住所を記載することとされているもの以外のものに限り、Eに係る課税仕入れについては、事業者以外の者から受けるものに限ります。)を行った場合の当該課税仕入れの相手方
(参考)  古物営業を営む場合、古物営業法において、商品を仕入れた際の対価の総額が1万円以上(税込み)の場合には、帳簿(いわゆる「古物台帳」)に@取引年月日、A古物の品目及び数量、B古物の特徴、C相手方の住所、氏名、職業及び年齢、D相手方の確認方法を記載し、保存しなければならないこととされています(古物営業法16、18)。

 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項は、「@課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地」、「A課税仕入れを行った年月日」、「B課税仕入れに係る資産又は役務の内容」、「C課税仕入れに係る支払対価の額」、「D帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨」ですが、古物台帳には@からCの事項が記載されていることになります。

 

 なお、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項としては、Dの事項も必要となるため、古物台帳とDの事項について記載した帳簿(総勘定元帳等)を合わせて保存することで、帳簿の保存要件を満たすことができます。

 

 この場合、古物台帳については帳簿の保存期間(課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間)保存しておく必要がある点にご留意ください(消令71A)。

 

出所:国税庁

 

トップへ戻る